「退院後も自宅でリハビリを続けたい。けれど通院は体力的に難しい」。そんなご相談を、ケアマネジャーや病院の退院支援担当からよくいただきます。訪問リハビリは、通院が難しくなった利用者様のご自宅へセラピストが伺う制度です。生活の場で動作訓練や呼吸リハを行います。
訪問リハビリの対象は「医師が通院困難と判断し、リハビリの継続が必要と認めた方」が基本となります。脳卒中後遺症・骨折後・COPD・神経難病・認知症など、幅広い症状に対応します。本記事では、対象となる症状と疾患、医療の訪問リハと訪問看護のリハの違いを整理します。できることとできないこと、ご相談から利用開始までの流れも順にまとめました。足立区の在宅療養を支える現場の視点から、迷いやすいポイントもあわせてお伝えしていきます。
訪問リハビリとは?在宅で受けられるリハビリテーションの基本
訪問リハビリは、通院が難しい利用者様のご自宅へ理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が伺うサービスです。生活の場でリハビリを行うのが特徴となります。医療機関のリハ室で行う訓練とは異なり、実際の居室や廊下、トイレ、浴室で動きを確認しながら進めます。制度としては介護保険と医療保険の両方で利用できる仕組みです。本章では、介護保険と医療保険の違い、どんな目的で使われるのかの全体像をまず押さえます。「うちの状況でも対象になるのか」の判断材料として、お読みいただければと考えています。
| 比較軸 | 訪問リハビリ | 通院リハビリ |
|---|---|---|
| 場所 | ご自宅の居室・廊下・トイレ・浴室など、実際の生活空間 | 医療機関のリハビリ室 |
| 訓練内容 | 生活場面に直結した動作訓練(起居・移動・入浴・調理など) | 機器や器具を使った身体機能訓練が中心 |
| 費用の仕組み | 介護保険または医療保険の制度に基づく | 医療保険の外来リハビリ算定 |
| 対象 | 通院が難しい利用者様・自宅生活の再構築を目指す方 | 通院可能で、集中的な機能訓練を希望する方 |
訪問リハビリと通院リハの違い
通院リハは医療機関のリハ室で、専用の機器を使いながら行う訓練です。一方の訪問リハは、ご自宅の居室・玄関・トイレ・浴室といった生活動作の実際の現場でリハビリを進めます。「病院のリハ室では歩けていたのに、家ではうまく動けない」という利用者様の声は少なくありません。
生活環境のなかで評価と訓練を同時に行える点が、訪問リハの一番の強みと言えます。手すりの位置、ベッドから車いすへの移乗の動線、玄関の段差など、ご自宅特有の課題に合わせて関わります。理学療法士が解説する訪問リハビリの動画でも、「頼み方」や「現場での関わり方」が丁寧にまとめられており、イメージ作りに役立ちます。
介護保険と医療保険、どちらで使われるか
訪問リハビリは介護保険と医療保険の両方で利用できる制度です。要介護・要支援認定を受けている方は介護保険が優先されます。認定がない方・難病指定の方・末期がんの方などは医療保険が使われます。
どちらの制度でも、主治医の訪問リハビリ指示書(または訪問看護指示書)が必須となります。制度の切り分けは状態と年齢で変わるため、判断に迷うときはケアマネジャーまたは主治医にご相談ください。制度選択を含めた使い勝手の整理は、訪問看護とは何かを基礎から解説した記事もあわせてご覧いただくと分かりやすくなります。
対象になりやすいご状況のイメージ
厚生労働省「令和3年介護サービス施設・事業所調査」(2022年公表)の整理を見てみます。訪問リハの主な利用対象として、脳血管疾患後遺症・骨折後・神経難病・循環器疾患・認知症の方が挙げられています。退院直後で体力が落ちている時期は、特にご相談が多い時期の一つです。独居で通院の付き添いが得られない状況、進行性の病気で外出のハードルが上がってきた段階も、相談が増える場面と言えます。
「要介護度が軽いから対象外」と自己判断されるケースをよく見かけます。要支援1・2の方でも対象になりますので、まずは一度確認いただくのが安心です。
