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地震が起きたとき、在宅療養中のご家族がまず確認すること|足立区で備える3つの手順

# 地震が起きたとき、在宅療養中のご家族がまず確認すること|足立区で備える3つの手順

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 揺れが収まったら、けがの確認、医療機器の作動、連絡手段の順に見ます。
  • 停電への備えは外部バッテリーと車からの給電が現実的な選択肢です。
  • 足立区には避難行動要支援者名簿があり、対象の方には区から書類が届きます。
  • 備蓄は最低3日分、できれば1週間分。お薬の残りも一緒に確認します。

7月末に熊本県で大きな地震がありました。被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

遠く離れた足立区でも、在宅で療養されているご家族から「うちは大丈夫だろうか」というお声をいただくようになりました。人工呼吸器や吸引器を使っている方、ベッドから自力で起き上がれない方にとって、地震は水害とは違う怖さがあります。

水害には予報があります。前の日から準備できます。けれども地震は、その瞬間まで何も知らせてくれません。だからこそ、揺れが起きる前に決めておけることを、今のうちに決めておきたいのです。

すえひろ訪問看護ステーションでは、災害の備えもケアの一部だと考えています。何から手をつけてよいか分からない段階でのご相談も歓迎しています。一緒に考えさせてください。

この記事では、地震が起きた直後に確認する順番、停電への備え、足立区の支援制度、お部屋の中の対策、備蓄の目安を順にご説明します。読み終える頃には、今日できることがはっきりしているはずです。

📝 当コラムの記事内容について

当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。

記事内容に関するご質問は、お問い合わせフォームよりお願いいたします(お電話・コメント欄でのご質問にはお答えいたしかねます。回答までお時間をいただく場合があります)。

※訪問看護サービスのご利用・ご相談に関するお問い合わせは、受付時間(8:30〜17:30)にお電話でも承っております。

地震が起きたとき、まず確認する3つのこと

揺れが収まったら、確認していく基本の順番があります。第一に利用者様ご本人のけがの有無、第二に医療機器が動いているか、第三に連絡手段が使えるかです。順番を先に決めておくと、慌てずに動けます。

ただし、この順番がすべての方に当てはまるわけではありません。人工呼吸器のように、止まることが命に直結する機器をお使いの場合は、機器の確認を先にすべき場面もあります。ご自宅ではどちらを先にするのか、平時のうちに主治医とお決めください。

まずご本人の安全です。ベッドの上に落下物がないか、体の下に硬いものが入っていないかを見ます。あわてて動かすと、かえって痛みや傷を悪化させることがあります。声をかけて反応を確かめ、痛む場所を聞いてから動かします。

次に医療機器です。人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器、輸液ポンプなど、電気で動くものが正常に作動しているかを確認します。停電していれば、内蔵バッテリーに切り替わっているはずです。残りの駆動時間を確認してください。

そして連絡手段です。携帯電話の電池残量、通話ができるか、圏外になっていないかを見ます。災害時は電話がつながりにくくなりますので、後述する連絡先のメモを紙で持っておくことが役立ちます。

大きな地震のあとは、同じ規模の地震に注意が必要とされています(出典:NHK 令和8年熊本地震の報道)。一度で終わるとは限りませんので、安全な体勢を保ったまま次の揺れに備えます。

1
ご本人のけがを確認まず10秒

ベッドの上や体の下に落下物がないかを見ます。声をかけて反応を確かめ、痛む場所を聞いてから動かします。あわてて動かすと悪化することがあります。

2
医療機器の作動を確認1分以内

人工呼吸器・酸素濃縮器・吸引器などが動いているかを見ます。停電していれば内蔵バッテリーに切り替わっています。残りの駆動時間を必ず確認します。

3
連絡手段を確認続けて

携帯電話の電池残量、通話できるか、圏外でないかを見ます。つながりにくいときのために、連絡先を書いた紙を用意しておきます。

停電したとき、在宅の医療機器はどれくらい持ちますか

停電したときに頼りになるのは、医療機器の内蔵バッテリー、外部バッテリー、そして自動車からの給電です。厚生労働省の資料でも、外部バッテリー、自動車からの電源確保、蓄電池、自家発電機、太陽光発電が備えとして挙げられています(出典:厚生労働省 在宅人工呼吸器の長期停電対策に関する資料)。

内蔵バッテリーだけでは、多くの機種で数時間程度しか持ちません。機種によって差が大きいので、お使いの機器が何時間動くのかを、取扱説明書か業者に確認しておいてください。この数字を知っているかどうかで、判断の速さが変わります。

現実的なのは外部バッテリーの追加です。医療機器メーカーが専用のものを用意している場合があります。汎用のポータブル電源を使う場合は、機器に対応しているかを必ず業者に確認してください。合わない電源をつなぐと機器を痛めることがあります。

