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床ずれ(褥瘡)を在宅で防ぐ|寝たきりの方の夏のケアと訪問看護ができること

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 床ずれは「除圧・体位変換・栄養・スキンケア」の4つで防げます。
  • 仙骨部や踵など骨が出た部位の「消えない赤み」が初期サインです。
  • 夏は汗による蒸れが皮膚を弱らせるため、清潔と乾燥の保持が大切です。
  • 訪問看護師が評価・予防指導・処置・多職種連携でご家庭を支えます。

寝たきりやベッドで過ごす時間が長いご家族を介護されていると、「お尻や背中が赤くなってきた」「これは床ずれでは」と不安になることがあります。床ずれは一度悪化すると治りにくく、ご本人にとってもつらいものです。

床ずれ(褥瘡=じょくそう)は、正しい知識があればご家庭でも予防できます。圧を分散し、体の向きを変え、栄養と皮膚を整えることが基本です。訪問看護では、皮膚の状態を専門職の目で評価し、ご家庭に合った予防方法をご提案します。

すえひろ訪問看護ステーションは、「制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください」という姿勢でご家族に寄り添います。床ずれの不安を一人で抱え込まず、一緒に考えさせてください。

この記事では、床ずれの初期サインの見つけ方、除圧と体位変換のコツ、栄養とスキンケア、そして汗をかきやすい夏ならではの注意点と、訪問看護ができることをわかりやすくお伝えします。

なお、あせもや蒸れを含む夏の皮膚トラブル全般については別記事でも解説しています。本記事は床ずれ(褥瘡)に絞って深掘りします。

床ずれ(褥瘡)とは何か|寝たきりで起こる仕組み

床ずれ(褥瘡)とは、体重で圧迫され続けた部位の血流が滞り、皮膚や皮下の組織がただれたり傷ができたりする状態です。日本褥瘡学会は、骨が出っぱった部位が長く圧迫されることで起こると説明しています。寝たきりの方に多く、初期のサインを見逃さないことが何より大切です。

床ずれは「ただの赤み」から始まり、気づかないうちに深い傷へ進むことがあります。骨と寝具に挟まれた皮膚は血流が途絶え、酸素や栄養が届かなくなって傷んでいきます。

在宅での発生も決して少なくありません。日本褥瘡学会の2016年実態調査では、訪問看護ステーションでの褥瘡有病率は1.93%とされています(出典:日本褥瘡学会 第4回(2016年度)実態調査)。ご家庭でのケアが予防の鍵を握ります。

床ずれの原因は圧迫だけではありません。皮膚の「ずれ」や「摩擦」、汗や失禁による「湿潤」、そして「低栄養」が重なって起こります。これらを一つずつ減らすことが予防につながります。

床ずれ(褥瘡)が起こる仕組み

1

持続的な圧迫

骨が出た部位が長く寝具に押しつけられる

2

血流が滞る

圧迫で皮膚や皮下の血のめぐりが悪くなる

3

酸素・栄養が届かない

組織に必要な酸素と栄養が行き渡らなくなる

4

皮膚・組織の損傷(床ずれ)

赤みからただれ、深い傷へと進む

床ずれができやすい場所と初期サインの見分け方

床ずれは骨が出っぱった部位にできやすく、初期サインは「指で押しても消えない赤み」です。仰向けでは仙骨部(せんこつぶ=お尻の中央)と踵(かかと)、横向きでは大転子部(だいてんしぶ=太ももの付け根の外側)に多く現れます。毎日同じ場所を観察する習慣が早期発見につながります。

好発部位(こうはつぶい=できやすい場所)は寝る姿勢で変わります。仰向けでは仙骨部と踵、横向きでは大転子部、車椅子に座る時間が長い方では坐骨部(ざこつぶ=座ったときに当たるお尻の骨)に注意します(出典:日本褥瘡学会)。

赤みを見つけたら、指でそっと押してみてください。日本褥瘡学会は「指押し法」を推奨しており、押して赤みが白く消えれば一時的な充血、消えずに残れば床ずれを疑うサインとされています(出典:日本褥瘡学会)。

消えない赤みのほか、皮膚のただれ、水ぶくれ、紫色の変化も初期のサインです。気になる変化があれば、自己判断で様子を見続けず、訪問看護師や主治医にご相談ください。

姿勢別・床ずれができやすい部位

仰向け(仰臥位)
  • 仙骨部(お尻の中央)
  • 踵(かかと)
  • 後頭部
  • 肩甲骨
横向き(側臥位)
  • 大転子部(太もも付け根の外側)
  • くるぶし
座位(車椅子)
  • 坐骨部(座って当たるお尻の骨)
  • 尾骨部

除圧と体位変換|2時間おきは絶対ではない

床ずれ予防の基本は「除圧(じょあつ=圧を取り除くこと)」と「体位変換」です。同じ部位への持続的な圧迫を避けるため、体位変換は2時間を超えない範囲が目安とされます。ただし高機能マットレスを使う場合は間隔を延ばせることもあり、画一的な2時間にこだわる必要はありません。