訪問リハビリの対象となる主な症状・疾患の全体像
訪問リハビリの対象になる症状は、医師が「通院は難しいが、リハビリを継続したほうがよい」と判断された状態全般です。ここでは厚生労働省が示す介護保険・医療保険の対象区分を手がかりに、代表的な症状群を5つに整理しました。「うちは対象になるのか」の目安としてご活用ください。全体像を押さえておくと、ケアマネジャーや主治医への相談もスムーズに進みます。
脳梗塞リハビリセンターが公開している訪問リハビリのQ&A動画でも、対象疾患の広さが整理されています。「生活動作にどう結びつけるか」という視点も分かりやすい内容です。私たちが現場でご相談を受ける症状群も、ほぼこの5グループに収まるという実感があります。足立区の現場で日々伺っているケースでも、傾向は同じです。
脳血管疾患後の後遺症(麻痺・言語障害・嚥下障害)
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの後遺症は、訪問リハビリで最も多いご依頼のひとつです。片麻痺による歩行・移乗の困難、構音障害・失語症による会話のしづらさ、嚥下障害による食事のむせなど症状は多岐にわたります。生活全体に影響が広がりやすい領域です。
発症から時間が経っても、環境調整と反復練習で動作の再獲得や代償手段の獲得に取り組めると考えています。回復期を終えて自宅に戻られたあとの生活期リハビリとして、長く関わらせていただくことが多い領域です。退院直後だけでなく、発症から数年経った方のご相談も珍しくありません。
整形外科疾患(骨折後・変形性関節症・脊柱管狭窄症など)
大腿骨頸部骨折・圧迫骨折・膝や股関節の変形性関節症・脊柱管狭窄症に伴う下肢の痛みなど、整形外科疾患も訪問リハの重要な対象です。術後に自宅へ戻ったあと、「もう一段歩けるようになりたい」というご相談が増える領域と言えます。「転倒が怖くてトイレまで行けない」という不安の声も多く伺います。
痛みの管理と筋力維持、動作の再学習を組み合わせながら、転倒予防を目標に据えて関わります。手すりや歩行補助具の選定・住環境調整も、セラピストが得意とする支援のひとつです。退院後の数カ月は、特にリハビリの効果が出やすい時期と言われています。
呼吸器・循環器疾患(COPD・心不全など)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や慢性心不全の方には、呼吸リハビリ・心臓リハビリの考え方を取り入れた関わりが有効とされます。息苦しさがあると活動量が落ちます。筋力低下から廃用症候群(長期の安静で起こる機能低下)に進みやすくなるため、「無理のない範囲で動き続ける」ことがポイントです。
呼吸法の指導、動作の分割と休憩の挟み方、自宅内の動線の見直しなど、生活場面に密着した工夫を一緒に考えます。酸素療法を併用されている方への在宅支援も対象です。看護師と連携しながら、酸素飽和度(SpO2)や呼吸回数の変化も共有します。
神経難病(パーキンソン病・ALS・多系統萎縮症など)
パーキンソン病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)・多系統萎縮症・脊髄小脳変性症などの神経難病。これらは、医療保険での訪問リハの対象になることが多い疾患群です。進行の段階に合わせて、動作の工夫・環境の調整・姿勢保持・呼吸や嚥下への対応と、ゴールを柔軟に組み替えていきます。
「もうリハビリをしても意味がないのでは」と不安を口にされるご家族もいらっしゃいます。私たちは、進行性の病気であっても、今できていることを少しでも長く続けられるよう支える関わりに価値があると捉えています。諦めずに関わり続ける姿勢そのものが、ご本人様の生活の支えになるという視点です。
認知症・廃用症候群に伴う生活動作の低下
認知症の方の生活動作の低下、入退院を繰り返して体力が落ちている方の廃用症候群も、訪問リハの対象です。身体機能だけでなく、生活リズムや役割感を保つことが機能維持につながると考えられています。そのため、ご家族と一緒に一日の過ごし方を組み立て直すところから始めることもあります。