自動車をお持ちであれば、有力な備えになります。シガーソケットからの給電や、電気自動車からの給電が可能な場合があります。ただしガソリンが残っていることが前提ですので、日ごろから満タンに近い状態を保つ習慣が効いてきます。

酸素濃縮器をお使いの方は、停電時は携帯用の酸素ボンベに切り替えます。ボンベの残量と本数を、今日この時点で確認しておいてください。吸引器は手動式や足踏み式のものを1台備えておくと、電気がなくても対応できます。

何をどれだけ買えばよいか分からないときは、ご相談ください。ご自宅の状況に合わせて、どこまで備えるかを一緒に整理できます。

手段持続の目安準備しやすさ注意点
機器の内蔵バッテリー数時間程度
(機種差が大きい)
すでに内蔵まず何時間持つかを取扱説明書か業者に確認する
専用の外部バッテリー推奨機種によるメーカーに相談機器メーカー純正のものがあるか確認する
ポータブル電源容量による入手しやすい機器に対応しているか必ず業者に確認。合わないと機器を痛める
自動車からの給電推奨燃料しだいで長時間車があれば可ガソリンを満タンに近く保つ習慣が前提になる
カセットガス発電機ボンベの本数しだい準備と練習が必要屋外で使う。一酸化炭素中毒に注意する

出典:厚生労働省「在宅人工呼吸器の長期停電対策に関する資料」をもとに作成。持続時間は機種・使用状況により大きく異なります。

足立区の避難行動要支援者名簿に登録していますか

足立区には、災害時にご自身の力で避難することが難しい方を対象とした避難行動要支援者名簿があります。対象は、区内に住民登録があり、要介護3から5の認定を受けている方、身体障害者手帳1級から2級の方、3級で福祉タクシー券や自動車燃料助成券を受けている方、障害支援区分4から6の認定を受けている方です(出典:足立区 避難行動要支援者名簿)。

この名簿は、区の関係部署、警察署、消防署、民生・児童委員に共有されます。災害が起きたときの安否確認や避難支援に使われる仕組みです。ご自身から声を上げられない状況でも、支援の手がかりが残ることになります。

対象となる方には、区から「災害時安否確認申出書」が届きます。必要事項を記入して返送すると名簿に載る流れです。届いた書類を、後で読もうと置いたままにしていないか、この機会に確認してみてください(※要確認:申出書の発送時期と対象期間は年度によって変わります)。

ただし、名簿に載れば必ず誰かが助けに来てくれる、という制度ではありません。実際の避難は、ご近所や地域の支え合いに支えられる部分が大きいのが現実です。名簿への登録と並行して、近所の方に事情を伝えておくことが力になります。

どの要件にも当てはまらない方は名簿の対象外ですが、備えが要らないわけではありません。歩けるかどうかと、避難所で過ごせるかどうかは別の問題です。ご心配な点があれば、担当のケアマネジャーや私たちにお伝えください。

避難行動要支援者名簿|確認リスト

要介護3〜5/身体障害者手帳1〜2級/手帳3級+福祉タクシー券・自動車燃料助成券/障害支援区分4〜6 のいずれか要介護度だけで判断すると見落とします
区から届いた「災害時安否確認申出書」を返送した置いたままになっていないか確認してください
ご近所の方に、療養中であることを伝えてある名簿は「必ず迎えに来る」制度ではありません
避難所の場所を、ご家族全員が知っている
避難するか自宅にとどまるかを、主治医と相談してある
担当のケアマネジャー・訪問看護に不安を伝えてある

介護ベッドの周りは安全ですか|家具の固定と通電火災

在宅療養のお部屋は、ベッドの周りに物が集まりがちです。吸引器、加湿器、テレビ、棚。どれも便利ですが、地震のときには落ちてくるものになります。ベッドの頭側と、体の真上に重いものを置かないことが基本です。

家具の固定には、移動防止の着脱式ベルトや、扉が開くのを防ぐ器具が有効とされています(出典:内閣府 防災情報のページ)。棚そのものを固定するだけでなく、扉が開いて中身が飛び出すのを防ぐ視点も大切です。ガラス扉には飛散防止フィルムを貼ると、割れたときの被害を抑えられます。

見落としやすいのが通電火災です。停電から復旧したときに、倒れた家具の下敷きになった配線に電気が流れて発火する事例が想定されています(出典:内閣府 大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会)。避難するときにブレーカーを落とす余裕がないことも多くあります。

そこで有効なのが感震ブレーカーです。設定以上の揺れを感知すると、自動的に電気を止める器具です(出典:内閣府 感震ブレーカーの普及促進)。ただし在宅医療機器を使っているご家庭では、電気が止まること自体がリスクになります。設置の可否は、機器の内容を見て個別に判断してください。

