夜中、利用者様の呼吸が急に浅くなった。休日の朝、痰が絡んで苦しそう。ご自宅で療養されているご家族にとって、こうした急な変化ほど不安なものはありません。「誰に、どうやって連絡すればよいのか」と迷ってしまうご家族の声を、私たちすえひろ訪問看護ステーションでもよく伺います。
結論から申し上げると、訪問看護の緊急時対応は、24時間365日つながる連絡体制と、主治医・ケアマネジャー・薬剤師・介護職を含む多職種連携の2つの仕組みで支えられています。ご家族から一本の電話をいただければ、看護師が状況を伺い、電話助言・臨時訪問・救急要請の判断まで一貫して担わせていただきます。
本記事では、訪問看護の緊急時連携の全体像を、制度の枠組み・多職種の役割・実際の連絡フロー・費用の目安・ご家族の備えの5つの視点で整理します。「制度上難しいと言われたけれど」と迷われてきた方にも、まず一歩を踏み出していただけるようお伝えできれば嬉しく思います。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
記事内容に関するご質問は、お問い合わせフォームよりお願いいたします(お電話・コメント欄でのご質問にはお答えいたしかねます。回答までお時間をいただく場合があります)。
※訪問看護サービスのご利用・ご相談に関するお問い合わせは、受付時間(8:30〜17:30)にお電話でも承っております。
ご自宅療養中の急な体調変化、「誰に連絡すればいいのか」と迷ったことはありませんか
在宅療養では、平日昼間だけでなく、夜間・休日・早朝といったあらゆる時間帯に体調の変化が起こり得ます。訪問看護の緊急時連携とは、こうした計画外の困りごとに対して、事業所と多職種のチームで24時間対応する仕組みのことです。まずはご家族が抱えがちな戸惑いを、具体的な場面と一緒に整理していきます。
こんな場面で「連絡先が分からない」と困っていませんか
夜間に利用者様の熱が急に上がった。休日、経管栄養のチューブが抜けてしまった。呼吸が浅く、いつもと違う。こうした場面で、まず頭に浮かぶのはどこの連絡先でしょうか。119番の救急なのか、かかりつけ医なのか、ケアマネジャーなのか、訪問看護ステーションなのか、判断に迷うご家族は少なくありません。
「こんな時間に電話してよいのだろうか」と迷っているうちに、症状が進んでしまうこともあります。私が現場でご家族からよく伺うのは、「迷ったから朝まで様子を見てしまった」という声です。訪問看護の緊急連絡は、迷った時点でご相談いただいて構いません。緊急かどうかの判断そのものが、私たち専門職の役割だからです。
この記事で分かること(対応時間・連携する職種・費用・準備)
本記事では、次の5点を順に整理します。第一に、訪問看護の緊急時対応が制度上どう位置づけられているか。第二に、主治医・ケアマネジャー・薬剤師といった多職種がどう連携するか。第三に、一本の電話から訪問までの実際の流れ。第四に、緊急時訪問看護加算などの費用の目安。第五に、ご家族が今日から準備できる「緊急連絡カード」の作り方です。
訪問看護の「緊急時対応」とは:24時間365日を支える基本の仕組み
訪問看護の緊急時対応とは、あらかじめ契約を結んだ利用者様からの計画外の連絡に対し、電話助言または臨時訪問で対応する仕組みを指します。介護保険では「緊急時訪問看護加算」、医療保険では「24時間対応体制加算」といった枠組みで、夜間・休日でも連絡が取れる体制が制度的に担保されています。契約時に「24時間対応の希望」を伝えることが、この体制を使うための最初の一歩です。
| 項目 | 介護保険(緊急時訪問看護加算) | 医療保険(24時間対応体制加算) |
|---|---|---|
| 加算名称 | 緊急時訪問看護加算 | 24時間対応体制加算 |
| 対象となる利用者様 | 要介護認定を受け、訪問看護計画に基づき利用している方(24時間対応の同意が前提) | 末期がん・難病・急性増悪などで医療保険の訪問看護を利用している方 |
| 算定単位 | 月単位(体制維持の対価) | 月単位(体制維持の対価) |
| 自己負担の目安 | 1〜3割負担(所得区分による)/月あたり数百円〜千数百円が目安 | 1〜3割負担/高額療養費制度により月額上限あり |
| 出典 | 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」 | 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」 |
緊急時対応の定義と対象(医療保険・介護保険)