洗濯物をたたむ、食器を拭く、玄関先までお茶を取りに行くといった、ご本人様が長年続けてきた動作を取り戻していく関わり方。認知症の中核症状の進行度や性格、ご家族との関係性によっても、組み立て方は変わります。「訓練をする」と構えるのではなく、暮らしの一部に自然に組み込む工夫が大切です。
症状別に見る訪問リハビリでの関わり方
同じ疾患でも、ご自宅の間取り・ご家族の介護力・ご本人様の目標によって、リハビリの中身は大きく変わります。本章では代表的な5つの症状群について、訪問リハビリでよく行う具体的な関わり方の例を、生活場面に沿って紹介します。あくまで一般的な例であり、実際の内容は主治医の指示書とケアマネジャーのケアプランに沿って個別に計画されます。ご自身やご家族の状況に近い例を見つけていただく手がかりとして、お読みいただければ幸いです。
脳卒中後の片麻痺:移乗・歩行・家事動作の再獲得
片麻痺のある方のリハでは、生活の節目になる動作を目標にすえます。ベッドから車いすへの移乗、トイレまでの数歩の歩行、台所でのちょっとした家事動作などが典型例です。病院のリハ室では成功していた動作が、自宅の床材・家具配置・履物の違いで途端にぎこちなくなる場面は、現場でよく出会います。
家の中を実際に歩いていただきながら、手すりの位置や動線を一緒に見直すのが基本の流れです。ご家族への介助方法の指導も同時に行い、介護負担が偏らないように配慮します。片手だけで衣服の着脱ができるコツ、食器や鍋を安全に扱うための調理台の高さ調整など、暮らしに直結する工夫を少しずつ積み上げていきます。
骨折後・変形性膝関節症:疼痛管理と転倒予防
大腿骨頸部骨折後や変形性膝関節症の方には、痛みと転倒不安の両方にアプローチします。疼痛が強い時期は無理をせず、関節可動域の維持と筋力の立ち上がりを優先し、徐々に歩行距離を伸ばしていく進め方が一般的です。
転倒歴のある方には、立ち上がりとバランスの訓練に加え、自宅内の段差・滑りやすい床・暗い廊下といった環境要因の整理も合わせて実施します。福祉用具の選定については、ケアマネジャーと情報を共有しながら進めます。「もう一度孫を抱っこしたい」「お風呂に一人で入りたい」といった具体的な目標があると、訓練の継続もしやすくなる傾向があります。
COPD・心不全:呼吸法と活動量の調整
COPDや心不全の方には、呼吸と動作をセットで調整する関わりを行います。口すぼめ呼吸・腹式呼吸の指導、動作中の呼吸の合わせ方、休憩を挟む動作分割などが中心です。心不全の方は体重と浮腫の変化が重要なサインです。看護師と情報を共有しつつ、無理のない活動量を一緒に設計します。
訪問前日や当日の朝の体重、朝の血圧・脈拍、下肢のむくみの程度などを、ご家族と一緒にメモしていただくことも多い領域です。小さな変化を早めに捉えると、入院を回避できるケースもあります。日々の生活動作がそのままリハビリになる、という視点を大切にしています。
神経難病:進行に合わせた動作と環境の調整
神経難病の方のリハは、「できる動作を増やす」より「できている動作を今の形で続ける」ことを軸にする場面が多くなります。パーキンソン病の方には歩行の開始困難(すくみ足)への工夫を取り入れます。ALSの方には呼吸・嚥下機能の変化に合わせた姿勢保持や意思伝達支援を実施。多系統萎縮症の方には起立性低血圧への対応を軸に、進行段階に合わせて柔軟に組み替えます。
言語聴覚士(ST)の関わりが必要になる場面も増えてきます。高橋病院のSTが解説する訪問リハビリでのST動画では、嚥下評価や発声訓練を自宅で行う意義が整理されています。
認知症:生活リズムと役割を保つ関わり
認知症の方のリハでは、「訓練をする」という形に乗せようとすると拒否につながることがあります。訪問リハビリの現場では、関わりの入口を工夫することが大切だと指摘されています。認知症の中核症状とリハ拒否の関係を解説した動画でも、同じ視点が触れられています。
