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服薬管理の看護計画|在宅でのOP・TP・EPの立て方と計画書の書き方

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 訪問看護計画書は省令で作成が義務づけられ、2年間の保存と主治医への定期提出が必要です
  • 服薬の計画は「飲めていない」ではなく「なぜ飲めないか」を特定してから立てます
  • OPは観察、TPは看護師が行うケア、EPは利用者様とご家族へ伝えることに分けます
  • 毎日の服薬管理が必要でも毎日は訪問できないため、訪問しない日の設計が要になります

この記事は、在宅で服薬管理の看護計画を立てる訪問看護師の方に向けたものです。

病棟と在宅では、服薬管理の前提が大きく違います。病棟なら決まった時刻に看護師が配薬できますが、在宅では利用者様ご自身かご家族が飲むことになり、訪問看護師がその場にいない時間のほうが圧倒的に長くなります。「計画は立てたが、次の訪問で残薬が減っていない」という経験をお持ちの方も多いはずです。

すえひろ訪問看護ステーションでも、服薬管理はご相談をいただくことの多いテーマです。制度上むずかしいと思われることでも、まずは一緒に考えさせてください。

この記事では、訪問看護計画書に何を書く必要があるのか、服薬管理をOP・TP・EPにどう分けるのか、そして訪問しない日をどう設計するのかを整理します。

📝 当コラムの記事内容について

当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。

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訪問看護計画書に、服薬管理をどう位置づけるか

訪問看護計画書は、書きたい人が書く書類ではありません。健康保険法などの規定にもとづく厚生労働省令によって作成と整備が義務づけられており、2年間の保存が必要です。あわせて、主治医と連携して適切な訪問看護を提供するため、計画書と報告書を定期的に主治医へ提出しなければなりません(出典:厚生労働省 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法に関する留意事項)。

提出の頻度については「定期的に」とされるのみで、具体的な間隔は示されていません。多くのステーションが月1回の運用にしているのは、報告書の作成周期に合わせているためです。

服薬管理を計画に載せるときに大切なのは、指示書に書かれた内容と対応づけることです。主治医の指示書に「服薬管理」とあるなら、計画書側にはそれを具体的な看護の言葉へ落とし込んだ記載が必要になります。

計画書は、指示書と報告書をつなぐ位置にあります

訪問看護指示書

主治医が発行。ここに「服薬管理」とあれば、計画書で具体化します

訪問看護計画書省令で義務・2年保存

アセスメントをもとにOP・TP・EPを立てます

訪問(実施)

残薬を数え、観察し、伝えます。訪問しない日の設計もここに含みます

訪問看護報告書省令で義務・2年保存

観察したことを数で書きます

主治医へ定期的に提出

頻度は「定期的に」とされるのみ。多くは月1回の運用です

報告を受けて指示が見直され、また計画書へ戻ります

計画を立てる前に「なぜ飲めないか」を特定する

服薬の問題を「飲み忘れ」の一語でまとめてしまうと、計画は必ず空回りします。同じ飲み忘れでも、原因によって打つ手がまったく違うからです。

在宅でよく見られるのは次の切り分けです。覚えていられないのか、飲む動作ができないのか、飲みたくないのか、そもそも薬が手元にないのか。認知機能の低下による物忘れなら環境を変える工夫が効きますが、副作用がつらくて自分で止めている場合に服薬カレンダーを増やしても解決しません。

薬が手元にない、というのも在宅では珍しくありません。受診できていない、処方箋を薬局に出していない、経済的な理由で受け取っていない——これらは看護の工夫では埋まらず、ケアマネジャーや薬剤師、ご家族との調整が先になります。

「飲めない理由」を4つに切り分ける

同じ飲み忘れでも、原因によって打つ手が変わります

1認知

  • 薬の必要性を理解しているか
  • 飲んだことを覚えているか
  • いつ飲むかが分かるか

2動作

  • 包装を開けられるか
  • 飲み込めるか
  • 文字や目盛りが見えるか

3意思

  • 副作用がつらくないか
  • 薬への不信はないか
  • 症状が消えたと感じていないか

4供給

  • 受診できているか
  • 処方箋を薬局に出したか
  • 費用の負担が重くないか

原因を特定するために最も役立つのは、残薬の実物を数えることです。「飲めています」という自己申告と、シートに残った数が合わないことはよくあります。数えた結果は、そのまま報告書に書ける客観的な情報になります。

OP|観察計画に何を入れるか

OP(観察計画)は、訪問のたびに看護師が確認する項目です。服薬管理では、薬そのものだけでなく薬が効いている結果も観察の対象になります。

具体的には、残薬の数と種類、服薬カレンダーやお薬ボックスの使われ方、飲み忘れが起きた曜日や時間帯の偏り、副作用を疑う症状の有無、そして血圧や血糖といった疾患ごとの指標です。降圧薬なら血圧、糖尿病薬なら血糖と低血糖症状というように、薬と観察指標を一対で置くと計画が具体的になります。

ご家族が管理している場合は、ご家族の負担も観察項目に入れてください。介護されている方が疲れきってしまうと、服薬管理は最初に崩れる部分のひとつです。

TP|訪問看護師が実際に行うこと

TP(ケア計画)には、看護師がその手で行うことを書きます。「服薬管理を行う」では計画になりません。

実際に書く内容は、服薬カレンダーやお薬ボックスへの薬のセット、残薬の確認と記録、内服の見守りと確認、副作用の観察と主治医への報告、一包化や剤形変更の提案です。一包化そのものは薬剤師の業務ですので、看護師は必要性を見つけて提案し、つなぐ役割になります。

