この記事の要点(30秒でわかる)
- 関節リウマチは、関節を守る道具や住まいの工夫で暮らしやすさが変わります
- 痛みやこわばりには波があり、調子のよい日に無理をしないことが大切です
- 薬の使用中は「熱・から咳・息切れ」を早めに主治医へ伝えましょう
- 関節リウマチは介護保険の特定疾病で、40〜64歳でも申請できます
関節リウマチと診断された家族が、朝は指が動かず、ボタンを留めるのにも時間がかかる。薬の副作用も心配で、何に気をつければよいのかわからない。そんな不安を抱えるご家族は少なくありません。
関節リウマチの治療は、ここ十数年で大きく進歩しました。それでも、暮らしの中で関節をどう守るか、副作用にどう早く気づくかは、ご本人とご家族の手に委ねられています。
訪問看護や訪問リハビリでは、看護師やリハビリ職がご自宅に伺い、体調の変化や暮らしの動作を一緒に確かめていきます。すえひろ訪問看護ステーションは、ご本人が望む暮らしを続けられるよう、ご家族と一緒に考えたいと思っています。
この記事では、関節を守る暮らし方や薬の副作用のサインをまとめました。転倒と骨粗しょう症への備え、使える制度と相談先もご紹介します。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
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関節リウマチは「関節だけ」の病気ではない
関節リウマチは、免疫の働きの乱れによって関節に炎症が続く病気です。手指や手首、足の指などの関節が腫れて痛み、進むと関節の形が変わることがあります。ただし影響は関節だけにとどまらず、肺や骨、血管にも及ぶことがあるため、暮らし全体で見守ることが大切です。
国内の有病率は0.6〜1.0%、患者数は60〜100万人と推定されています(出典:厚生労働省 リウマチ等対策委員会報告書 平成30年)。同じ報告書では、骨粗しょう症や間質性肺炎(かんしつせいはいえん:肺が硬くなる病気)が起こりやすくなることも挙げられています。
関節リウマチの特徴のひとつが、朝起きたときに関節がこわばって動かしにくくなる「朝のこわばり」です。こわばりや痛みは日によって、時間帯によって変わります。この「波」があることを家族が知っておくと、ご本人のつらさを理解しやすくなります。
関節を守る暮らし方|道具と住まいの工夫
関節リウマチの暮らしでは、痛む関節に負担をかけない動き方と、それを助ける道具がとても役に立ちます。小さな関節より大きな関節を使う、ひねる動作を減らす、といった考え方を「関節保護」と呼びます。道具を使うことは甘えではなく、関節を長く守るための工夫です。
たとえば、ペットボトルのふたを開ける道具や、握りの太いスプーン・歯ブラシがあります。靴下をはく補助具、床の物を拾うリーチャー(マジックハンドのような道具)も便利です。こうした道具を「自助具(じじょぐ)」といいます。どれが合うかは、関節の状態や生活の動作によって異なります。
住まいの工夫も大切です。介護保険の住宅改修では、手すりの取り付けや段差の解消、引き戸への取り替えなどが対象になります。支給限度基準額は要介護度にかかわらず20万円です(出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。工事の前に申請が必要なので、ケアマネジャーに早めに相談しましょう。
痛みやこわばりの波と付き合う
関節リウマチの痛みやこわばりには波があり、調子のよい日とつらい日が入れ替わります。大切なのは、調子のよい日にがんばりすぎないことです。無理をした翌日に痛みが強くなる、ということを繰り返すと、ご本人の気持ちも疲れてしまいます。
朝のこわばりがある方は、起きてすぐに家事や外出の予定を入れず、ゆっくり体を動かしてから始めると楽になることがあります。手を温めると動かしやすくなると感じる方もいます。ただし、関節が赤く腫れて熱を持っているときは、温めずに主治医に相談しましょう。
