この記事の要点(30秒でわかる)
- 高齢者は体内の水分が約50%と少なく、夏は脱水と食欲不振が重なりやすくなります。
- 冷たいものに偏らず、少量頻回・香りの工夫で「食べられる量」を確保することが大切です。
- たんぱく質は1日男性60g・女性50gが目安。夏こそ意識して補いたい栄養素です。
- 訪問看護師が栄養・脱水・服薬・体調を定期的に確認し、ご家族の負担も支えます。
夏になると、ご高齢のご家族が「食欲がない」「そうめんしか食べない」と言って、心配になることはありませんか。暑さで食が細くなる状態が続くと、知らないうちに体力や栄養が落ちてしまいます。
夏バテや食欲不振は、ちょっとした食事の工夫で和らげられることが少なくありません。訪問看護では、栄養や水分の摂り方を一緒に見直し、体調の変化を早めに見つけるお手伝いをしています。
すえひろ訪問看護ステーションは、「食べられない」という小さなサインも見逃さず、ご本人とご家族に寄り添います。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。
この記事では、高齢者が夏バテ・食欲不振になりやすい理由から、在宅でできる食事や水分の工夫、訪問看護のサポート内容までを、わかりやすくお伝えします。
目次
なぜ高齢者は夏に食欲不振になりやすいのか
高齢者が夏に食欲不振になりやすい背景には、体の水分量の少なさと暑さによる消耗があります。成人の体内水分量は約60%ですが、65歳以上では約50%まで低下します(出典:健康長寿ネット「脱水症」公益財団法人長寿科学振興財団)。水分の蓄えが少ないぶん、暑さの影響を受けやすいのです。
加齢により、暑さやのどの渇きそのものを感じにくくなる点も見逃せません。本人が「平気」と思っていても、体は静かに消耗していることがあります。
暑さで体力を消耗すると、疲労が抜けずに食欲が落ちます。さらに冷たい飲み物やめん類に偏ると、栄養が不足し、ますます元気が出ないという悪循環に陥りやすくなります。
夏の食欲不振は単なる「夏の風物詩」ではなく、低栄養や脱水の入り口になり得ます。早めに気づき、手を打つことが大切です。
見逃したくない脱水と低栄養のサイン
夏の高齢者で特に注意したいのが、脱水と低栄養のサインです。高齢者は、軽度の脱水では症状が明らかになりにくいという特徴があります(出典:健康長寿ネット「脱水症」)。「のどが渇いた」と訴えないまま、脱水が進むことがあるのです。
口の中や唇の乾き、皮膚の張りの低下、尿の量や色の変化は、見てわかる目安になります。ぼんやりする、急に元気がなくなるといった変化も、脱水のサインのことがあります。
低栄養については、体重が少しずつ減る、いつもの食事を残すようになる、といった変化が手がかりです。低栄養はフレイル(加齢で心身が衰えた状態)の主要な原因の一つで、感覚機能の低下や社会的孤立も食欲低下につながります(出典:健康長寿ネット「フレイルと栄養」)。
ご家族が毎日のささいな変化に気づくことが、早期発見の第一歩です。気になるサインがあれば、専門職にご相談ください。
食欲がないときの食事の工夫
食欲がないときは、量より「食べやすさ」を優先することが基本です。多くの量が食べられない場合は、少量多品目・少量頻回で栄養バランスを整える工夫が役立ちます。一度に無理をさせず、回数を分けて少しずつ口にしてもらいましょう。
冷たいものばかりに偏らない点も大切です。冷たいものを摂りすぎると胃腸への負担が増え、消化不良につながります。温かいスープや煮物など、消化にやさしい一品を組み合わせると安心です。
香りで食欲を引き出す工夫も有効です。カレーなどの香辛料や、ミョウガ・大葉といった香味野菜は、食欲を増進させるのに役立ちます。さっぱりした柑橘やゼリーは、食べ始めのきっかけとして向いています。
咀嚼(そしゃく=かむこと)の力に合わせ、食べやすい大きさに切る、やわらかく煮込むといった調整も食べやすさを高めます。なお、飲み込みにくさ(嚥下障害)が目立つ場合は、別記事の「在宅で食べられないが続くとき」もあわせてご覧ください。
夏こそ意識したいたんぱく質と栄養バランス
夏は食が細くなりがちですが、たんぱく質をしっかり摂ることが体力維持の鍵になります。たんぱく質の推奨量は、65歳以上の男性で1日60g、18歳以上の女性で1日50gが目安です(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。めん類だけの食事では、この量に届きにくくなります。
たんぱく質が総エネルギーに占める割合は、65歳以上で15〜20%が目標とされています(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。この基準は、フレイル予防も視野に入れて策定されました。夏に不足させないことが、秋以降の元気にもつながります。