洗濯物をたたむ、食器を拭く、玄関まで一緒に歩くといった役割のある動作を、1日の生活に組み込んでいく進め方が多くなる領域です。生活リズムの維持そのもの、それが立派なリハビリにもなります。
医療の訪問リハビリと訪問看護のリハビリの違い
「訪問リハビリ」と呼ばれるサービスには、実は2種類あります。1つは病院・診療所・介護老人保健施設から派遣される「訪問リハビリテーション事業所」。もう1つは訪問看護ステーションの看護師・PT・OT・STが訪問する「訪問看護(リハ職訪問)」です。利用の仕組み・医師の関わり方・費用が少しずつ違います。ご相談の際に迷いやすいポイントを整理していきます。本章を読んでいただくと、ケアマネジャーからの提案も理解しやすくなります。
この違いは、現場でもしばしばご家族を混乱させるポイントです。医療の訪問リハと訪問看護のリハの違いを解説した動画でも、「どちらを選ぶべきか」の判断軸が端的に整理されていました。両者の違いを押さえておくと、必要な時に慌てずに制度選択ができます。
| 比較軸 | 医療の訪問リハビリ | 訪問看護(リハ職訪問) |
|---|---|---|
| 開設主体 | 病院・診療所・老健など医療機関 | 訪問看護ステーション |
| 指示書 | 同一法人の医師による指示が原則 | 主治医の訪問看護指示書に基づく |
| 提供時間 | 1回20〜40分程度(制度上の目安) | 1回20〜90分(制度・保険種別で変動) |
| 費用の決まり方 | 介護保険・医療保険の訪問リハビリ算定 | 介護保険・医療保険の訪問看護算定 |
| 連携のしやすさ | 同一法人内の医師と情報が共有しやすい | 看護師と同一チームで日々の体調と連動 |
| 比較項目 | 医療の訪問リハビリ | 訪問看護(リハ職訪問) |
|---|---|---|
| 開設主体 | 病院・診療所・介護老人保健施設 | 訪問看護ステーション |
| 指示書 | 訪問リハビリテーション計画書(施設の医師の指示) | 訪問看護指示書(かかりつけ医の指示) |
| 1回あたり時間 | 20分1単位(複数単位組合せ可) | 20分・30分・40分・60分で設定 |
| 費用の決まり方 | 単位数×地域区分 | 時間区分×地域区分 |
| 連携のしやすさ | 施設内で医師と情報完結しやすい | 看護師と同じ事業所でリアルタイム共有 |
※出典:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(2024年4月改正)/厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」
開設主体と医師の関わりの違い
医療の訪問リハビリテーション事業所は、病院・診療所・介護老人保健施設に併設されるのが基本です。その施設の医師が診療の延長で指示を出すため、同じ医療機関内で情報が完結しやすいという特徴があります。
一方の訪問看護ステーションからのリハ職訪問は、ご本人のかかりつけ医から訪問看護指示書をいただいて実施する流れです。かかりつけ医が訪問リハ事業所をお持ちでない場合でも、連携のかたちでリハ職の訪問が受けられる点が利点と言えます。
指示書と計画書の違い
医療の訪問リハは「訪問リハビリテーション計画書」で管理します。訪問看護のリハ職訪問は「訪問看護計画書(リハ職訪問を含む)」で管理する仕組みです。どちらも主治医の指示とケアマネジャーのケアプランがベースになる点は共通しています。
書類の名称は違いますが、「医師の指示に基づく医療・リハビリ」という大枠は同じです。実務上は、ご本人の状態や目標、連携のしやすさによってどちらが向くかが決まります。看護師との情報共有を重視する場合は、訪問看護からのリハ職訪問が選ばれることも多い印象です。
費用と利用時間の違い
介護保険下で比較した場合、医療の訪問リハは20分1単位での提供となります。訪問看護(リハ職)は20分・30分・60分といった時間単位での提供です。1回あたりの単位数や点数が異なるため、ご利用の希望時間と予算に合わせて、ケアマネジャーが提案を組み立てます。
