この記事の要点(30秒でわかる)
- 事業所には苦情を受ける窓口を置く義務があります。言ってよいことです
- 順番は、事業所の管理者 → ケアマネジャー → 区の窓口 → 国保連です
- 足立区の窓口は基幹地域包括支援センター(03-6807-2460)です
- 伝えるときは、感想ではなく「いつ・何があったか」を時系列で書き出します
訪問看護を利用していて、「今の対応は違うのではないか」と感じることがあります。
言おうかどうか迷ううちに、次の訪問日が来てしまう。そのまま我慢して、担当を代えてほしいとも言い出せない。そうしたご相談を、私たちもお聞きすることがあります。
苦情を伝えることは、わがままではありません。 事業所には苦情を受け付ける窓口を置くことが運営基準で義務づけられており、伝えられる前提で仕組みが作られています。そして伝えていただかないと、事業所側は問題に気づけません。
すえひろ訪問看護ステーションも、お叱りをいただくことがあります。そのとき私たちが困るのは、苦情そのものではなく、何も言われないまま利用をやめられてしまうことです。
この記事では、どこに、どういう順番で、どう伝えればよいのかを、足立区の窓口を含めて整理します。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
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苦情を言う窓口は、制度として決まっています
まず知っておいていただきたいのは、これが個別の善意ではなく制度として用意された仕組みだということです。
介護保険のサービス事業所は、運営基準によって苦情を受け付ける窓口を設けることが義務づけられています。契約時にお渡しする重要事項説明書には、その連絡先が必ず書かれています。
さらに、市町村が第一次的な苦情受付の窓口として位置づけられており、そこで扱いが難しい場合や、事業所と居住地の市区町村が違う広域的な場合には、国民健康保険団体連合会が窓口になります。これは介護保険法第176条第1項第3号を根拠とする業務です(出典:厚生労働省 介護保険制度/東京都国民健康保険団体連合会)。
つまり、苦情は最初から想定されていて、段階ごとに受け皿が用意されています。
どこに相談すればよいか
言いにくい相手を飛ばして、外の窓口から入って構いません
事業所の管理者
担当者にではなく管理者へ。連絡先は契約時の重要事項説明書に書かれています
ケアマネジャー
間に立って事業所に伝えてもらえます。事業所の変更も一緒に検討できます
足立区 基幹地域包括支援センター
03-6807-2460
事業者と区に連絡をとり、あっせん調整をしてサービスの改善を促します
東京都国民健康保険団体連合会
03-6238-0177
調査を行い、必要に応じて事業者を指導します。市区町村での扱いが難しい場合や広域の場合の窓口です
この順に進まなければならない決まりはありません
まず、担当者ではなく管理者へ
いちばん多い行き違いは、担当の看護師本人にだけ伝わっていて、事業所として把握されていないというものです。
担当者に「もう少し早く来てほしい」と伝えても、それが個人の受け止めで終わってしまえば、シフトも記録も変わりません。事業所として動かすには、管理者に伝わる形にする必要があります。
「クレームにしたいわけではないのですが」と前置きして構いません。実際、そう言っていただいたほうが事業所側も身構えずに聞けます。伝える相手は、契約書に書かれている管理者か、事業所の代表番号です。
担当者を代えてほしい、という希望も言っていただいて大丈夫です。相性の問題は誰にでもあり、事業所側も言われなければ気づけません。
担当の看護師が代わるときにも、同じように早めの共有が役に立ちます。引き継ぎで確認しておきたいことは担当訪問看護師が変わるときにご家族がすべきことをまとめた記事にあります。
ケアマネジャーは、間に立つ役割です
介護保険で訪問看護を利用している場合、ケアマネジャーに相談するのが有力な方法です。
ケアマネジャーはサービス全体を組み立てる立場なので、事業所に直接言いにくいことを代わりに伝えてもらえます。サービス担当者会議の場で議題にすることもできますし、事業所そのものを変えるという選択肢も一緒に検討できます。
「事業所を紹介してくれたのがケアマネジャーだから、言いにくい」と感じる方がいらっしゃいますが、紹介した責任があるからこそ、ケアマネジャーは調整に動きます。 遠慮していただく必要はありません。
足立区の窓口|基幹地域包括支援センター
事業所とケアマネジャーに伝えても変わらないとき、次は区の窓口です。
足立区では、基幹地域包括支援センター(03-6807-2460) が、利用者様やご家族からサービスへの苦情や相談を受け付けています。受け付けた内容について事業者と区に連絡をとり、あっせん調整を行い、サービスの改善を促す役割を担っています(出典:足立区 介護サービスに関する苦情・相談窓口)。
介護保険の手続きそのものについては、足立区介護保険課の保険給付係(03-3880-5743)が窓口です。
足立区でご相談いただける窓口
足立区 基幹地域包括支援センター
03-6807-2460
サービスへの苦情・相談。事業者と区に連絡をとり、あっせん調整を行います