具体的には、卵・豆腐・納豆・しらす・ツナなど、調理の手間が少なく食べやすい食品が便利です。冷ややっこやそうめんに、ツナや卵、薬味を添えるだけでも栄養価が上がります。
フレイル・サルコペニア(筋肉量の減少)予防には、たんぱく質に加えてビタミンDやカルシウムも大切です(出典:健康長寿ネット「フレイル予防のための食事と栄養」)。一品足す意識で、夏の食卓を支えましょう。
脱水を防ぐ水分の摂り方
脱水を防ぐには、のどが渇く前のこまめな水分補給が基本です。高齢者は基礎代謝の低下で体内でつくられる水分が減り、筋肉などの備蓄水分も少ないため、特別な病気がなくても暑さで容易に脱水になります(出典:健康長寿ネット「脱水症」)。のどの渇きを待たない習慣づくりが欠かせません。
朝起きたとき、食事のとき、入浴の前後、就寝前など、時間を決めて少しずつ飲むと無理がありません。一度にたくさんではなく、コップ半分ずつをこまめに重ねるのがコツです。
水やお茶が進まないときは、水分の多い食事も助けになります。みそ汁、スープ、ゼリー、果物などは、食事から水分を補う良い方法です。
ただし、心臓や腎臓に持病がある方は、水分量に制限がある場合があります。1日にどれくらい摂ればよいか迷うときは、自己判断せず主治医や看護師にご相談ください。安全な範囲を一緒に確認させていただきます。
訪問看護ができる夏のサポート
訪問看護では、夏の体調管理を在宅で継続的に支えます。訪問看護師が定期的にうかがい、栄養状態・脱水の有無・服薬・全身の体調を確認します。数字に表れにくい小さな変化も、専門職の目で早めにとらえることが期待できます。
食事や水分の摂り方も、その方の体や持病に合わせて一緒に考えます。「何をどれくらい食べればよいか」「水分はどこまで摂ってよいか」といった迷いに、根拠を踏まえてお答えします。
ご家族だけで抱え込まないことも大切にしています。毎日の食事づくりや見守りに不安があるときは、その負担を分かち合い、続けやすい方法を一緒に探します。
すえひろ訪問看護ステーションは、専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。夏の食事や体調のことで気になる点があれば、一緒に考えさせてください。
まとめ
高齢者は体内の水分が少なく、夏は脱水と食欲不振が重なりやすくなります。冷たいものに偏らず、少量頻回や香りの工夫で食べやすさを確保し、たんぱく質をはじめとする栄養を意識することが、夏を元気に乗り切る鍵です。脱水を防ぐには、のどが渇く前のこまめな水分補給を習慣にしましょう。
すえひろ訪問看護ステーションは、栄養・脱水・服薬・体調を定期訪問で確認し、ご家族の負担も含めて支えます。「食べられない」という小さなサインも見逃さず、ご本人とご家族に寄り添います。
夏の食事や体調の不安は、まずはご相談ください。制度上難しいと思われることでも、専門職として一緒に考えさせていただきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 食欲がなくてそうめんばかり食べています。続けても大丈夫ですか。
めん類だけでは、たんぱく質やビタミンが不足しがちです。ツナ・卵・薬味を添える、みそ汁を一杯加えるなど、一品足す工夫で栄養を補えます。食が細い状態が続く場合は、看護師にご相談ください。
Q2. のどが渇かないと言って水分をあまり摂りません。どうすればよいですか。
高齢者は脱水になっても症状が出にくく、のどの渇きも感じにくくなります。渇きを待たず、時間を決めてコップ半分ずつこまめに飲む習慣がおすすめです。みそ汁やゼリーなど食事からの水分補給も助けになります。
Q3. 1日にどれくらい水分を摂ればよいですか。
必要な水分量は体格や持病によって異なります。特に心臓や腎臓に持病がある方は制限がある場合があるため、自己判断せず主治医や看護師に確認しましょう。安全な範囲を一緒にお決めします。
Q4. 夏に体重が少し減りました。様子を見てよいでしょうか。
体重の減少は低栄養のサインのことがあります。食事量の低下や活気のなさが重なる場合は、早めの相談が安心です。訪問看護では栄養状態を確認し、必要に応じて主治医と連携します。
Q5. 訪問看護では夏に具体的に何をしてもらえますか。
栄養状態や脱水の有無、服薬、全身の体調を定期的に確認します。食事や水分の摂り方をその方に合わせて助言し、ご家族の負担もサポートします。気になることは一緒に考えさせてください。

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