訪問時に薬を飲んでいただく場合は、訪問時間と服薬時刻を合わせる調整も計画に含めます。朝食後の薬があるのに訪問が午後なら、その日の朝の分は看護師が確認できません。ここは次の項目に直結します。

服薬管理をOP・TP・EPに分けると

区分意味服薬管理での具体例
OP観察すること残薬の数と種類/服薬カレンダーの使われ方/飲み忘れの曜日と時間帯/副作用を疑う症状/血圧・血糖など疾患別の指標/ご家族の負担
TP看護師が行うことカレンダーやお薬ボックスへのセット/残薬の確認と記録/内服の見守り/主治医への報告/一包化や剤形変更の提案
EP伝えることその薬が何のためかの説明/飲み忘れたときの対応/連絡が必要な症状/薬局と主治医へのつなぎ方

EP|利用者様とご家族へ伝えること

EP(教育・指導計画)は、看護師がいない時間を支えるための計画です。在宅では訪問していない時間のほうが長いため、EPの出来がそのまま結果に出ます

伝える内容は、その薬が何のための薬なのか、飲み忘れに気づいたときにどうするのか、どんな症状が出たら連絡するのか、そして連絡先はどこかの4点が中心になります。特に「飲み忘れたときにどうするか」は、あらかじめ決めておかないと自己判断で2回分をまとめて飲んでしまうことがあります。

ご家族に伝えるときは、できていないことを指摘する形にしないことが大切です。管理を担っているご家族は、すでに十分に努力されていることがほとんどです。

毎日の管理が必要でも、毎日は訪問できません

在宅の服薬計画で最大の壁がここです。介護保険では区分支給限度基準額があり、要介護度によって組めるサービスの量が決まります。毎日の服薬管理が必要でも、毎日の訪問看護を入れられない利用者様がいます。

そのため、訪問しない日をどう設計するかが計画の中心になります。実際に使われている方法は、1週間分の薬を服薬カレンダーにまとめてセットしておく、通所やヘルパーなど他の事業所の訪問時に声かけをお願いする、ご家族に電話で確認していただく、といった組み合わせです。

すえひろでは、リハビリの必要性が高い利用者様について、リハビリスタッフが訪問の際に服薬を確認することもあります。看護師の訪問回数を増やせない場合でも、チーム全体で見る形に置き換えることはできます。

計画書には、この「訪問しない日の担い手」まで書いておくと、担当が変わったときにも運用が続きます。

計画は見直して初めて意味を持ちます

立てた計画は、報告書を書くときに必ず振り返ってください。残薬の数が減っていないなら、原因の見立てが違っていたか、EPが届いていないかのどちらかです。

見直すときの問いはシンプルです。設定した目標は、訪問しない日も含めて達成できる設計になっていたか。 ここが噛み合っていないまま同じ計画を続けても、数字は動きません。

主治医への報告では、「飲めていません」ではなく「朝食後の分だけ7日中4日残っており、昼と夕は残っていません」と伝えると、剤形や処方回数の変更につながることがあります。観察したことをそのまま数で書くのが、いちばん強い報告です。

まとめ

訪問看護計画書は省令で義務づけられた書類で、2年間の保存と主治医への定期提出が必要です。服薬管理をそこに載せるときは、まず「なぜ飲めないか」を認知・動作・意思・供給の4つで切り分け、OPに観察項目、TPに看護師が行うこと、EPに利用者様とご家族へ伝えることを分けて書きます。

そして在宅で最も大切なのは、訪問しない日をどう設計するかです。毎日の管理が必要でも毎日は訪問できない前提で、他の事業所やご家族を含めた形に置き換えていきます。

すえひろ訪問看護ステーションは、制度上むずかしいと思われることでも、どうすればこの方が安心して暮らせるかを一緒に考えます。判断に迷うケースがあれば、専門職として責任を持って向き合わせていただきます。

よくある質問

Q. 訪問看護計画書は、どのくらいの頻度で主治医に提出すればよいですか?

A. 厚生労働省は「定期的に」と示すのみで、具体的な頻度は定めていません。多くのステーションは報告書の作成周期に合わせて月1回としています。

Q. 服薬管理の看護目標は、どう書けばよいですか?

A. 「服薬管理ができる」のような主語のあいまいな目標は避け、誰が何をどこまで行うかを含めて書きます。訪問しない日を含めても達成できる内容かどうかを基準にしてください。

Q. 一包化は看護師が行ってもよいのですか?

A. 一包化は薬剤師の業務です。訪問看護師は必要性を見つけて主治医や薬局に提案し、つなぐ役割を担います。

Q. 残薬が合わないとき、ご本人に確認してもよいのでしょうか?

A. 責める形にならなければ問題ありません。「飲めていますか」ではなく「飲みにくいと感じることはありませんか」と尋ねると、副作用や剤形の問題が出てくることがあります。

Q. 訪問看護計画書と報告書は、何年保存すればよいですか?

A. 2年間です。健康保険法などの規定にもとづく厚生労働省令で、作成・整備と保存が義務づけられています。

参考資料

  • 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法に関する留意事項及び届出に関する手続きの取扱いについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
  • 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037/
  • 公益財団法人日本訪問看護財団 https://www.jvnf.or.jp/
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