痛みが続く、腫れる関節が増えた、という変化は、病気の勢いが強まっているサインかもしれません。関節リウマチの治療は、病気の勢いを抑えることを目標に薬を調整していきます。外来の受療率は人口10万人あたり32人(平成5年)から23人(平成26年)に減りました。厚生労働省の報告書は、薬を含めた治療法の向上によると考えています。「いつもと違う」と感じたら、次の受診を待たずに主治医に伝えることが大切です。
ご家族は、痛みの強さや動かしにくい関節を、日付と一緒にメモしておくと受診のときに役立ちます。食事や着替えに時間がかかるようになった、といった変化は、そばにいる家族だからこそ気づけるものです。
薬の副作用で家族が気づきたいサイン
治療では、メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤(せいぶつがくてきせいざい:注射や点滴で使う薬)がよく使われます。これらは病気の進行を抑える大切な薬ですが、体の免疫を弱める働きもあるため、感染症や間質性肺炎といった副作用に注意が必要です。
メトトレキサートの医薬品ガイドでは、次の症状があればただちに医師に連絡するよう示されています。発熱、から咳、息切れ、息苦しさ、口内炎、ひどい疲れやすさ、喉の痛みなどです(出典:PMDA 患者向医薬品ガイド リウマトレックスカプセル2mg 2026年3月更新)。から咳や息切れは、間質性肺炎の始まりのこともあります。
もうひとつ大切なのが飲み方です。メトトレキサートは、1週間のうち決められた日に決められた量だけ飲む薬で、毎日飲む薬ではありません。飲み忘れても2回分を一度に飲まず、誤って多く飲んだときはすぐに受診するよう、同じガイドに書かれています。カレンダーや薬の箱で、飲む日を家族も確認できるようにしておくと安心です。
生物学的製剤では、重い副作用として感染症が最も多いとされています(出典:日本リウマチ学会 TNF阻害薬使用の手引き 2024年改訂版)。発熱やだるさがあれば、早めに主治医へ相談しましょう。予防接種は、薬の種類によって受けてはいけないワクチンもあるため、接種の前に主治医に確認してください。
転倒と骨粗しょう症に備える
関節リウマチがあると、骨がもろくなる骨粗しょう症が起こりやすくなります。足の関節の痛みや変形で歩き方が不安定になることもあり、転んで骨折するリスクには特に気をつけたいところです。厚生労働省の報告書でも、骨粗しょう症に伴う骨折の手術は減っていないと指摘されています。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)の薬を使っている方は、骨が弱くなりやすいといわれています。骨密度の検査や骨を強くする薬について、主治医に相談しておくと安心です。なお、「骨折を伴う骨粗しょう症」も介護保険の特定疾病に含まれています(出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」)。
家の中の転倒予防は、つまずきやすい段差やコード、滑りやすい床を見直すことから始められます。足に合った靴や中敷きも、歩きやすさを左右します。家の中の転倒対策は、梅雨・夏の室内転倒を防ぐには|高齢者の在宅療養で家族が知っておきたいことでも詳しく紹介しています。
訪問看護と訪問リハビリでできること
訪問看護と訪問リハビリは、関節リウマチの方が住み慣れた家で暮らし続けるための支えになります。看護師は体調や薬の様子を、リハビリ職は動作や道具の使い方を、それぞれの専門から確かめます。病院では見えにくい「家での暮らし」を一緒に整えられることが、在宅サービスの強みです。
看護師が伺う訪問看護では、体温や呼吸の様子、関節の腫れや痛みの変化を確かめ、気になることがあれば主治医と連絡を取り合います。薬の飲み方の確認や、自己注射の薬を使っている方の不安についても、ご相談いただけます。ご家族が気づいた変化を共有していただけると、より早い対応につながります。
厚生労働省の報告書では、手指や足の関節の機能を取り戻す手術は近年も減っていないとされています。手や足の使い方を支える意味は、今も大きいといえます。すえひろ訪問看護ステーションの訪問リハビリでは、理学療法士や作業療法士がご自宅に伺います。関節に負担の少ない動き方の練習や、自助具・手すりの位置の相談など、ご本人の暮らしに合わせて考えさせてください。なお、訪問看護は年中無休、訪問リハビリは平日と祝日(土日と年末年始はお休み)の対応です。
