この記事の要点(30秒でわかる)
- 訪問看護指示書は、主治医が交付する書類です。これがないと訪問看護は始められません。
- 依頼の多くはケアマネジャーや訪問看護ステーションが代行します。ご家族の手続きはわずかです。
- 費用は訪問看護指示料300点(3,000円)で、窓口負担は1〜3割です。
- 有効期間は最長6か月です。更新もこちらでご案内しますのでご安心ください。
「訪問看護をお願いしたい」とご相談いただくと、必ず出てくるのが指示書という言葉です。医師の書類が要ると聞いて、身構えてしまう方は少なくありません。ご家族が病院に頭を下げて回るのだろうか、何日かかるのだろうか、そんな不安をお持ちの方もいらっしゃいます。
実際のところ、ご家族にお願いする手続きはごくわずかです。訪問看護指示書のやりとりは、私たち訪問看護ステーションやケアマネジャーが主治医との間に立って進めます。ご家族には「訪問看護を使いたい」と主治医に一言お伝えいただければ、そこから先は専門職が引き継ぎます。
すえひろ訪問看護ステーションでは、書類の手続きでご家族の時間を奪わないことを大切にしています。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。ご相談の段階で主治医が決まっていなくても、一緒に道筋を考えさせてください。
この記事では、訪問看護指示書とは何か、誰が依頼するのか、費用はいくらか、有効期間はどれくらいかを順にご説明します。読み終える頃には、ご家族が何をすればよいかがはっきりしているはずです。
訪問看護指示書とは|主治医が出す「訪問看護を始めるための書類」
訪問看護指示書とは、主治医が訪問看護ステーションに宛てて交付する書類です。利用者様の病名や状態、看護師が行ってよい医療的なケアの内容が記載されています。介護保険で使う場合も医療保険で使う場合も、この指示書がなければ訪問看護は始められません。
訪問看護は、医師の指示にもとづいて提供される医療サービスです。看護師が独自の判断で医療行為を行うことはできません。そのため、主治医からの指示書が訪問看護のスタート地点になります。
指示書には厚生労働省が定めた標準様式があります(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 訪問看護指示書 別紙様式16)。全国どこの医療機関でも、記載する項目は基本的に同じです。主治医にとっては見慣れた書類ですので、「特別なお願い」ではないとご理解ください。
記載されるのは、主たる傷病名、現在の状態、内服中のお薬、必要な処置や医療機器の管理などです。この内容にそって、私たちは訪問時に行うケアを組み立てます。血圧の管理から点滴、褥瘡(じょくそう・床ずれ)の処置まで、指示書の範囲内で対応します。
精神科の訪問看護をご利用になる場合は、精神科訪問看護指示書という別の様式が使われます。どちらが必要かは主治医が判断しますので、ご家族が選ぶ必要はありません。
訪問看護指示書には何が書かれているの?
全国共通の様式です。主治医にとっては見慣れた書類ですのでご安心ください。
主たる傷病名
在宅で療養される理由となる病名が記載されます。
現在の病状・治療状態
今どのような状態にあるかを主治医が記載します。
投与中の薬剤
服用中のお薬を看護師が把握するための欄です。
日常生活自立度
どの程度ご自身で動けるかの目安が示されます。
留意事項および指示事項
看護師が行ってよいケアの内容が書かれます。
訪問看護指示期間
1か月から6か月の範囲で主治医が設定します。
この内容にそって、訪問時に行うケアを組み立てます。
訪問看護指示書は誰が主治医に依頼するのですか
訪問看護指示書の依頼は、ケアマネジャーや訪問看護ステーションが代行することが一般的です。法令上「ご家族が依頼しなければならない」という決まりはありません。ご家族には、主治医の診察の際に「訪問看護を使いたい」とお伝えいただくだけで十分な場合がほとんどです。
訪問看護ステーションは、サービスの提供を始めるにあたり、主治医の文書による指示を受けなければならないと定められています(出典:厚生労働省 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 平成11年厚生省令第37号)。つまり、指示書を受け取ることは事業所側の責任です。ご家族が書類を取りに行く必要はありません。
介護保険をご利用の方には担当のケアマネジャーがいます。この場合、ケアマネジャーが主治医に訪問看護の必要性を相談し、指示書の依頼まで進めることが多くあります。ケアプランに訪問看護を位置づける流れの中で、自然に手続きが進みます。
医療保険で訪問看護をご利用になる方には、ケアマネジャーがいないこともあります。40歳未満の方や、お子様の場合がこれにあたります。このようなときは、訪問看護ステーションが直接、医療機関に連絡して依頼を進めます。