訪問看護は、介護保険と医療保険のいずれかで利用します。要介護認定を受けていれば原則として介護保険が優先されますが、末期がん・難病・急性増悪といった状態の利用者様は医療保険での訪問看護に切り替わります。緊急時対応の仕組みは、それぞれの保険制度の中で名称や算定単位が異なりますが、「24時間つながる連絡窓口を持つ」という点は共通です。
対象となるのは、事前に「24時間対応の契約」を結んだ利用者様です。契約書に緊急時の連絡先・想定される対応内容・費用が記載されているはずですので、いま一度ご確認いただくと安心につながります。契約内容が分かりにくい場合は、担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションに遠慮なく確認していただければと思います。
24時間対応体制加算とは(厚生労働省の枠組み)
「24時間対応体制加算」は、医療保険の訪問看護制度において、夜間・休日を含めた常時連絡と必要時の緊急訪問ができる体制を評価する加算です。事業所が地方厚生局へ届け出をしたうえで、利用者様の同意を得て算定されます。介護保険側の「緊急時訪問看護加算」も同じ思想で、月単位で算定される点が特徴です。「実際に緊急訪問がなかった月でも、体制を維持する対価として算定される」点は、事前に押さえておきたいポイントです。
「令和6年度診療報酬改定」および「令和6年度介護報酬改定」でも、24時間対応体制はより手厚く見直されています。詳細な単位数や自己負担額は年度・地域・所得区分で変わりますので、必ずケアマネジャー・訪問看護ステーション・保険者にご確認ください(出典:厚生労働省『令和6年度診療報酬改定』/『令和6年度介護報酬改定』)。
「緊急」と「相談」の線引き:まずは電話助言から始まる
「緊急連絡」というと、必ず看護師が訪問するイメージを持たれる方も多いかと思います。実際には、多くのご相談は電話助言だけで解決するケースも少なくありません。看護師が状況を伺い、「今夜はこの体位で様子を見ていただき、朝一で訪問します」といった具体的な指示をお伝えできれば、それだけでご家族の不安は大きく和らぎます。
一方で、意識の低下や呼吸状態の急変など、明らかに救急対応が必要と判断される場合は、119番の要請を私たちからお願いすることもあります。電話でまず状況を伺い、電話助言・臨時訪問・救急要請の3つの選択肢を専門職として判断する——これが緊急時対応の基本の流れです。訪問看護ステーション長沢・鶴川ひまわり Himawari Nursing vlogのチャンネルでも、緊急対応は「まず電話でトリアージ」という現場の実際が語られています(YouTube「#71 訪問看護の緊急対応 どんな内容?どんな対応?」)。
主治医・ケアマネジャー・薬剤師…緊急時に連携する多職種の役割
緊急時の判断は、訪問看護師だけで完結するものではありません。主治医への報告と指示受け、ケアマネジャーへの共有、薬剤師や理学療法士との情報連携など、多職種でひとつのチームとして利用者様を支えます。それぞれの職種が担う役割を家族側でも把握しておくと、「今、誰が何を判断しているのか」が見え、安心につながります。ここでは中心となる4職種の動きを整理します。
主治医:医療的判断と指示(オンコール体制)
緊急時に最終的な医療的判断を下すのは、あくまで主治医です。訪問看護師は電話または訪問で状態を評価したうえで、主治医に報告・相談し、必要に応じて臨時の指示(例:頓服の追加、点滴の指示、受診の指示)を仰ぎます。主治医との「オンコール体制」がしっかり組めているかどうかが、夜間の在宅療養を左右する要です。
在宅医療に力を入れている診療所では、夜間・休日の連絡先を明示していることが一般的です。契約時にケアマネジャーや訪問看護ステーションから、主治医のオンコール窓口を教えてもらえるはずですので、緊急連絡カード(後述)にも書き留めていただければ安心です。
ケアマネジャー:サービス調整とご家族支援
介護保険を利用されている場合、ケアマネジャー(介護支援専門員)が全体のサービス調整役を担います。緊急時対応そのものは訪問看護師と主治医が中心となりますが、対応後にケアプランを見直す・訪問回数を増やす・レスパイト入院を検討するといった調整は、ケアマネジャーの領域です。
私自身、ご家族から「夜間対応が続いて限界」というご相談を受けたときに、翌朝すぐケアマネジャーへ共有し、ショートステイの臨時利用まで数日でつなげた経験があります。緊急対応は「点」ではなく、その後のケアプラン全体まで見直す「線」の連携で完結する、と実感した場面でした。マイナビ看護師の密着リアルチャンネル(@mynavikangoshi 系列)が公開する「【訪問看護】【多職種連携】緊急訪問時のポイント」でも、緊急対応後の情報共有までを含めた連携が現場のリアルとして語られています。