訪問看護を始めるには、主治医の訪問看護指示書が必要です。どのような支援が合うかはご本人の状態によって異なるため、「こんなことも頼めるのかな」と思ったら、まずはご相談ください。
| 訪問看護 | 訪問リハビリ | |
|---|---|---|
| 主な職種 | 看護師 | 理学療法士・作業療法士 |
| 見ること | 体温・呼吸・関節の腫れや痛み・薬の飲み方 | 歩き方・立ち上がり・手の使い方 |
| 暮らしでの支援 | 体調の変化を主治医へつなぐ/服薬や自己注射の不安の相談 | 関節に負担の少ない動作の練習/自助具や手すりの相談 |
| 家族への支援 | 副作用のサインの見方を一緒に確認 | 介助の方法や住まいの工夫の相談 |
40〜64歳でも使える介護保険と足立区の相談先
関節リウマチは、介護保険の「特定疾病」に含まれています。介護保険は通常65歳以上の方が対象です。ただし特定疾病が原因で介護が必要になった場合は、40〜64歳の方でも要介護認定を申請できます(出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」)。
要介護認定を受けると、ヘルパーやデイサービス、福祉用具のレンタル、住宅改修などを組み合わせて使えるようになります。「まだ若いから介護保険は関係ない」と思わず、暮らしに困りごとが出てきた段階で申請を考えてみましょう。申請のタイミングについては、介護認定はとりあえず受けておくべき?|申請のタイミングと有効期間の注意点も参考にしてください。
足立区には、高齢者の暮らしの総合窓口である地域包括支援センター(ホウカツ)が25か所あります(出典:足立区 令和8年4月1日現在)。お住まいの地域ごとに担当が決まっているので、区のホームページで確認できます。40〜64歳の方の申請は、足立区の介護保険の窓口や、主治医・病院の相談員にも相談できます。
まとめ
関節リウマチは、関節だけでなく肺や骨にも影響する病気です。自助具や住まいの工夫で関節を守り、痛みの波に合わせて無理のない暮らしを整えることが大切です。薬を使っている方は、発熱やから咳、息切れといったサインに家族も気づけるようにしておきましょう。
すえひろ訪問看護ステーションは、ご本人とご家族が安心して暮らし続けられるよう、専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
「この程度で相談してよいのかな」と迷われたときこそ、どうぞお気軽にご相談ください。制度上難しいと思われることでも、一緒に考えさせてください。
よくあるご質問
Q. 関節リウマチでも訪問看護は使えますか。
A. 使えます。主治医が訪問看護の必要性を認めて指示書を出すことで、利用を始められます。要介護認定を受けている方は、原則として介護保険で利用します。どのような支援が合うかは、ケアマネジャーや訪問看護ステーションにご相談ください。
Q. 50代ですが、介護保険を使えますか。
A. 関節リウマチは介護保険の特定疾病に含まれています。40〜64歳の方でも、関節リウマチが原因で介護が必要な状態であれば要介護認定を申請できます。認定の結果によってサービスが使えるようになります。
Q. メトトレキサートを飲み忘れたらどうすればよいですか。
A. 医薬品ガイドでは、2回分を一度に飲まず、その回はとばして次の決められた日に飲むよう示されています。ただし、処方の内容は人によって異なるため、迷ったときは主治医や薬剤師に確認してください。
Q. かぜのような症状が出たら、薬は休むべきですか。
A. 自己判断で薬をやめたり続けたりせず、まず主治医に連絡してください。発熱やから咳、息切れは、感染症や間質性肺炎のサインのこともあります。休日や夜間に症状が出たときの連絡先も、あらかじめ主治医に確認しておくと安心です。
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