この記事の要点(30秒でわかる)
- 不登校のお子さんも、医師が必要と判断すれば訪問看護を利用できます
- 利用は「受診→指示書→契約」の3ステップ。医療保険や公費で負担を抑えられる場合があります
- 足立区には教育相談・SSR・保健センターの思春期相談など複数の窓口があります
- すえひろの子ども支援チームは、学校復帰ではなく「お子さんの安心と回復」を最優先にします
「学校に行けない日が続いているけれど、どこに相談すればいいのかわからない」「昼夜逆転が進んで、家族の声かけにも反応が薄くなってきた」——不登校のお子さんを見守るご家族から、そんな不安の声を多くお聞きします。
実は、訪問看護はこうしたお子さんとご家族を支える選択肢のひとつです。看護師がご自宅にうかがい、生活リズムの調整や不安への対処を、お子さんのペースに合わせてお手伝いします。
すえひろ訪問看護ステーションには、不登校や発達特性のあるお子さんを支える「子ども支援チーム」があります。学校に戻すことをゴールにせず、お子さんの安心と回復を最優先に考える姿勢を大切にしています。
この記事では、訪問看護をどう使い始めるかという制度と手続きの流れ、そして足立区で利用できる相談先・社会資源をまとめてご紹介します。
目次
不登校のお子さんに訪問看護が使える理由
不登校のお子さんは、医師が「訪問看護が必要」と判断し、指示書を発行すれば、年齢を問わず訪問看護を利用できます。看護師がご自宅を訪問し、心と体の両面からお子さんの回復を支える、医療保険制度に位置づけられたサービスです。
不登校は今、特別なことではなくなっています。文部科学省の調査によると、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人で、12年連続の増加となり過去最多を更新しました(出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。
小・中学校の不登校児童生徒数の推移
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和6年度結果ほか)をもとに作成。12年連続で増加しています。
不登校の背景には、不安や抑うつなどの心の不調、ASD(自閉スペクトラム症・じへいスペクトラムしょう)やADHD(注意欠如・多動症)といった発達特性が関わっていることがあります。こうした状態に対して医師が在宅での支援を必要と判断した場合、訪問看護の対象になります。
朝起きられないなど体の不調が背景にある場合は、起立性調節障害(OD)の可能性もあります。ODと訪問看護の関わりについては、別記事「起立性調節障害(OD)と訪問看護」で詳しくご紹介しています。
通院だけでは、診察室の短い時間で「家での様子」を伝えきれないことが少なくありません。訪問看護は通院と通院の間を埋め、ご家庭での状態を主治医と共有する役割も担います。
訪問看護でできること|すえひろ子ども支援チームの支援内容
訪問看護では、安心できる関係づくりを土台に、生活リズムの調整、不安への対処スキルのサポート、外出への段階的なチャレンジ、保護者の方への助言、関係機関との連携までを担います。「治療」よりもまず「安心」から始めるのが特徴です。
すえひろ訪問看護ステーションでは、10名体制の子ども支援チームを立ち上げ、不登校のお子さん、不安や抑うつなど心の不調を抱えるお子さん、ASD・ADHDなどの発達特性のあるお子さんとそのご家族を支援しています。
すえひろ子ども支援チームの6つの支援内容
安心できる関係づくり
まず「会えること」を目標に、ドア越しの声かけから少しずつ。
生活リズムの調整
起床・食事・睡眠を無理のないペースで一緒に整えます。
不安対処スキルのサポート
呼吸法など気持ちを落ち着ける方法を一緒に練習します。
外出・活動への段階的チャレンジ
玄関先に出る、近所を歩くなど小さなステップを重ねます。
保護者の不安軽減・関わり方の助言
ご家族のお話をうかがい、関わり方を一緒に考えます。
主治医・学校・教育支援センターとの連携
お子さんを囲む支援の輪を多職種でつなぎます。
最初の目標が「会えること」になるお子さんもいらっしゃいます。無理に部屋へ入ることはせず、ドア越しの声かけや短い挨拶から、少しずつ関係を育てていきます。信頼関係ができてくると、起床・食事・睡眠といった生活リズムを一緒に整える段階に進めます。
不安が強いお子さんには、呼吸法など気持ちを落ち着ける方法を一緒に練習します。外が苦手なお子さんには、玄関先に出る、近所を歩くといった小さなステップを積み重ねます。「昼に起きられた」「今日は会話ができた」——そうした小さな変化こそが、回復の確かな一歩だと私たちは考えています。
