この記事の要点(30秒でわかる)
- 通院が難しい方も、訪問診療の中で接種している医療機関があります。
- 足立区の高齢者インフルエンザは令和8年10月1日から。自己負担は無料です。
- 肺炎球菌は「65歳の1年間」だけが無料です。過ぎると全額自己負担です。
- 打てるかどうかを決めるのは主治医です。まず相談の順番を整えましょう。
秋が近づくと、足立区から予防接種の封筒が届きます。ところが在宅で療養されているご家庭では、その封筒がそのまま引き出しにしまわれてしまうことがあります。
医療機関へ連れて行くことが難しいからです。車椅子での移動、待合室での待ち時間、寒い時期の外出。どれもご家族にとって大きな負担です。
けれども、通院が難しいことと接種を諦めることは同じではありません。ご自宅で受けられる道はあります。すえひろ訪問看護ステーションは、「どこに聞けばいいのか分からない」段階からのご相談を承っています。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。
この記事では、寝たきりの方でも接種できるのか、足立区の令和8年度の助成はどうなっているのか、接種の前に確認したいこと、そして誰にどの順番で相談すればよいかを順にご説明します。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
記事内容に関するご質問は、お問い合わせフォームよりお願いいたします(お電話・コメント欄でのご質問にはお答えいたしかねます。回答までお時間をいただく場合があります)。
※訪問看護サービスのご利用・ご相談に関するお問い合わせは、受付時間(8:30〜17:30)にお電話でも承っております。
寝たきりでも予防接種は受けられますか
受けられる場合が多くあります。ただし、打ってよいかどうかを最終的に判断するのは主治医です。寝たきりであること自体が接種できない理由になるわけではなく、そのときの体調と持病の状態を医師が診たうえで決まります。
通院が難しい方の選択肢は大きく2つです。訪問診療や往診をしている医療機関に診察の中で接種してもらう方法と、介助を得て指定医療機関まで足を運ぶ方法です。厚生労働省も、寝たきりで在宅介護を受けている方について、かかりつけ医や訪問診療の医師に相談するよう案内しています(出典:厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A)。
ここで気をつけたい点があります。足立区の助成を使って無料で受けられるのは、区が定めた指定医療機関で接種した場合です(出典:足立区 高齢者インフルエンザ予防接種)。訪問診療の医師に依頼するときは、その医療機関が指定医療機関になっているかを事前に確認してください。
なお、足立区の公式ページには、在宅の高齢者を対象にした区独自の「訪問接種」の制度についての記載は見当たりませんでした(2026年8月時点 ※要確認)。制度としての仕組みがあるかどうかは、区の予防接種の窓口にお問い合わせいただくのが確実です。
区から届いた封筒を探します。届いていない、なくした場合は足立区の予防接種の窓口へ申請してください。
打ってよいかどうかを判断するのは医師です。まずここに聞きます。
訪問診療や往診の中で接種している医療機関があります。
助成を使って無料で受けられるかどうかが、ここで変わります。
熱、食欲、眠れたかどうか。普段の様子と比べて伝えてください。
医療機関では接種後30分は院内で安静にします。自宅での過ごし方は医師の指示に従ってください。
訪問看護師が予防接種を打つことはできますか
訪問看護師が単独の判断で予防接種を行うことはありません。予防接種は、医師が予診をして「この方に打ってよいか」を判断したうえで実施されるものだからです。
注射という行為そのものは、医師の指示のもとで看護師が診療の補助として行える範囲に含まれます。ただし、問診で集めた情報をふまえた最終的な可否の判断は、医師でなければできません(出典:日本医事新報社 医師の指示で看護師が行う予防接種は違法?)。
ご自宅での接種を実現する鍵を握っているのは訪問診療の医師です。訪問看護は、日々の訪問で体温や食事量、眠れているかどうかを記録に残しています。医師が接種の可否を考えるとき、その記録が材料のひとつになります。
主治医とのやり取りの仕組みは、訪問看護指示書の役割と主治医への頼み方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
| 医師にしかできないこと | 訪問看護師が担えること |
|---|---|
| 接種してよいかの最終判断(予診) | 日々の体温・体調の記録 |
| 使うワクチンの決定 | 接種前後の様子の観察と報告 |
| 接種の実施・看護師への指示 | 気になる変化を医師へ連絡 |
| 副反応が出たときの対応の指示 | ご家族からの疑問を医師へつなぐ |
訪問看護師が単独の判断で予防接種を行うことはありません。
足立区のインフルエンザ予防接種(令和8年度)
足立区の高齢者インフルエンザ予防接種は、令和8年10月1日から令和9年1月31日までです。対象は接種日時点で区に住民登録がある65歳以上の方、および60歳以上65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障がいのある方(身体障害者手帳1級相当)です。自己負担は無料です(出典:足立区 高齢者インフルエンザ予防接種)。
助成がない場合の費用はおよそ6,000円とされています(出典:同上)。無料になるのは期間中1回限りで、2回目以降や期間外の接種は全額自己負担です。