費用の目安は制度改定で変動します(直近は2024年度介護報酬改定)。詳細は料金・利用の流れを解説した記事で最新の目安を確認いただくのが確実です。訪問回数や時間の長さは、ご本人様の状態と予算で調整できる点も、覚えておくと安心です。
訪問リハビリでできること・できないこと
訪問看護・訪問リハビリは、医師の指示書に基づく医療・リハビリサービスです。できることとできないことがはっきり分かれているため、ご依頼の前に押さえておくと安心です。ただし「制度上難しい」と最初から線を引くことはしません。他職種と連携しながら「どうすればこの方の生活がよくなるか」を一緒に考える姿勢を大切にしています。本章では、業務範囲と他サービスとの組み合わせ方を整理していきます。利用開始の前に確認しておくと、ミスマッチを避けやすくなります。
- ○起居・移乗・歩行など生活動作の訓練
- ○入浴・排泄・調理など生活場面の動作確認
- ○関節可動域訓練と筋力維持の運動指導
- ○家屋内の手すり位置・動線の提案
- ○ご家族への介助方法のお伝え
- ○嚥下・コミュニケーションの評価と訓練
- △買い物・掃除などの家事全般の代行
- △通院同行・病院付き添い
- △医師が行う診察・処方の判断
- △福祉用具の販売・直接貸与
訪問リハビリでできること
訪問リハビリで対応できる主な内容は以下のとおりです。
- 関節可動域訓練・筋力トレーニング・バランス訓練など基本的な機能訓練
- 歩行訓練・移乗訓練・階段昇降訓練など生活動作の訓練
- 呼吸リハビリ・嚥下評価と訓練(STが関わる場合)
- 住環境のアドバイス(手すり・段差・動線)と福祉用具の提案
- ご家族への介助方法の指導と介護負担の相談
- 看護師と連携した服薬・バイタル管理の共有
いずれも主治医の指示書とケアプランに沿って、個別の目標に落とし込んで実施します。
訪問リハビリではできないこと(他サービスの範囲)
一方で、訪問リハビリでは行えないこともあります。
- 掃除・洗濯・調理・買い物代行などの家事援助(訪問介護/ヘルパーの業務)
- 医師の診察・診断・処方(訪問診療の業務)
- 医療機器のレンタルや福祉用具の販売・設置そのもの(福祉用具事業者の業務)
- 保険外のマッサージや整体を目的とした訪問
これらが必要な場面では、ケアマネジャーを通じてヘルパー・訪問診療・福祉用具事業者・薬剤師と連携し、ワンセットで生活を支える体制を組みます。
制度の枠を超えて相談に乗る私たちの姿勢
私たちは、「できないこと」を線引きしておしまいにしないことを大切にしています。たとえば「本当は家事の支援も頼みたい」というご相談を受けたとき。訪問リハビリ単体では対応できなくても、ケアマネジャー・ヘルパー事業所・地域包括支援センターと一緒に組み合わせを考えることはできます。
他の事業所で「難しい」と言われた方こそ、一度お話を聞かせてください。制度上は難しくても、何ができるかを一緒に考えます。
これは、現場PTが「訪問リハビリで大事なこと」を語る動画にも通じる姿勢だと感じています。制度の中で動くのは当然として、そのうえで利用者様の生活に何を足せるかを探り続ける。それが、私たちの基本線です。
ご相談から利用開始までの流れと費用の目安
訪問リハビリの利用には、主治医の指示書とケアマネジャーのケアプランへの位置づけが必要です。初めての方にとっては手続きが分かりにくいため、ご相談から訪問開始までの標準的な流れを整理します。介護保険・医療保険それぞれでの費用の考え方もあわせて示します。「どこに相談すればいいか分からない」というお声も多くいただくため、入り口の整理から始めます。読み終えた時点で、次の一歩が見える構成を目指しました。
ステップ1:かかりつけ医・ケアマネジャーに相談する
最初の一歩は、かかりつけ医とケアマネジャーへの相談です。要介護認定を受けていない方は、お住まいの区市町村の介護保険窓口または地域包括支援センターにお問い合わせください。足立区であれば、各地区の地域包括支援センターが入り口です。