ご家族への支援も訪問看護の大切な役割です。関わり方に迷う保護者の方のお話をうかがい、不安を軽くするお手伝いをします。さらに、主治医・学校・教育支援センターと情報を共有し、お子さんを囲む支援の輪をつなぎます。
私たちは、学校に戻すことをゴールにはしません。お子さんの安心と回復が最優先です。その先の進路は、お子さん自身が選べるようになってから、一緒に考えていけば十分だと考えています。
利用開始までの流れ|受診から訪問開始までの3ステップ
訪問看護の利用は「①医療機関を受診する → ②医師が必要性を判断し指示書を発行する → ③訪問看護ステーションと契約する」という3ステップで始まります。ご家族が複雑な手続きを抱え込む必要はありません。
最初のステップは、精神科・心療内科・児童精神科・小児科などの医療機関の受診です。すでに通院中であれば、診察の際に「訪問看護を使えますか」と主治医に伝えるだけで話が進みます。
訪問看護 利用開始までの3ステップ
医療機関を受診する
精神科・心療内科・児童精神科・小児科など。通院中なら主治医に「訪問看護を使えますか」と相談するだけで進みます。
医師が必要性を判断し、訪問看護指示書を発行
精神科の場合は「精神科訪問看護指示書」。医療保険で訪問看護を受けるための前提となる書類です。
訪問看護ステーションと契約・訪問開始
訪問の曜日・時間と当面の目標を一緒に決めます。お子さんの状態は指示書を通じて主治医と共有されます。
医師が訪問看護を必要と判断すると、訪問看護指示書(精神科の場合は精神科訪問看護指示書)が発行されます。この指示書は、訪問看護が医療保険で提供されるための前提となる書類です。
その後、訪問看護ステーションと契約を結び、訪問の曜日や時間、当面の目標を一緒に決めて訪問が始まります。お子さんの状態は指示書を通じて主治医と共有され、医療と在宅支援が切れ目なくつながります。
かかりつけの医療機関がまだない場合は、後ほどご紹介する足立区の相談窓口や保健センターを入り口にして、医療機関につながる方法もあります。どの順番で動けばよいか迷うときは、訪問看護ステーションに先にご相談いただいても構いません。
費用のしくみ|医療保険と公費でどこまで軽減できるか
お子さんの訪問看護には医療保険が適用されます。さらに、足立区の子ども医療費助成や自立支援医療といった公費制度を使うことで、自己負担を大きく抑えられる場合があります。費用を理由に諦める前に、使える制度を確認することが大切です。
足立区では、0歳から18歳に達した日以後最初の3月31日までのお子さんを対象に、子ども医療費助成制度(マル乳・マル子・マル青医療証)があり、保険診療の自己負担分が助成されます(出典:足立区「子ども医療費助成制度」)。医療保険が適用される訪問看護も、この助成の対象とされています。
お子さんの訪問看護|費用軽減のしくみ
医療保険が適用される
医師の指示書にもとづく訪問看護は医療保険のサービス。かかるのは自己負担分のみです。
子ども医療費助成(マル乳・マル子・マル青医療証)
0歳から18歳到達後最初の3月31日まで、保険診療の自己負担分を助成。所得制限はありません。
自立支援医療(精神通院医療)
精神科に通院しながら利用する場合の制度。認められると対象医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。
助成の対象範囲や手続きは保険・状況により異なります。実際の費用は契約前にステーションへご確認ください。
精神科に通院しながら訪問看護を利用する場合には、自立支援医療(精神通院医療)という制度もあります。申請が認められると、対象となる医療費の自己負担が原則1割に軽減されます(出典:厚生労働省 自立支援医療制度)。
ただし、助成の対象範囲や手続きは、加入している保険やお子さんの状況によって異なります。実際にいくらかかるのかは、契約前に訪問看護ステーションへ遠慮なくお尋ねください。すえひろでも、制度の使い方から一緒に考えさせていただきます。
足立区の不登校相談先・社会資源
足立区には、こども支援センターげんきの教育相談、中学校内のスモール・ステップ・ルーム(SSR)、保健センターの思春期・青年期保健相談など、不登校に関する複数の相談先があります。医療・教育・保健のどの入り口からでも、支援につながることができます。
教育の窓口としては、こども支援センターげんきの教育相談があります。不登校や学習、性格など教育上の悩みについて、担当の教育相談員が継続的な面接で一緒に解決策を考えてくれます。西新井・綾瀬・竹の塚の3つの地域窓口があり、予約制です(出典:足立区「教育相談」)。
