この記事の要点(30秒でわかる)
- 要介護3〜5、身体障害者手帳1〜2級、障害支援区分4〜6などが対象です。
- 対象の方には区から「災害時安否確認申出書」が届きます。返送で登録されます。
- 名簿は水害時の個別避難計画づくりにも使われています。
- 登録は出発点です。ご近所への声かけとあわせて力になります。
「うちは名簿に載っているのだろうか」。地震や台風の報道が続くと、こうしたご質問をいただくことがあります。
書類を受け取った覚えはあるけれど、どこかにしまったまま。あるいは、そもそも自分が対象なのか分からない。そういう方は少なくありません。制度の名前が長くて、内容が伝わりにくいことも理由のひとつだと思います。
避難行動要支援者名簿は、災害のときにご自身の力で避難することが難しい方を、区があらかじめ把握しておく仕組みです。登録しておくと、災害後の安否確認や避難支援につながります。
すえひろ訪問看護ステーションでは、こうした制度のご案内も含めてご相談を承っています。「対象なのかどうかも分からない」という段階で構いません。一緒に確認させてください。
この記事では、名簿がどういう仕組みか、足立区で対象になるのはどんな方か、申出書が届いたらどうするか、個別避難計画とは何か、そして登録後にできることを順にご説明します。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
記事内容に関するご質問は、お問い合わせフォームよりお願いいたします(お電話・コメント欄でのご質問にはお答えいたしかねます。回答までお時間をいただく場合があります)。
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避難行動要支援者名簿とは、どういう仕組みですか
避難行動要支援者名簿とは、災害時にご自身で避難することが難しい方を、区があらかじめリストにしておく制度です。大地震や大規模な事故が起きたときの安否確認と、その後の救出・救護や避難支援につなげることを目的としています(出典:足立区 避難行動要支援者名簿)。
名簿に載る大きな意味は、ご自身から声を上げられない状況でも、支援の手がかりが残ることです。倒れて動けないとき、電話がつながらないとき、誰かが「あの家には支援が必要な方がいる」と知っていることが助けになります。
この名簿は区の中だけで持っているものではありません。区の関係部署のほか、警察署、消防署、民生・児童委員に共有されます。実際に地域を回る立場の方々の手元に届く仕組みです。
個人情報を外に出すことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。もっともなお気持ちです。ただ共有先は限られており、目的も安否確認と避難支援に絞られています。ご心配な点は、区の窓口で確認してみてください。
対象の方に「災害時安否確認申出書」が郵送されます。
ここが最重要。届いただけでは登録されません。返送してはじめて手続きが進みます。
提出された方から順に、区の担当者が優先区分を判定し、区分に応じた支援や手続きを案内します。
ご自身から声を上げられない状況でも、支援の手がかりが残ります。
足立区で対象になるのは、どんな方ですか
足立区の対象要件ははっきり決まっています。区内に住民登録があることを前提に、次のいずれかに当てはまる方です(出典:足立区 避難行動要支援者名簿)。
介護保険の要介護認定で要介護3から5を受けている方。身体障害者手帳1級から2級の方。身体障害者手帳3級で、福祉タクシー券または自動車燃料助成券を受けている方。障害者総合支援法の障害支援区分4から6の認定を受けている方。
見落とされやすいのが、身体障害者手帳をお持ちの方です。介護保険の要介護度だけを見て「うちは2だから対象外」と判断してしまうと、手帳の要件を見逃します。両方を確認してください。
ご自身の要介護度や障害支援区分が分からない場合は、介護保険証や受給者証をご覧ください。手元に見当たらないときや、そもそも認定を受けているかどうかが分からないときは、担当のケアマネジャー、または足立区の窓口にお問い合わせください。
長期入院中の方や施設に入所されている方は、施設の側で支援が行われるため、後述する個別避難計画書の作成対象からは外れます(出典:足立区)。在宅で過ごされている方が中心の制度だとお考えください。
足立区で対象になる方
いずれか1つでも当てはまれば対象です
いずれも足立区内に住民登録があることが前提です。ご自身の要介護度や区分が分からないときは、介護保険証・受給者証をご覧いただくか、担当のケアマネジャーにご確認ください。
「災害時安否確認申出書」が届いたら
対象となる方には、区から「災害時安否確認申出書」が郵送されます。必要事項を記入して足立区福祉管理課へ提出すると、区の担当者が優先区分を判定したうえで、区分に応じた支援や必要な手続きを案内する流れになっています(出典:足立区「災害時安否確認申出書」を送付します)。
つまり、書類が届いただけでは登録は完了していません。返送してはじめて手続きが進みます。ここが最も多い行き違いです。心当たりのある方は、封筒がどこかに残っていないか探してみてください。
送付の時期は年度によって変わります。令和6年度は11月中旬からの送付でした(※要確認:最新年度の送付時期は区にご確認ください)。届いていないけれど対象だと思われる場合は、福祉管理課に問い合わせてみてください。
書類の記入で迷う欄があれば、訪問のときにお声かけください。ご一緒に確認できます。ケアマネジャーが関わっている場合は、その方に相談していただくのも確実です。
| よくある思い込み | 実際は |
|---|---|
| 書類が届いた=登録された | 記入して返送しないと登録されません |