相談の際には、ご本人様の病名・服薬内容・直近の入院歴・現在の生活動作の様子をメモしておくとスムーズに進みます。独居か同居かも、サービスの組み立てで重要な情報となります。「本当に相談してもいいのだろうか」と迷われるケースこそ、まずは電話1本から始めていただくのが近道です。
ステップ2:事業所と契約し、計画書を作成する
利用する事業所が決まったら、契約を結び、訪問看護計画書(またはリハビリ計画書)を作成します。初回訪問時には、看護師またはセラピストがご自宅にうかがい、生活場面・ご家族の状況・ご本人様の目標を丁寧に聞き取ります。
このときに大切にしているのが、「どんな暮らしに戻りたいか」の確認です。症状の重さだけで計画を立てることはしません。「仏壇に自分で手を合わせたい」「孫の運動会に行きたい」といった小さな願いを、計画書に落とし込んでいきます。初回評価には60分前後の時間をいただくことが多い印象です。
ステップ3:訪問開始と定期的な評価見直し
訪問が始まったあとは、原則として同じ担当者が継続して伺うのが基本です。少なくとも月1回は計画書を見直し、ご本人様の状態の変化・ご家族の希望・ケアマネジャーからの情報をふまえてゴールを更新します。
状態が急に変わったとき、ご家族の介護負担が増えたときなど、計画の途中で見直しをお願いするのも可能です。「調子が良いから回数を減らしたい」「体力が落ちてきたので時間を延ばしたい」といった柔軟な調整もできますので、遠慮なくお伝えください。
費用の目安(介護保険・医療保険)
費用の考え方は介護保険と医療保険で異なります。
| 保険区分 | 自己負担割合 | 1回あたり時間 | 費用の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 介護保険 | 1〜3割(所得に応じて) | 20〜60分 | 単位数×地域区分(区分支給限度基準額の範囲内) |
| 医療保険 | 1〜3割(年齢・制度・難病指定で変動) | 30〜90分 | 診療報酬点数×地域区分 |
※出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(2024年4月改正)
- 介護保険:1〜3割の自己負担(所得に応じて)。訪問リハ・訪問看護のリハ職訪問とも、時間・単位数で費用が決まる
- 医療保険:年齢・制度・難病指定の有無などで自己負担割合が変わる
具体的な金額は、ご本人の負担割合証と、ケアマネジャーからの説明で確認するのが確実です。確定した金額については、ケアマネジャーからの提案時に、同じ数字をもう一度ご一緒に確認するのが安心です。
すえひろ訪問看護ステーションのリハビリに対する考え方
すえひろ訪問看護ステーションは、2020年3月に足立区で開設した訪問看護ステーションです。看護師と理学療法士・作業療法士が同じチームで動きます。利用者様お一人おひとりの「したい暮らし」から逆算してリハビリ計画を考えるのが、私たちのやり方です。本章では、私たちが大切にしている3つの姿勢をお伝えします。足立区の地域事情・医療資源とも向き合いながら、2020年の開設以来、積み重ねてきた考え方です。
「症状」ではなく「したい暮らし」から考える
訪問リハは、どうしても「どの筋肉を鍛えるか」「どの動作を練習するか」という症状起点の発想になりがちです。私たちは、まず「利用者様が本当に望まれている暮らしは何か」を伺うところから始めます。「孫の運動会にひと目でも行きたい」「仏壇に自分で手を合わせたい」といった小さな願いが、リハビリの一番の目標になります。
症状に名前をつけて分類することは、手段であって目的ではありません。この姿勢は、全スタッフが参加する毎週月曜8:30からの理念共有ミーティング(2026年4月開始)でも繰り返し確認しています。「症状を見るのではなく、人を見る」。この一言を、スタッフ全員で共有しているところです。
看護師とセラピストが同じチームで動く
すえひろは3拠点を運営しています(すえひろ訪問看護ステーション/足立西すえひろ訪問看護ステーション/ケアクリエイションすえひろ)。2026年7月時点で21名のスタッフが所属。セラピストの平均年齢は30.8歳と若手が中心ですが、看護師(平均41.0歳)と同じ事業所で日々情報を共有しています。そのため、医療面とリハ面の判断を切り分けずに一緒に考えられるのが強みです。
