この記事の要点(30秒でわかる)
- 2026年6月改定で「1人又は2人/3人以上」の2区分から、同一建物の人数で5区分に細分化されました
- 1日3回以上の場合は、月の算定日数(20日目まで/21日目以降)でも点数が変わります
- 同一建物の人数には、難病等複数回訪問加算や包括型訪問看護療養費の対象者も合算します
- 20分を下回る訪問は算定できず、実際の訪問開始時刻と終了時刻の記録が必要になりました
精神科複数回訪問加算は、1日に2回または3回以上の精神科訪問看護を行ったときに算定できる加算です。2026年6月の改定で、この加算の評価の仕組みが大きく変わりました。
これまでは「同一建物内に1人又は2人」か「3人以上」かの2区分だけでした。改定後は人数が5区分に分かれ、さらに1日3回以上の場合は月の算定日数によっても点数が変わります。同じ利用者様に同じ回数訪問していても、建物内の人数と月の後半かどうかで金額が変わる仕組みです。
この記事では、2026年6月改定後の点数早見表と、算定を間違えないための確認点を整理します。数値は厚生労働省の告示および訪問看護療養費マスターの記載に基づいています。
当コラムは、訪問看護に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状・保険適用・制度のご判断についてお答えするものではありません。制度の運用は地域・保険者・個別のご状況により異なりますので、あらかじめご了承ください。
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精神科複数回訪問加算とは?対象になる利用者様と届出の要件
この加算は、主治医が1日に複数回の精神科訪問看護が必要と認めた利用者様に対して、実際に1日2回または3回以上の訪問を行った場合に算定します。
対象になるのは、指示元の保険医療機関が精神科在宅患者支援管理料(1のハを除く)を算定している利用者様です。医療機関側でこの管理料が算定されていなければ、訪問看護ステーションがどれだけ訪問しても加算の対象になりません。
訪問看護ステーション側にも要件があります。精神科訪問看護基本療養費の届出を行っていること、そして24時間対応体制加算の届出を行っていることの2つです。
精神科複数回訪問加算を算定するための3つの条件
1つでも欠けると算定できません
医療機関側の管理料
指示元の保険医療機関が、精神科在宅患者支援管理料(1のハを除く)を算定していること
主治医の判断
主治医が、1日に複数回の精神科訪問看護が必要であると認めていること
ステーション側の届出
精神科訪問看護基本療養費の届出、および24時間対応体制加算の届出を行っていること
1日に4回以上訪問しても、点数は「3回以上の場合」と同額です
なお、1日に4回以上訪問した場合でも、加算は「3回以上の場合」と同額です。回数を増やしても点数が積み上がる仕組みではありません。
2026年6月改定で何が変わったのか
人数の区分が2つから5つになった
改定前は「同一建物内1人又は2人」と「同一建物内3人以上」の2区分でした。改定後は、3人以上9人以下、10人以上19人以下、20人以上49人以下、50人以上に分かれ、全部で5区分になっています。
高齢者向け住まいなど、1つの建物に多くの利用者様が住んでいる場合ほど1人あたりの点数が下がる構造です。
1日3回以上は月の算定日数でも変わる
1日3回以上の場合には、もう1つの軸が加わりました。同じ月にこの加算を何日算定したかで、20日目までと21日目以降で点数が分かれます。
月の後半に入るほど下がるため、月の途中で点数が切り替わる点に注意が必要です。1日2回の場合には、この日数による区分はありません。
廃止されたコード
「1日に3回以上の場合(同一建物内3人以上)」7,200円のコードは廃止されました。改定後は、同じ7,200円でも「3人以上9人以下・月20日目まで」という限定された区分になっています。以前のコードのままレセプトを組んでいると返戻の原因になります。
区分がどう細かくなったか
改定前(2区分)
2026年6月改定後(5区分)
1日3回以上の場合は、さらに「月20日目まで」と「月21日目以降」に分かれます
2026年6月の改定は、この加算だけの話ではありません。同じ改定で新しく設けられた訪問看護物価対応料や、同じ形で細分化された難病等複数回訪問加算もあわせて確認しておくと、届出の抜けを防げます。
点数早見表(2026年6月〜)
精神科複数回訪問加算 点数早見表(2026年6月〜)
出典:厚生労働省 訪問看護療養費マスター
| 同一建物内の人数 | 1日に2回 | 1日に3回以上 |
|---|---|---|
| 1人又は2人 | 4,500円 | 8,000円 |
| 3人以上9人以下 | 4,000円 | 月20日目まで 7,200円 月21日目以降 6,900円 |
| 10人以上19人以下 | 3,700円 | 月20日目まで 6,300円 月21日目以降 5,200円 |
| 20人以上49人以下 | 3,500円 | 月20日目まで 4,800円 月21日目以降 3,500円 |
| 50人以上 | 3,300円 | 月20日目まで 4,100円 月21日目以降 3,000円 |
1人又は2人の場合の点数は、改定前後で変わっていません。1日2回の場合には、月の算定日数による区分はありません。
改定前は、1日2回が4,500円(3人以上は4,000円)、1日3回以上が8,000円(3人以上は7,200円)でした。同一建物内が1人又は2人の場合の点数は、改定前後で変わっていません。変わったのは3人以上の場合です。
同一建物の人数はどう数えるか
ここが最も間違えやすいところです。
難病等複数回訪問加算・包括型の対象者も合算する