気になる場所があれば、訪問のときに声をかけてください。一緒に見て、危ないと感じたところはお伝えします。

備蓄は何を、どれだけ|お薬と衛生用品を忘れずに

家庭での備蓄は、最低3日分、可能であれば1週間分以上が望ましいとされています(出典:内閣府 防災情報のページ)。日常的に使いながら買い足していくローリングストックの方法が推奨されています。特別なものを買い込むより、いつも使うものを少し多めに置く考え方です。

在宅療養の場合、水と食料に加えて医療的なものが必要になります。お薬、経管栄養剤、吸引カテーテル、おむつ、清拭用のタオル、消毒用品。これらは災害時にすぐ手に入るとは限りません。何がどれだけ残っているかを、月に一度は確認したいところです。

特に注意したいのがお薬です。処方は日数が決まっていますので、意識しないと残りが少ない状態で災害を迎えることになります。受診のタイミングを少し前倒しにできないか、主治医や薬局に相談してみてください。お薬手帳の写真をスマートフォンに保存しておくと、避難先で役立ちます。

断水も想定しておきます。清拭用のウェットタオルや、水を使わないシャンプーがあると、清潔ケアを続けやすくなります。排泄については、おむつの予備と、凝固剤を使う簡易トイレを用意しておくと安心です。

連絡先は紙に書いて、目に見える場所に貼っておいてください。主治医、訪問看護ステーション、薬局、医療機器の業者、ケアマネジャー。スマートフォンが使えない状況でも、紙なら読めます。

在宅療養のご家庭の備蓄リスト

最低3日分、できれば1週間分。使いながら買い足すローリングストックで

1
1人1日3L×3日分以上
2
食料やわらか食・とろみ剤も忘れずに
3
お薬残り日数を月1回確認する
4
経管栄養剤使っている方は多めに
5
吸引カテーテル・おむつ
6
清拭用タオル・水なしシャンプー断水にそなえて
7
簡易トイレ・凝固剤
8
モバイルバッテリー充電されているか確認
9
お薬手帳写真をスマホに保存しておく
10
連絡先を書いた紙主治医・訪看・薬局・機器業者・ケアマネ

まとめ

地震が起きたときは、ご本人のけが、医療機器の作動、連絡手段の順に確認します。停電への備えは、外部バッテリーと自動車からの給電が現実的な選択肢になります。足立区には避難行動要支援者名簿があり、要介護3から5の方や身体障害者手帳をお持ちの方などが対象です。備蓄は最低3日分、できれば1週間分を目安に、お薬の残りもあわせて確認してください。

すえひろ訪問看護ステーションは、災害の備えもケアの一部だと考えています。お部屋の中で気になる場所はないか、停電したときに何時間持つのか、どの機器を優先するのか。そうした整理のご相談も承っています。

備えは、一度に全部そろえなくて構いません。今日は連絡先を紙に書く、来週は薬の残りを数える。そのくらいの歩幅で十分です。何から始めればよいか迷ったら、まずはご相談ください。一緒に考えさせてください。

よくある質問

地震のあと、訪問看護は来てもらえますか

災害の規模や道路の状況によっては、いつもどおりの訪問が難しいことがあります。まずはご連絡をいただける手段を、あらかじめ複数用意しておいてください。電話がつながりにくいときのために、連絡先を紙に控えておくことも役立ちます。

停電したら、まず何をすればよいですか

医療機器が内蔵バッテリーに切り替わったかを確認し、残りの駆動時間を把握してください。そのうえで、外部バッテリーや自動車からの給電に移る準備をします。復旧の見通しが立たないときは、医療機器の業者と主治医に連絡してください。

避難行動要支援者名簿に登録すると、誰かが迎えに来てくれますか

必ず迎えに来る制度ではありません。名簿は区の関係部署、警察署、消防署、民生・児童委員に共有され、安否確認や避難支援の手がかりとして使われるものです。実際の避難は地域の支え合いに支えられる部分が大きいため、ご近所への声かけもあわせてお願いしています。

人工呼吸器を使っています。避難所へ行くべきでしょうか

一律には決められません。電源が確保できる避難所かどうか、移動そのものが体に負担にならないかを含めて判断します。自宅にとどまる選択が適切な場合もあります。事前に主治医と相談し、どういう状態ならどう動くかを決めておくことをおすすめします。

備蓄は1週間分と言われても、置く場所がありません

全部を1か所にそろえる必要はありません。水は分散して置けますし、お薬や衛生用品は日ごろ使うものを少し多めにする形で足りていきます。まずは3日分から始めて、少しずつ増やしていくやり方で構いません。

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