心不全の方の体重変化・COPDの方の酸素飽和度・神経難病の方の嚥下状態など。看護師の目で押さえておきたい変化を、セラピストもその場で把握できる体制です。多職種連携というより、同じテーブルで同じ利用者様の話をしている感覚に近いと言えます。訪問前後のミーティングで、気になる変化はその日のうちに共有する習慣を続けています。
制度の枠で区切らず、まず話を聞くところから
「他の事業所で難しいと言われた」「要支援だけどリハビリは可能か」「隣接地域だが相談してもよいか」。こうしたご相談を、私たちはまずお受けすることを基本にしています。もちろん、体制上お受けできないこともあります。その際も、対応できる事業所を一緒に探すところまでお手伝いします。
腹膜透析(PD)の在宅療養のように、受入事業所が限られる領域にも、勉強会を重ねて体制を整えて取り組んできました。制度の枠だけで線を引かずに、できる相談から始めさせていただく。これが、私たちのやり方です。
医療処置
基本動作
役割づくり
評価
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 訪問リハビリは介護保険と医療保険のどちらで利用できますか?
原則として、要介護・要支援認定を受けている方は介護保険、認定がない方や難病・末期がん・特定の精神疾患の方などは医療保険が優先されます。どちらになるかはご本人様の状態と制度の要件で決まりますので、まずケアマネジャーまたは主治医にご相談ください。
Q2. 症状がかなり進行していても、訪問リハビリは受けられますか?
病気の進行度に関わらず、主治医が「通院は難しいが在宅でリハビリを継続する意義がある」と判断された場合は対象になります。神経難病や終末期であっても、ご本人様が望まれる動作や姿勢の保持、呼吸や嚥下の支援など、できることは残されていると考えています。
Q3. 訪問看護の看護師が行うリハビリと、PT/OT/STが行う訪問リハビリは何が違いますか?
訪問看護の看護師も、医師の指示書に基づく基本的な動作訓練や関節拘縮予防を行います。より専門的な評価と訓練が必要なときは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が担当する流れです。すえひろ訪問看護ステーションでは、看護師とセラピストが同じチームで情報共有しながら進めています。
Q4. 家族が同席していなくても訪問してもらえますか?
ご本人様の同意と安全が確保できれば、ご家族が不在でも訪問は可能です。ただし初回評価や、環境設定(手すり設置の提案など)が必要なときは、ご家族・ケアマネジャーと一緒に確認させていただくことがあります。
Q5. 足立区外に住んでいますが相談できますか?
すえひろ訪問看護ステーションの訪問エリアは足立区全域が基本です。隣接地域の方は一度ご相談いただければ、エリア内の信頼できる事業所をご紹介するなど、別の形でお手伝いできることもあります。「制度上難しい」で終わらせず、できる相談から始めさせてください。
おわりに
訪問リハビリは幅広い症状に対応できる在宅サービスです。脳血管疾患後の後遺症・骨折後・COPD/心不全・神経難病・認知症などが主な対象となります。「うちの症状は対象になるのか」で迷われたとき。ご本人様の状態と暮らしぶりをケアマネジャー・かかりつけ医にお伝えいただき、相談するのが近道です。
すえひろ訪問看護ステーションは、足立区で24時間365日の体制を取り、看護師とセラピストが同じチームで動いています。「こんなことを相談してもいいのだろうか」と迷われる内容こそ、一度お聞かせください。お受けできるかどうかも含めて、一緒に考えます。制度の枠を超えて、できる相談から始めるのが私たちの基本線です。
まずは、かかりつけ医やケアマネジャーにご相談いただくか、すえひろ訪問看護ステーションのサービス案内から直接お問い合わせください。