足立区 介護保険課 保険給付係
03-3880-5743
介護保険の給付や手続きに関すること
東京都国民健康保険団体連合会
03-6238-0177
調査のうえ、必要に応じて事業者を指導します。市区町村での扱いが難しい場合や、事業所と住まいの市区町村が異なる場合の窓口です
東京都国民健康保険団体連合会
区の窓口でも解決しない場合、あるいは事業所の所在地と住んでいる市区町村が違う場合は、東京都国民健康保険団体連合会(03-6238-0177) が窓口になります。
国保連は受け付けた苦情について調査を行い、必要に応じて事業者に指導します。介護サービスの質の向上に関する調査と、指定事業者への指導・助言を行うことが、介護保険法で定められた業務です。
順番に上がっていく決まりはありません。 事業所に言いづらい事情があるなら、区や国保連に直接ご相談いただいて構いません。
なお、この仕組みは介護保険のサービスを対象としたものです。医療保険で訪問看護を利用されている場合も、事業所の管理者と主治医に伝えるという流れは同じです。
伝え方は「感想」より「事実の時系列」
どこに伝える場合でも、伝わりやすさが変わるポイントがあります。感想ではなく、いつ何があったかを時系列で書き出すことです。
「対応が雑だった」だけでは、事業所側は何を直せばよいか分かりません。「8月5日の訪問で、予定の14時に対して15時20分に来られた。連絡はなかった」であれば、記録と照合してすぐ確認できます。
伝え方を変えるだけで、確認できる形になります
| 伝わりにくい | 伝わりやすい |
|---|---|
| 対応が雑だった | 8月5日の訪問で、予定の14時に対して15時20分に来られた。事前の連絡はなかった |
| 話を聞いてくれない | 血圧の数値を伝えたが記録を見せてもらえず、主治医に伝わったかどうか分からない |
| 本人と合わない | 本人の前で病状の説明を大きな声でされ、そのあと本人が落ち込んでいる |
日付・時刻・具体的な言動の3点があれば、事業所は記録と突き合わせて確認できます
書き出すときは、日付・時刻・具体的な言動の3点を意識してください。メモを見ながら電話していただいて構いません。
訪問の時間が短い、回数が納得できないといったご相談の場合は、制度上の決まりを知っておくと話がしやすくなります。訪問看護の時間や回数は誰が決めるのか|2026年6月の改定で明確になったこともあわせてご覧ください。
まとめ
訪問看護で行き違いがあったとき、伝える先は制度として用意されています。事業所には苦情窓口を置く義務があり、市町村が第一次的な受付窓口、そこで難しい場合は国民健康保険団体連合会が対応します。
順番としては、事業所の管理者、ケアマネジャー、足立区の基幹地域包括支援センター(03-6807-2460)、東京都国民健康保険団体連合会(03-6238-0177)となりますが、この順に進まなければならない決まりはありません。
伝えるときは、感想ではなく日付・時刻・具体的な言動を書き出してください。それだけで、事業所が確認できる形になります。
すえひろ訪問看護ステーションは、うまくいかなかったことも含めてお聞きしたいと思っています。制度上むずかしいと思われることでも、まずは一緒に考えさせてください。専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
よくある質問
Q. 苦情を言うと、サービスを断られたりしませんか?
A. 苦情を理由にサービスを打ち切ることは、運営基準に反します。事業所は苦情を受け付ける窓口を置く義務を負っています。
Q. 担当の看護師さんとの相性が合わないだけでも相談してよいですか?
A. 構いません。相性は誰にでもあり、担当の変更は事業所側で調整できる事柄です。言われなければ気づけないことでもあります。
Q. ケアマネジャーが紹介してくれた事業所なので、言いにくいのですが。
A. 紹介した立場だからこそ、ケアマネジャーは調整に動きます。事業所の変更を含めて相談していただいて大丈夫です。
Q. いきなり区や国保連に相談してもよいのでしょうか。
A. 構いません。順番に上がっていく決まりはありません。事業所に直接言いづらい事情があるなら、外の窓口から入っていただいて問題ありません。
Q. 医療保険で訪問看護を使っています。同じ窓口でよいですか?
A. 国保連の苦情処理は介護保険のサービスを対象としたものです。医療保険で利用されている場合は、まず事業所の管理者と主治医にお伝えください。
参考資料
- 足立区「介護サービスに関する苦情・相談窓口」 https://www.city.adachi.tokyo.jp/kaigo/kurashi/hoken/kaigo-kujo.html
- 東京都国民健康保険団体連合会 https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度について」 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/02/index.html
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