薬剤師・理学療法士・介護職:日常ケアとの連続性
薬剤師は服薬管理・副作用モニタリングの視点から、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)はリハビリと日常動作の視点から、それぞれ緊急対応後の再発予防に関わります。「発熱の原因が服薬変更にありそう」と看護師が気づいた場合には、訪問薬剤師と情報を共有し、次回の主治医訪問時に相談する、といった流れが取られます。
ヘルパー(訪問介護員)や施設の介護職も、日常の細やかな変化に最初に気づく重要な存在です。訪問看護は「医療の目」、ヘルパーは「生活の目」を持っています。両者の申し送りが緊急対応の初動を早めるため、担当ヘルパーとの連絡ノートやICTツールを活用している事業所も増えています。
多職種で共有する「緊急時対応計画」の中身
在宅療養を安心して続けていただくために、訪問看護ステーションでは「緊急時対応計画」を作成し、多職種と共有します。含まれる主な項目は、想定される急変シナリオ・その際の初動フロー・連絡順序・主治医への報告基準・救急要請の判断基準などです。この計画は、契約時に一度作成すればよいものではなく、体調や介護状況が変わるたびに見直していきます。
「うちの家族の緊急時対応計画は、いま最新のものになっているだろうか」と気になった方は、担当の訪問看護師にお声がけください。利用者様お一人おひとりの状況に合わせて、都度アップデートするのが本来の運用です。
実際の緊急連絡フロー:ご家族からの一本の電話から訪問までの流れ
ご家族から緊急連絡が入ってから、訪問看護師が到着するまでの流れを、時間軸で追ってみます。「電話でまず何を聞かれるのか」「どんな判断で臨時訪問となるのか」を知っておくと、いざという時に落ち着いて情報を伝えていただけます。大きくは、STEP1〜STEP4の4段階で進みます。
STEP1:まず落ち着いて事業所へ電話(伝えていただきたい5項目)
まず、契約している訪問看護ステーションの24時間対応窓口に電話をおかけください。深呼吸をひとつしてから、次の5項目を落ち着いてお伝えいただけると、看護師の判断がスムーズになります。
- 誰の(利用者様のお名前)
- いつから(症状が出た時刻)
- どんな症状か(発熱・呼吸・意識・出血 等の具体)
- 今のバイタル(可能な範囲で。体温だけでも構いません)
- 直前の出来事(食事・排泄・服薬・入浴の有無)
言葉に詰まっても構いません。看護師が順番に伺っていきますので、まずは電話をおかけいただくことが最優先です。うまく話せない不安から連絡が遅れることのないよう、日頃から「まずは電話」というシンプルなルールを共有しておきましょう。
STEP2:看護師の判断(電話助言・臨時訪問・救急要請)
電話で情報を伺ったうえで、看護師は3つの選択肢から判断します。ひとつめは電話助言のみ(体位変換・水分補給・経過観察の指示等)。ふたつめは臨時訪問(バイタル測定・処置・主治医への報告)。みっつめは救急要請(意識障害・重度呼吸不全等の場合、119番と併走)。
このトリアージは、利用者様の既往歴・普段の状態・「緊急時対応計画」を踏まえて行われます。「電話で助言だけになった」ことに拍子抜けを感じる必要はありません。適切な電話助言だけで済むように整えてあること自体が、24時間対応体制の価値です。
STEP3:主治医への報告と指示受け
臨時訪問または救急要請が必要と判断した場合、看護師は並行して主治医に電話報告を行い、必要な指示を受けます。頓服使用・点滴・救急搬送先の相談などがこの段階で決まります。オンコール担当の医師がすぐに電話に出られない場合は、事前に取り決めた代替連絡先に連絡します。
ご家族には、この時点で状況と今後の見通しを短くお伝えします。「主治医と相談中ですので、あと○分で折り返します」といった一言があるだけで、待つ時間の不安は大きく違うものです。情報の透明性が、在宅療養における信頼の基礎だと考えています。
STEP4:訪問看護師の到着と対応(記録・ご家族への説明)
臨時訪問となった場合、看護師は必要な物品を持って利用者様のご自宅に伺い、バイタル測定・処置・観察を行います。対応内容は「訪問看護記録書」に残し、翌営業日に主治医・ケアマネジャーへ改めて共有します。ご家族には、対応内容・今後の観察ポイント・再度連絡いただきたいサインを、その場で口頭とメモでお伝えします。