| 要介護度で判断すればよい | 身体障害者手帳の要件もあります |
| 名簿に載れば迎えに来てくれる | 安否確認と避難支援の手がかりです |
| 登録すれば備えは要らない | 備蓄・電源・近所への声かけが必要です |
個別避難計画書|誰がどう動くかを、先に決めておく
名簿への登録に加えて、足立区では水害を想定した個別避難計画書の作成にも名簿が活用されています(出典:足立区 避難行動要支援者名簿)。誰が、どこへ、どのように避難するのかを、災害が起きる前に具体的に決めておく取り組みです。
足立区は荒川と隅田川に挟まれた低地が広がる地域です。台風による河川の氾濫は、地震と違って近づいてくるのが分かる災害です。だからこそ、事前に決めておくことが実際に効いてきます。
計画づくりでは、避難のタイミング、避難先、移動の手段、支援してくれる方などを整理します。人工呼吸器や酸素をお使いの方であれば、機器をどう運ぶか、電源をどう確保するかも考えることになります。
長期入院中の方や施設入所中の方は、施設側で支援が行われるため、この計画書の作成対象からは外れます(出典:足立区)。在宅で過ごされている方のための仕組みです。
計画づくりについて詳しく知りたい場合は、足立区の窓口や担当のケアマネジャーにご確認ください。
水害時の個別避難計画で決めておくこと
台風は「近づいてくるのが分かる災害」。だから事前に決めておけます
いつ動くか
避難のタイミング。警戒レベルのどの段階で動き始めるか
どこへ
避難先。避難所か、親族宅か、医療機関か
どうやって
移動の手段。車いす・ストレッチャー・自家用車など
誰と
支援してくれる方。ご家族・ご近所・支援者
医療機器はどうするか
人工呼吸器・酸素などの持ち出しと、避難先での電源の確保。訪問看護が一緒に整理できる部分です
名簿に載れば、それで安心ですか
正直にお伝えします。名簿に登録すれば必ず誰かが助けに来てくれる、という制度ではありません。名簿は安否確認と避難支援の手がかりであって、個別の迎えを約束するものではないからです。
大きな災害では、支援する側も被災します。道路が塞がれば、地図の上では近い場所でもたどり着けません。ここを誤解したまま当日を迎えると、待っていても誰も来ないという事態になりかねません。
そこで力になるのが、ご近所への声かけです。「うちは母が寝たきりで」と一言伝えておくだけで、いざというときに気にかけてくれる方が生まれます。制度より先に動けるのは、実際には隣の家の方です。
あわせて、備蓄と電源の備えも進めてください。3日分の水と食料、お薬の残りの確認、医療機器のバッテリー。名簿への登録と、こうした自宅での備えは、どちらか一方では足りません。
制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。何から手をつけるかの順番を、一緒に考えさせてください。
備えを支える3本の柱
名簿への登録
区とのつながり
- 申出書を返送する
- 優先区分の案内を受ける
ご近所への声かけ
地域とのつながり
- 療養中であると伝える
- 制度より先に動ける
自宅の備蓄・電源
自分でできること
- 水・食料3日分以上
- お薬と機器のバッテリー
どれか一つでは足りません
名簿の登録とあわせて、ご自宅での備えも整えておきたいところです。停電への備えは停電が3日続いたときの電源の備えに、地震が起きた直後の動き方は地震が起きたとき、まず確認することにまとめています。
まとめ
足立区の避難行動要支援者名簿は、要介護3から5の方、身体障害者手帳1級から2級の方、3級で福祉タクシー券などを受けている方、障害支援区分4から6の方が対象です。要介護度だけでなく、身体障害者手帳の要件も忘れずに確認してください。
対象の方には区から「災害時安否確認申出書」が届きます。届いただけでは登録は完了しません。記入して福祉管理課へ返送すると手続きが進みます。名簿は水害時の個別避難計画づくりにも使われています。
すえひろ訪問看護ステーションは、災害の備えもケアの一部だと考えています。ご自身が対象かどうかの確認から、書類の記入で迷う欄のことまで、ご相談を承っています。
名簿に登録することは出発点です。ご近所への声かけと、自宅での備蓄や電源の備え。この3つがそろってはじめて力になります。何から始めればよいか迷ったら、まずはお声かけください。
よくある質問
申出書をなくしてしまいました。どうすればよいですか
足立区の福祉管理課へお問い合わせください。対象の方であれば、あらためて手続きの案内を受けられます。届いた記憶がないという場合も、対象に当てはまると思われるなら問い合わせてみてください。
要介護2ですが、名簿には載れませんか
介護保険の要介護度では対象になりませんが、身体障害者手帳1級から2級をお持ちであれば対象です。3級の方でも、福祉タクシー券や自動車燃料助成券を受けていれば対象になります。手帳の等級もあわせてご確認ください。
名簿に載ると、個人情報はどこまで共有されますか
区の関係部署のほか、警察署、消防署、民生・児童委員に共有されます。目的は災害時の安否確認と避難支援です。共有の範囲について詳しく知りたい場合は、区の窓口でご確認ください。
施設に入所中の家族も登録が必要ですか
長期入院中の方や施設入所中の方は、施設の側で支援が行われるため、個別避難計画書の作成対象からは外れます。在宅で過ごされている方のための仕組みだとお考えください。
登録すれば、災害のときに迎えに来てもらえますか
必ず迎えに来る制度ではありません。名簿は安否確認や避難支援の手がかりとして使われるものです。大きな災害では支援する側も被災します。ご近所への声かけと、自宅での備蓄・電源の備えをあわせて進めてください。