医療機関への依頼窓口は、多くの場合は地域連携室や医事課です。日々こうしたやりとりを重ねている部署ですので、手続きは滞りなく進みます。診療所では、医師や受付の方が直接対応してくださることもあります。
ご家族にお願いしたいのは、主治医への一言と、訪問看護ステーションを決めていただくことの2点です。「どの事業所に頼めばよいかわからない」という段階でのご相談も歓迎しています。一緒に考えさせてください。
訪問看護が始まるまでの流れ
ご家族にお願いすること
主治医に「訪問看護を使いたい」とお伝えいただく
訪問看護ステーションへのお問い合わせだけでも構いません。ご家族が動くのはここだけです。
ケアマネジャー/訪問看護ステーション
主治医に訪問看護指示書を依頼
医療機関の地域連携室や医事課などとやりとりします。書類の手続きは専門職が進めます。
主治医
訪問看護指示書を交付
必要なケアの内容が指示書に記載され、訪問看護ステーションに届きます。
訪問看護ステーション
初回訪問・ケアの開始
ご自宅にお伺いし、指示書の内容にそったケアを始めます。
ご家族の手続きはSTEP 1のみです。残りは私たちが引き継ぎます。
訪問看護指示書の費用はいくらかかりますか
訪問看護指示書の費用は、訪問看護指示料として300点(3,000円)と定められています。窓口でお支払いいただくのは、この1〜3割にあたる金額です。3割負担の方で900円程度、1割負担の方で300円程度が目安になります。
この費用は主治医の医療機関が算定するものです(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料)。そのため、訪問看護ステーションにお支払いいただく利用料とは別に、医療機関の窓口でのお支払いになります。
実際には、その日の診察料や検査料とあわせて請求されます。指示書の費用だけが独立した明細で示されるとは限りません。請求のされ方は医療機関によって異なりますので、気になる場合は窓口でお尋ねください。
指示書は1度交付されれば、有効期間中は繰り返し費用がかかるものではありません。更新のたびに指示料がかかる形になります。毎月の負担が積み重なる性質の費用ではないとお考えいただいて差し支えありません。
なお、訪問看護そのものの利用料は、介護保険か医療保険かによって計算方法が変わります。どちらの保険が使えるかや自己負担の考え方は訪問看護の医療保険と介護保険の違いでくわしくご説明しています。自己負担割合はいずれも1〜3割で、所得によって異なります。費用の見通しについては、ご契約の前に必ずご説明いたします。
訪問看護指示書の費用の目安
訪問看護指示料
300点=3,000円
お支払い先は主治医の医療機関です(訪問看護ステーションの利用料とは別)。実際にはその日の診察料などとあわせて請求されるため、金額はあくまで目安です。
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料
指示書の有効期間は最長6か月|更新と「特別訪問看護指示書」
訪問看護指示書の有効期間は、1か月から6か月の範囲で主治医が設定します。6か月を超える期間は設定できません(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料)。期間が終わる前に更新の手続きが必要になりますが、これも私たちが主治医に依頼します。
多くの場合、主治医は6か月の期間で交付されます。半年に1度、更新のやりとりが発生するとお考えください。指示期間の記載がない指示書は、交付日から1か月間の指示として扱われます。
更新の時期が近づくと、訪問看護ステーションから主治医に依頼を行います。ご家族に「そろそろ更新です」と催促のご連絡をすることはありません。ケアが途切れないよう、余裕をもって手続きを進めます。
体調が急に悪くなったときには、特別訪問看護指示書という書類が使われます。急性増悪(きゅうせいぞうあく・病状が急に悪化すること)や終末期、退院直後などが対象です。週4回以上の頻回な訪問が必要と主治医が認めた場合に交付されます。
この指示書の期間は14日以内で、原則として月1回まで交付できます。気管カニューレ(のどに入れて呼吸を助ける管)を使用している方は、月2回まで交付が可能です。真皮を超える褥瘡、つまり皮膚の深い層にまで達した床ずれがある方も同様です。
月2回の交付を受けた場合は、最大28日間にわたって集中的な訪問看護を受けられます。状態が不安定な時期に、訪問回数を増やせる仕組みだとご理解ください。
特別訪問看護指示書が交付されると、主治医の医療機関で特別訪問看護指示加算100点(1,000円)が加算されます(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料)。窓口でお支払いいただくのは、この1〜3割にあたる金額です。通常の指示料に上乗せされる形になります。
2種類の指示書の違い
| 訪問看護指示書 | 特別訪問看護指示書 | |
|---|---|---|