「昨夜の対応、あれで本当によかったのだろうか」と後から不安になられることもあります。そのようなときは、翌日以降の定期訪問時に遠慮なくご質問ください。振り返りまで含めて、緊急対応はひと続きのケアです。
「緊急時訪問看護加算」制度の概要と自己負担の目安
夜間・深夜・早朝や、計画外の臨時訪問には、通常の訪問看護料とは別に「緊急時訪問看護加算」等が算定されます。介護保険・医療保険で仕組みが異なるため、月あたりの目安と自己負担のイメージを整理しておきましょう。実際の負担額は所得区分・保険種別・地域で変動するため、必ずケアマネジャーや当ステーションにご確認いただく前提でお読みください。
| 項目 | 介護保険:緊急時訪問看護加算 | 医療保険:24時間対応体制加算 |
|---|---|---|
| 算定単位 | 月単位(緊急訪問がなかった月も原則算定) | 月単位(体制維持の対価として算定) |
| 主な要件 | 24時間連絡体制/緊急訪問可能な体制/利用者様の同意 | 24時間連絡体制/地方厚生局への届出/利用者様の同意 |
| 自己負担の目安 | 月あたり数百円〜千数百円が目安(1〜3割負担) | 高額療養費制度により月額上限あり(1〜3割負担) |
| 併算定できる主な加算 | 特別管理加算・看護体制強化加算 等 | 特別管理加算・24時間連絡体制関連 等 |
| 出典 | 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」 | 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」 |
介護保険の緊急時訪問看護加算(月ごとの算定)
介護保険における「緊急時訪問看護加算」は、24時間の連絡体制を確保し、必要時に緊急訪問を行える体制を月単位で評価する加算です。「実際に緊急訪問が行われた月」だけでなく、体制を維持するための対価として、原則として毎月算定される点が特徴です。単位数は年度改定で見直されますので、最新の単位数は厚生労働省の告示および担当ケアマネジャーにご確認ください(出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定』)。
自己負担割合は原則1割ですが、所得区分に応じて2割・3割となる場合もあります。月あたりの自己負担額は数百円〜千数百円程度になることが一般的ですが、地域単価と単位数によって前後します。
医療保険の24時間対応体制加算と特別管理加算の考え方
医療保険で訪問看護を利用されている場合、24時間の連絡・訪問体制は「24時間対応体制加算」として月単位で評価されます。あわせて、気管カニューレ・膀胱留置カテーテル・在宅酸素療法などの医療的ケアが多い利用者様には「特別管理加算」が算定されます。加算の詳細は診療報酬告示に定められています(出典:厚生労働省『令和6年度診療報酬改定』)。
日本ケアコミュニケーションズが公開する「【詳細解説!】<訪問看護> 緊急時訪問看護加算 2024年介護報酬改定」でも、加算の要件と実務上の運用が詳しく解説されています。制度は数年ごとに改定されるため、「昨年の説明と違う」ということが起こり得る点にはご注意ください。
自己負担の目安と、費用が心配なときの相談先
「毎月一定額が上乗せされる」と聞くと負担感を心配される方もいらっしゃいます。医療保険には高額療養費制度・公費負担医療制度(例:難病医療費助成、自立支援医療)が、介護保険には高額介護サービス費制度が用意されています。所得区分と該当制度により、自己負担の月額に上限が設けられているケースが少なくありません。
費用の見通しに不安がある場合は、まずはケアマネジャー・地域包括支援センター・訪問看護ステーションにご相談ください。「費用が心配だから24時間対応をやめる」という判断をされる前に、一度お話を聞かせていただきたいというのが、私たちの本音です。
すえひろ訪問看護ステーションが緊急時にできること・できないこと
透明性を大切にする姿勢から、緊急時に「私たちが担える範囲」と「制度上難しい範囲」を先にお伝えしておきます。ただし、制度上難しいと思われることでも、「利用者様が本当に望まれていることは何か」を一緒に考えさせてください。ここは、諦めずに可能性を探る姿勢の原点です。
できること(電話助言・臨時訪問・多職種への連絡調整 等)
すえひろ訪問看護ステーションが緊急時に担えるのは、次のような役割です。
- 24時間の電話相談・電話助言
- 必要時の臨時訪問(バイタル測定・処置・観察)