予診票は区から郵送されます。令和8年9月11日に発送予定と案内されていますが、区の別のページでは「9月末までに郵送」とも書かれており、届く時期には幅があるとお考えください(出典:足立区)。
転入されたばかりの方や予診票をなくした方は申請が必要です。窓口での申請なら即日交付されますが、電話やオンラインでの申請には10日程度かかるとされています(出典:足立区 高齢者インフルエンザ予防接種)。10月の接種を考えているなら、9月のうちに手元を確認しておくと安心です。
厚生労働省は、日本での流行が例年12月から4月であることから、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています(出典:厚生労働省 令和6年度インフルエンザQ&A)。年内に済ませる、と覚えておくとよいでしょう。
高齢者福祉施設に入所している方を対象とした国内の研究では、34から55パーセントの発病を阻止し、82パーセントの死亡を阻止したとの報告があります(出典:厚生労働省 インフルエンザワクチン(季節性))。かからなくするというより、重くしないためのワクチンです。
令和8年度の高齢者予防接種スケジュール(足立区)
出典:足立区(2026年8月時点)、厚生労働省 令和6年度インフルエンザQ&A
肺炎球菌ワクチンは「65歳の1年間」が無料の窓です
高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種は、対象になる期間が非常に短いのが特徴です。足立区では65歳の方が対象で、接種できる期間は65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの1年間だけです。自己負担は0円です(出典:足立区 高齢者肺炎球菌ワクチン定期予防接種)。
60歳以上65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器の機能などに障がいのある方は、60歳の誕生日の前日から65歳の誕生日の前日までが対象期間です。いずれも、過去に一度も肺炎球菌ワクチンを接種したことがない方が対象です(出典:同上)。
予診票は、区が把握している接種履歴で未接種とされている方に、誕生月の前月末に郵送されます(出典:同上)。インフルエンザのように毎年秋に届くものではなく、誕生月に合わせて一度だけ届きます。66歳の誕生日を過ぎると助成の対象から外れ、全額自己負担になります。
令和8年4月1日から、定期接種で使うワクチンが変わりました。23価の肺炎球菌ワクチン(PPSV23)から、20価の肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)に切り替わっています(出典:足立区、厚生労働省 高齢者の肺炎球菌ワクチン)。令和7年度に発行された予診票はそのまま使えるため、再発行の手続きは要りません(出典:足立区)。
なお、高齢者の肺炎には、細菌が原因のものだけでなく、食べ物や唾液が誤って気管に入ることで起きる誤嚥性肺炎もあります。ワクチンとは別の対策が必要な領域です。誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケアと食事の工夫について解説した記事もご参照ください。
無料で受けられるのは「65歳の1年間」だけです
全額自己負担
自己負担0円
全額自己負担
新型コロナと帯状疱疹にも助成があります
足立区には、インフルエンザと肺炎球菌のほかに、新型コロナウイルスと帯状疱疹の助成もあります。新型コロナの定期接種は令和8年10月1日から令和9年3月31日までで、対象の範囲はインフルエンザと同じです。自己負担は無料で、助成がない場合の費用はおよそ16,000円とされています(出典:足立区 新型コロナウイルスワクチン接種情報)。
帯状疱疹ワクチンの定期接種は、令和8年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方が対象で、全額公費負担です。期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までとされています(出典:足立区 帯状疱疹ワクチン予防接種費用を助成します)。助成を受けられる機会が生涯に1度だけという点にご注意ください。
インフルエンザと新型コロナを同じ日に接種することは、医師の判断により可能とされています(出典:足立区 高齢者インフルエンザ予防接種)。ご自宅での接種を考えている場合、まとめられるかどうかも主治医に相談してみてください。移動や準備の負担が一度で済みます。
| ワクチン | 対象 | 期間(令和8年度) | 自己負担 | 予診票の届き方 |
|---|---|---|---|---|
| インフルエンザ | 65歳以上 60〜64歳の障がいのある方 |
令和8年10月1日〜 令和9年1月31日 |
無料 | 9月に郵送 |
| 肺炎球菌 | 65歳 60〜64歳の障がいのある方 |
誕生日を起点に1年間 | 無料 | 誕生月の前月末に郵送 |
| 新型コロナ | 65歳以上 60〜64歳の障がいのある方 |
令和8年10月1日〜 令和9年3月31日 |
無料 | 9月に郵送 |
| 帯状疱疹 | 令和8年度に65・70・75・80・85・90・95・100歳になる方 | 令和8年4月1日〜 令和9年3月31日 |
無料 (生涯1度だけ) |
区のページでご確認ください |
出典:足立区(2026年8月時点)。60〜64歳の対象は、心臓・腎臓・呼吸器の機能などに障がいのある方(身体障害者手帳1級相当)です。