| 有効期間 | 1か月〜6か月 | 14日以内 |
| 交付の回数 | 期間ごとに更新 | 原則 月1回 (気管カニューレ使用中の方、真皮を超える褥瘡がある方は月2回) |
| 使う場面 | 継続的なケア全般 | 急性増悪(急な悪化)・終末期・退院直後など |
| 訪問の頻度 | ケアプランにそった頻度 | 週4回以上の頻回訪問も可能 |
| 依頼する人 | ケアマネジャー/訪問看護ステーション | 訪問看護ステーションが状態の変化を主治医に報告し、主治医が必要と判断した場合に交付 |
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料
主治医に頼みにくい・そもそも主治医がいないと感じるとき
主治医に言い出しにくいときも、主治医が決まっていないときも、訪問看護をあきらめる必要はありません。私たち訪問看護ステーションから医療機関にご連絡することができます。まずはその状況をそのままお話しください。一緒に道筋を考えさせてください。
「忙しそうな先生に手間をかけさせてしまう」と気にされるご家族は多くいらっしゃいます。ですが、訪問看護指示書の交付は医師にとって日常的な業務です。訪問看護が入ることで、主治医は在宅での様子を継続的に把握できるようになります。
通院先が複数あり、どの医師にお願いすべきか迷う場合もあります。指示書を交付できるのは、原則として主治医おひとりです。複数の診療科や複数の医療機関から重ねて交付を受けることはできません。訪問看護指示料も、利用者様1人につき月1回に限り算定すると定められています(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料)。どの科の医師が適切かは、在宅で必要なケアの内容によって変わります。判断に迷われるときは、私たちが状況を伺って整理いたします。
入院中の方は、退院前の段階から準備を始められます。退院前カンファレンスの場に訪問看護師が同席し、病院の主治医と直接やりとりできることもあります。退院日から切れ目なくケアを始めるためには、早めのご相談が有効です。
主治医がいない状態からのご相談も承っています。在宅療養を支えてくださる医療機関のご紹介を含め、ご状況に応じてご案内します。専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
まとめ
訪問看護指示書は、主治医が交付する訪問看護のスタート地点となる書類です。介護保険でも医療保険でも必要になりますが、依頼の手続きはケアマネジャーや訪問看護ステーションが代行することが一般的です。費用は訪問看護指示料300点(3,000円)の1〜3割で、有効期間は最長6か月です。更新の手続きも私たちが進めますので、ご家族が期限を気にする必要はありません。
すえひろ訪問看護ステーションは、書類の手続きでご家族の時間と気力を使わせないことを大切にしています。主治医とのやりとりも、更新の管理も、急な体調変化のときの対応も、私たちが引き受けます。手続きに費やす時間は、できるだけ利用者様と過ごす時間に充てていただきたいと考えています。
主治医に相談しにくい、そもそもどこから手をつけてよいかわからない。そんな段階でのご相談こそ、遠慮なくお寄せください。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。一緒に考えさせてください。
よくある質問
訪問看護指示書はご家族が主治医にお願いしないといけませんか
いいえ、ご家族が手続きを進める必要はありません。ケアマネジャーや訪問看護ステーションが主治医に依頼を行うことが一般的です。ご家族には、診察の際に「訪問看護を使いたい」と主治医にお伝えいただければ十分です。
訪問看護指示書の費用は毎月かかりますか
毎月かかるものではありません。訪問看護指示料300点(3,000円)は、指示書が交付されるときに算定されます。有効期間は最長6か月ですので、更新のタイミングで発生するとお考えください。窓口でのお支払いは負担割合に応じて1〜3割です。
指示書をもらってから訪問看護が始まるまで、どれくらいかかりますか
医療機関によって異なりますが、依頼から交付まで数日から2週間程度が目安です。退院に合わせて始めたい場合は、入院中からご相談いただくと間に合いやすくなります。お急ぎのご事情があれば、その旨をお知らせください。
主治医が訪問看護指示書を出してくれない場合はどうなりますか
まずは主治医がどのような点を心配されているのかを伺います。訪問看護の必要性やケアの内容をご説明することで、交付いただけるようになる場合があります。状況によっては、他の医療機関を含めた選択肢を一緒に検討させてください。
介護保険を使っていなくても訪問看護指示書は必要ですか
はい、必要です。訪問看護指示書は介護保険と医療保険のどちらで利用する場合にも交付が必要になります。介護認定を受けていない方や、お子様が医療保険で利用される場合も同じです。