学校の中の居場所としては、スモール・ステップ・ルーム(SSR)があります。教室に入りづらいと感じた生徒が、落ち着いた空間で自分のペースで学習・生活できる校内の教室で、不登校の未然防止を目的としています。令和6年4月に区立中学校4校で始まり、令和8年度には合計25校への拡大が予定されています(出典:足立区「不登校未然防止策事業」)。
| 相談先 | こんなときに | 特徴 |
|---|---|---|
| こども支援センターげんき (教育相談) | 不登校・学習・性格など教育の悩みを相談したい | 教育相談員との継続面接。西新井・綾瀬・竹の塚の3窓口。予約制 |
| スモール・ステップ・ルーム (SSR) | 教室には入りづらいが学校とのつながりは保ちたい | 区立中学校内の落ち着ける教室。自分のペースで学習・生活。令和8年度に計25校へ拡大予定 |
| 保健センター 思春期・青年期保健相談 | 心の不調・ひきこもりを専門医に相談したい | 精神科医による心の健康相談。おおむね40歳未満の本人・ご家族。事前申込制 |
| 成仁病院 こころの発達支援室 | 発達特性が気になる・検査を受けたい | 心理検査・発達検査。来院が難しい場合の訪問支援あり。予約制 |
| 訪問看護ステーション | 家から出られないお子さんを自宅で支えてほしい | 看護師が自宅を訪問。生活リズム・不安対処・ご家族支援。医師の指示書で利用 |
出典:足立区公式ページ・各機関公式ページをもとに作成(2026年6月時点)。最新の受付状況は各窓口にご確認ください。
心と体の窓口としては、各保健センターで実施されている思春期・青年期保健相談があります。おおむね40歳未満の方とそのご家族を対象に、精神科医による心の健康相談を受けられ、不登校やひきこもりの相談にも対応しています。事前の申し込みが必要です(出典:足立区「思春期・青年期保健相談」)。
発達特性が気になる場合は、区内の成仁病院に併設されたこころの発達支援室という窓口もあります。心理検査・発達検査のほか、来院が難しいお子さんへの訪問支援も行われており、予約制です(出典:医療法人社団成仁「こころの発達支援室」)。
どこに相談すべきか迷ったときは、いちばん話しやすい窓口からで構いません。訪問看護ステーションに先にご連絡いただければ、状況をうかがいながら、適切な窓口へのつなぎ方も一緒に考えさせていただきます。
まとめ|お子さんの「安心」から始める在宅支援
不登校のお子さんも、医師が必要と判断すれば訪問看護を利用できます。利用の流れは「受診→指示書→契約」の3ステップで、足立区の子ども医療費助成などにより費用負担を抑えられる場合があります。足立区には教育相談・SSR・保健センターなど複数の相談先があり、どこからでも支援につながれます。
すえひろ訪問看護ステーションの子ども支援チームは、学校に戻すことをゴールにしません。「会えた」「話せた」「昼に起きられた」という小さな変化を積み重ね、お子さんの安心と回復を最優先に、ご家族とともに歩みます。
「うちの子に訪問看護なんて大げさでは」と迷われる方こそ、一度お話をお聞かせください。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。お子さんの在宅支援について、専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 診断名がついていなくても訪問看護を利用できますか?
訪問看護の利用には医師の指示書が必要なため、まず医療機関の受診が入り口になります。受診先に迷う場合は、足立区の保健センターや教育相談、訪問看護ステーションへの相談から始めることもできます。
Q2. 子どもが「会いたくない」と言っています。それでも意味はありますか?
はい。最初は保護者の方とお話しするだけでも構いません。お子さんに無理をさせず、手紙やドア越しの声かけなど、「会えること」を最初の目標に少しずつ関係を育てていきます。
Q3. 訪問看護を使うと、学校復帰を急かされませんか?
すえひろでは学校復帰をゴールにしていません。お子さんの安心と回復を最優先に、生活リズムや気持ちの安定を整えることから始めます。その先の選択肢は、お子さんのペースで一緒に考えます。
Q4. 費用はどのくらいかかりますか?
医療保険が適用され、足立区の子ども医療費助成(マル乳・マル子・マル青医療証)の対象となるため、自己負担を大きく抑えられる場合があります。状況によって異なるため、契約前にご確認いただけます。
Q5. 親だけの相談から始めることはできますか?
できます。お子さんへの関わり方に迷う保護者の方の不安を軽くすることも、訪問看護の大切な支援のひとつです。ご家族からのご相談を入り口に、お子さんへの支援へ少しずつ広げていけます。

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