同一日に同一建物で訪問看護を行う場合、精神科複数回訪問加算だけでなく、難病等複数回訪問加算を算定している利用者様の人数も合算して数えます。2026年6月に新設された包括型訪問看護療養費の対象者も同様です。
「精神科の加算とは別の制度だから」と切り離して数えると、人数区分の判定が変わってしまいます。
同一敷地内の別棟も同一建物になった
2026年6月改定で、同一建物の定義に「同一敷地内の建物も同一建物とする」規定が設けられました。渡り廊下でつながっていない別棟でも、同じ敷地内であれば合算の対象です。
サービス付き高齢者向け住宅などで複数棟が並んでいる場合、これまでの数え方のままだと人数区分を誤ります。
同一建物の人数を数えるときの確認
レセプトを作る前に、上から順に確認してください
同じ日に訪問した利用者様を、建物ごとに一覧化したか
難病等複数回訪問加算の対象者を人数に含めたか
包括型訪問看護療養費の対象者を人数に含めたか
同一敷地内の別棟を同一建物として合算したか
1日3回以上の場合、月20日目までか21日目以降かを確認したか
各回の訪問が20分を下回っていないか、開始・終了時刻を記録したか
訪問時間と記録の要件が厳しくなりました
20分を下回る訪問は算定できない
2026年6月改定で、訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定する場合の訪問時間について、30分以上を標準とし、20分を下回るものは算定できないという規定が設けられました。
複数回訪問では1回あたりが短くなりがちですが、20分を下回る訪問は回数に数えられません。
実際の開始時刻と終了時刻の記録が必要
訪問看護記録書に、実際の訪問開始時刻と終了時刻を記載することが明確化されました。訪問看護ステーションにおいても、日々の利用者様氏名・訪問場所・訪問時間・訪問人数などを記録し保管することが求められます。
「おおよそ30分」といった記録では、要件を満たしているかを示せません。
標準を下回る訪問の繰り返しは認められない
厚生労働省の通知では、標準の時間を下回る訪問が同一日に同一の利用者様へ複数回、あるいは複数の利用者様へ頻繁に行われている場合には、指定訪問看護を実施したとは認められないとされています。
短時間の訪問を回数だけ重ねる運用は、加算の前提から外れます。
包括型訪問看護療養費を算定する場合は別に算定できません
2026年6月に新設された包括型訪問看護療養費は、1日当たりで包括して評価する仕組みです。この包括範囲には精神科複数回訪問加算も含まれます。
高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、その住まいの利用者様に24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合、包括型を算定するか、従来どおり基本療養費と加算を積み上げるかで請求の形が変わります。両方は算定できません。
同一建物に包括型の対象者と、そうでない利用者様が混在する場合は、人数のカウントに包括型の対象者も含める点とあわせて整理が必要です。
すえひろが大切にしていること
制度の細分化が進むほど、算定の判断は現場の記録の正確さに支えられるようになります。訪問した時刻、実際に要した時間、その日の建物内の訪問人数。これらが日々きちんと残っていることが、結果として利用者様に必要な回数の訪問を届け続けることにつながります。
すえひろ訪問看護ステーションは、「制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください」という姿勢でご相談をお受けしています。精神科訪問看護の受け入れや連携についてお困りのことがあれば、お気軽にお声がけください。
まとめ
精神科複数回訪問加算は、2026年6月改定で評価の仕組みが大きく変わりました。
同一建物内の人数が5区分に細分化され、1日3回以上の場合は月の算定日数によっても点数が変わります。人数を数えるときは、難病等複数回訪問加算や包括型訪問看護療養費の対象者も合算し、同一敷地内の別棟も含めます。
あわせて、20分を下回る訪問は算定できず、実際の訪問開始時刻と終了時刻の記録が必要になりました。点数表の確認だけでなく、日々の記録の取り方まで含めて見直すことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 1日に4回訪問した場合、点数は増えますか?
増えません。「1日に3回以上の場合」として算定するため、3回でも4回でも同額です。訪問回数は、利用者様の状態と訪問看護計画に基づいて設定してください。
Q2. 同一建物の人数は、精神科の利用者様だけを数えればよいですか?
いいえ。難病等複数回訪問加算を算定している利用者様、包括型訪問看護療養費の対象となっている利用者様も合算して数えます。加算の種類ごとに分けて数えると、人数区分の判定を誤ります。
Q3. 月の算定日数による区分は、1日2回の場合にもありますか?
ありません。月の算定日数(20日目まで/21日目以降)による区分があるのは、1日3回以上の場合だけです。
Q4. 同一敷地内に別の棟がある場合、それぞれ別の建物として数えられますか?
2026年6月改定で、同一敷地内の建物も同一建物とする規定が設けられました。別棟であっても同じ敷地内であれば合算します。
Q5. 25分の訪問は算定できますか?
訪問時間は30分以上が標準とされ、20分を下回るものは算定できないとされています。25分の訪問は20分を下回ってはいませんが、標準を下回る訪問が頻繁に行われている場合には指定訪問看護を実施したと認められないとされているため、計画に沿った時間で実施することが前提になります。
参考資料
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