接種の前に確認しておきたいこと
接種当日に体調が整っていないと、その日は見送りになります。予防接種を受けることが適当でない状態として、厚生労働省は「明らかな発熱(通常37.5度以上)のある方」「重い急性疾患にかかっている方」などを挙げています(出典:厚生労働省)。
在宅療養中の方の場合、ここで大事になるのが普段の体温を知っておくことです。平熱が低い方は、37.5度に届かなくてもその方にとっては発熱ということがあります。日ごろの記録があると、医師が判断しやすくなります。
予診票は前日までに書いておくと当日が楽です。持病やお薬のこと、これまでに予防接種で具合が悪くなったことがあるかどうかを記入する欄があります。迷う欄は空欄のままにせず、当日医師に確認してください。
副反応も知っておいてください。インフルエンザワクチンでは、接種した部分の赤みや腫れ、痛みが10から20パーセントの方に、発熱や頭痛、寒気、だるさが5から10パーセントの方に起こり、いずれも通常2から3日で消えます。医療機関で接種した場合は接種後30分は院内で安静にすることになっており、帰宅後に異常が見られたときは速やかに医師に連絡してください(出典:厚生労働省 令和6年度インフルエンザQ&A)。ご自宅で接種を受けた場合の様子の見方は、接種した医師の指示に従ってください。
なお、この持病があるから打てる、打てないという判断を、ご家族やインターネットの情報だけで決めないでください。同じ病名でも状態は人それぞれです。判断は主治医にお任せください。
接種の前に確認しておきたいこと
予診票は手元にありますか(なければ区へ申請)
その医療機関は足立区の指定医療機関ですか
普段の体温(平熱)を書き出してありますか
当日の熱・食欲・眠れたかを確認しましたか
お薬手帳は用意できていますか
予診票で書きにくい欄に印をつけましたか
明らかな発熱(通常37.5度以上)や重い急性疾患があるときは接種できません。判断は主治医にお任せください。
迷ったときの相談の順番
順番を決めてしまうのが早道です。最初にするのは、予診票が手元にあるかどうかの確認です。窓口での申請なら即日交付されるので、なくした場合も間に合います(出典:足立区 高齢者インフルエンザ予防接種)。
次が主治医への相談です。「通院が難しいので自宅で打てないか」と率直に伝え、あわせてその医療機関が区の指定医療機関かどうかも聞いておくと確実です。ケアマネジャーが関わっている方は、この段階で共有しておくと移動の手立ても一緒に考えてもらえます。訪問看護に入っている場合は、訪問のときにお声かけください。足立区での訪問看護の使い方そのものが分からないという方は、足立区の訪問看護の対応エリアと利用の流れをまとめたガイドからご覧ください。
足立区の予防接種の窓口
予診票の発行と再発行、制度や対象の確認
主治医・訪問診療の医師
打ってよいかの判断と、接種そのもの
ケアマネジャー
通院の手立てや、サービスの調整
訪問看護師
日々の体調の記録と、医師への橋渡し
まとめ
寝たきりであることが、そのまま接種できない理由になるわけではありません。訪問診療の中で接種している医療機関があります。打てるかどうかを最終的に判断するのは主治医です。
足立区の令和8年度の助成は、インフルエンザが10月1日から令和9年1月31日まで無料、新型コロナが10月1日から令和9年3月31日まで無料です。肺炎球菌は65歳の誕生日から1年間だけが無料の窓で、この期間を過ぎると全額自己負担になります。帯状疱疹の助成は生涯に1度だけです。
予診票は9月ごろに区から郵送されます。届いた封筒をしまい込まず、まず中身を確認してください。すえひろ訪問看護ステーションは、季節の備えもケアの一部だと考えています。誰に相談すればよいか分からないという段階でも構いません。ご一緒に順番を整えさせてください。
迷ったら、まず予診票を探すこと。次に主治医に「自宅で打てますか」と聞くこと。この2つから始めてみてください。
よくある質問
訪問診療の先生に頼めば、無料で接種できますか
その医療機関が足立区の指定医療機関であれば、助成の対象になります。指定医療機関でない場合は全額自己負担になる可能性があります。依頼する前に、医療機関か区の窓口に確認してください。
肺炎球菌ワクチンを昔打った気がします。もう一度打てますか
定期接種の対象になるのは、過去に一度も肺炎球菌ワクチンを接種したことがない方です。自費で受けた履歴は区で把握できないため、対象外の方にも予診票が届くことがあります。接種歴がはっきりしないときは、主治医にご相談ください。
熱があるときは、少し下がってから打ってもよいですか
自己判断で決めないでください。明らかな発熱(通常37.5度以上)や重い急性疾患があるときは接種できないとされています。平熱が低い方は37.5度に届かなくても発熱の場合があります。当日の体温と普段の体温を医師に伝えて、判断を仰いでください。
訪問看護師に打ってもらうことはできますか
訪問看護師が単独の判断で予防接種を行うことはありません。接種してよいかどうかの判断は医師が行います。ご自宅での接種を希望される場合は、訪問診療の医師やかかりつけ医にご相談ください。
訪問看護のことなら、
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制度・費用・サービス内容、何でもお気軽に
「制度上難しいかも」と思われることでも、まずはご相談ください。
専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
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