- 主治医の指示に基づく医療処置(点滴・吸引・褥瘡処置 等)
- 主治医への報告と指示受け
- ケアマネジャー・薬剤師・ヘルパーへの連絡調整
- ご家族への説明とその後の観察ポイントの共有
- 訪問看護記録書の作成と多職種への共有
「専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます」——これは、すえひろの共通した姿勢です。私たちが担える範囲を明確にしたうえで、責任の所在をはっきりさせることが、ご家族の安心にもつながると考えています。
できないこと(医師の診察・救急搬送・家事援助・買い物代行 等)
一方で、次のような業務は制度上・職能上、訪問看護ではお引き受けできません。
- 医師の診察・診断・処方(主治医の業務)
- 救急搬送そのもの(救急隊の業務)
- 家事援助・掃除・調理(ヘルパーの業務)
- 買い物代行
- 医療保険・介護保険の対象外の自費サービスの提供(当ステーションでは自費サービスは扱いません)
線引きが厳しいと感じられるかもしれませんが、それぞれの職種・機関が本来の役割に集中することで、結果的に利用者様への支援の質が上がるというのが在宅ケアの基本的な考え方です。「これはうちの仕事ではありません」で終わらせず、必要な窓口へ確実におつなぎするところまでを、訪問看護の役割と捉えています。
「難しい」と言われたことでも、まずはご相談ください
他の事業所や機関で「難しい」と言われた経験を持って、ご相談にいらっしゃるご家族も少なくありません。制度の枠を超えて何ができるかを本気で考えるのが、すえひろの姿勢です。「無理かもしれない」と諦める前に、様々な可能性を一緒に探っていきましょう。
たとえば、夜間対応が続いてご家族が疲弊しておられるケースでは、レスパイト入院・ショートステイ・訪問回数の見直し・別サービスの導入など、複数の選択肢を組み合わせてご提案します。訪問看護単体では解決できないことでも、多職種の力を借りれば道が開けることは少なくありません。
ご家族が今日から準備できる「緊急連絡カード」チェックリスト
緊急時に慌てないための最大の備えは、「連絡先と情報をひとつの紙にまとめておくこと」です。冷蔵庫や電話台の見えるところに貼っておくだけで、ご家族以外の方でも初動対応ができるようになります。今日から使えるチェックリストをご紹介します。

書いておきたい8項目(連絡先・かかりつけ医・服薬情報 等)
緊急連絡カードには、最低でも次の8項目を書いておきましょう。
- 利用者様の氏名・生年月日・保険証番号
- 現在の主な病名と直近の状態
- かかりつけ医(主治医)の氏名と連絡先(夜間窓口も)
- 訪問看護ステーションの24時間連絡先
- ケアマネジャーの氏名と連絡先
- 服用中の薬(お薬手帳の写しでも可)
- アレルギー・禁忌事項
- ご家族の緊急連絡先(複数)
書き終えたら、冷蔵庫のドア・電話台・玄関の内側など、誰が見てもすぐ分かる場所に貼っておきます。ご家族以外のヘルパーや近隣の方が発見してくださった場合にも、迅速な連絡がつながります。
誰が見ても分かる置き場所の工夫
緊急連絡カードは「貼ってある」ことが分かる場所に置くのが原則です。冷蔵庫のドアは救急搬送時にも参照される可能性が高い定番の場所ですが、玄関ドアの内側や電話台の見える面もおすすめです。書式は手書きでもワードでも構いません。「作ること」より「更新し続けること」のほうが大切です。
「救急医療情報キット」を配布している市区町村もあります。足立区在住の方は、区役所や地域包括支援センターにお問い合わせいただくと、専用の容器・書式を入手できることがあります。地域ごとの制度は変わりますので、最新情報は自治体の窓口でご確認ください。
定期的に見直したいタイミング(入退院・服薬変更 等)
連絡カードは一度作って終わり、ではありません。次のようなタイミングで、必ず内容の見直しをしてください。
- 入退院があったとき(診療科・主治医が変わることがあるため)
- 服薬内容が変わったとき
- ケアマネジャーや訪問看護担当者が変わったとき
- ご家族の連絡先が変わったとき(携帯番号・勤務先 等)
私自身、担当変更のご挨拶に伺った際、以前の担当者の携帯番号がそのまま貼られたままだったケースを何度も見てきました。古い連絡先が残っていることは、緊急時に致命的な遅れを生む要因です。半年に一度は見直しの機会を持っていただければと思います。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 訪問看護の緊急時対応では、連絡してからどのくらいで訪問してもらえますか?
A. 事業所の体制やご自宅までの距離、そのときの緊急度によって異なります。24時間対応体制を届け出ている訪問看護ステーションでは、電話でまず状況を確認し、必要と判断した場合に速やかに臨時訪問を行います。すべてのご連絡で即時訪問となるわけではなく、電話助言で解決するケースや、救急要請をおすすめするケースもあります。専門職として一つひとつ判断させていただきます。
Q. 夜間や早朝でも、本当に訪問看護に連絡してよいのですか?
A. 24時間対応体制を届け出ているステーションでは、夜間・深夜・早朝でも連絡を受ける体制を整えています。ご家族が「こんな時間に連絡してよいのか」と迷われるお気持ちはよく分かりますが、迷った時点でご相談いただいて構いません。緊急かどうかの判断も、私たち専門職が担う役割の一つです。
Q. 緊急時訪問看護加算は、契約したら必ず費用がかかりますか?
A. 介護保険の緊急時訪問看護加算は、月あたりの算定で、24時間の連絡体制を確保する対価として設定されています。実際に緊急訪問がなかった月も原則算定されるため、月々の負担額は事前にケアマネジャーや当ステーションにご確認ください。医療保険の場合は仕組みが異なるため、対象となる制度に応じて別途ご説明します。
Q. 主治医やケアマネジャーとは、どのように情報共有されるのですか?
A. 訪問看護開始時に作成する「訪問看護計画書」「緊急時対応計画」を、主治医・ケアマネジャーと共有します。緊急対応時にはその都度、電話やICTツールで報告・相談を行い、記録は「訪問看護記録書」として残します。ご家族に共有できる範囲もありますので、ご希望があればお伝えください。
Q. 「こんなことは相談してよいのか分からない」というときは、どうすればよいですか?
A. 「こんなこと相談してもいいのかな」と迷われるご相談こそ、ぜひ早めにお寄せください。すえひろ訪問看護ステーションでは、制度上難しいと思われることでも、利用者様の幸せのために何ができるかを一緒に考えさせていただきます。まずはお気軽に、かかりつけ医・ケアマネジャー、または当ステーションまでご連絡ください。
おわりに
訪問看護は、ご自宅での療養生活を医療面から支えるサービスです。私たちすえひろ訪問看護ステーションは、利用者様お一人おひとりが望まれる生活を実現するため、制度にとらわれず、「どうすればこの方が幸せに暮らせるか」を本気で考え、諦めずに実行していきます。
「こんなこと相談してもいいのかな」「制度上難しいと言われたけれど…」と迷われることも、どうぞお気軽にご相談ください。専門職としての責任と誇りを持って、真摯に向き合わせていただきます。
まずは、かかりつけ医やケアマネジャーにご相談いただくか、当ステーションまで直接お問い合わせいただければと思います。
参考文献・出典
- 厚生労働省『令和4年介護サービス施設・事業所調査』https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22.html
- 厚生労働省『令和6年度介護報酬改定』https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37988.html
- 厚生労働省『令和6年度診療報酬改定』https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00043.html
- 訪問看護ステーション長沢・鶴川ひまわり Himawari Nursing vlog「#71 訪問看護の緊急対応 どんな内容?どんな対応?」
- 【マイナビ看護師】看護師の密着リアルチャンネル「【訪問看護】【多職種連携】緊急訪問時のポイント」
- 日本ケアコミュニケーションズ【NDソフトウェアグループ】「【詳細解説!】<訪問看護> 緊急時訪問看護加算 2024年介護報酬改定(2024年3月版)」