体位変換の目安は2時間を超えない範囲ですが、これは一律のルールではありません。日本褥瘡学会は、リスクに応じて間隔を個別に計画することを推奨しています(出典:日本褥瘡学会)。

使うマットレスによっても変わります。褥瘡予防・管理ガイドライン第3版では、粘弾性フォームマットレスを使う場合は4時間を超えない範囲でもよいとされています(出典:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版)。在宅では介護されるご家族の負担も大きいため、無理のない計画づくりが大切です。

体の向きを変えるときは、引きずらず「持ち上げて動かす」ことがポイントです。皮膚のずれを防ぐため、クッションで隙間を埋め、踵はマットから浮かせるように支えます。エアマットレスなどの体圧分散用具を組み合わせると、より効果的に圧を逃がせます(出典:日本褥瘡学会)。

高機能のエアマットレスは介護保険でレンタルできる場合が多く、ケアマネジャーに確認できます(出典:介護保険福祉用具貸与)。在宅では訪問看護師に相談しながら、ご家庭に合った除圧の方法を見つけていきましょう。

在宅でできる除圧・体位変換のポイント

1

向きを変える前にクッションを手元に準備する

2

引きずらず、持ち上げるように動かす

3

踵はマットから浮かせて支える

4

体とマットの隙間をクッションで埋める

5

同じ姿勢を長く続けない(目安は2時間以内)

6

体圧分散マットレスを組み合わせる

栄養と水分|床ずれを防ぐ体の内側からのケア

床ずれ予防は、体の内側からの栄養ケアも欠かせません。低栄養は皮膚を弱らせ、床ずれを起こしやすく、治りにくくします。たんぱく質・水分・ビタミン・ミネラルをバランスよくとることが、丈夫な皮膚を保つ土台になります。

栄養状態が悪いと床ずれのリスクが高まります。褥瘡予防・管理ガイドラインでは、低栄養(血清アルブミンの低値など)が発生・難治化の要因とされています(出典:褥瘡予防・管理ガイドライン)。食が細くなった方ほど注意が必要です。

特に意識したいのが、皮膚や筋肉のもとになるたんぱく質です。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を毎食に少しずつ取り入れると、必要な栄養を補いやすくなります。食事だけで足りない場合は、栄養補助食品の活用も選択肢です。

水分不足も皮膚の弾力を失わせます。夏は汗で水分が奪われやすいため、こまめな水分補給を心がけてください。具体的な必要量は体格や持病によって異なるため、主治医や管理栄養士にご相談いただくのが安心です。

床ずれ予防に役立つ栄養素と食品例

たんぱく質

皮膚や筋肉のもとになる

肉・魚・卵・大豆製品・乳製品

水分

皮膚の弾力を保つ(夏は特に意識)

水・お茶・汁物・ゼリー飲料

ビタミン・ミネラル

皮膚の健康を支える

野菜・果物・海藻・きのこ

スキンケアと夏の汗対策|蒸れと浸軟を防ぐ

夏の床ずれ予防では、汗による「蒸れ」と「浸軟(しんなん)」への対策が重要です。浸軟とは、皮膚がふやけて弱くなった状態を指します。湿った皮膚は摩擦やずれが起こりやすく、床ずれの引き金になります。清潔を保ち、乾燥させすぎないバランスが鍵です。

汗や失禁による高温多湿は、皮膚の浸軟を招きます。健康長寿ネットやマルホ褥瘡辞典でも、湿潤環境が褥瘡リスクを高めると説明されています(出典:健康長寿ネット)。ふやけた皮膚は薄いシール一枚のように傷つきやすくなります。

夏は特に汗をかきやすく、背中やお尻が湿りがちです。汗をかいたらやさしく拭き取り、通気性のよい寝具やシーツを選びましょう。ただし、汗を気にして拭きすぎると、かえって皮膚が乾燥して傷つきやすくなる点に注意が必要です(出典:マルホ褥瘡辞典)。

スキンケアは「清潔・適度な保湿・保護」が基本です。やさしく洗い、押さえ拭きで水分をとり、乾燥する部位は保湿します。なお、急に汗が増えたときは発熱性の病気が隠れていることもあるため、全身の様子を観察してください(出典:マルホ褥瘡辞典)。あせもや蒸れなど夏の皮膚トラブル全般は別記事もあわせてご覧ください。

夏の汗・蒸れから皮膚を守るスキンケア

1

汗をかいたらこすらず押さえ拭きする

2

通気性のよい寝具・シーツを選ぶ

3

洗いすぎ・拭きすぎで乾燥させない

4

乾燥しやすい部位はやさしく保湿する

5

おむつ内の蒸れをこまめに減らす

6

急な発汗時は発熱がないか全身を確認する

訪問看護ができること|評価から処置・多職種連携まで

訪問看護では、床ずれの評価から予防指導、処置、多職種連携までをご家庭で行えます。訪問看護師が発赤や好発部位を専門職の目で評価し、ご家族では気づきにくい初期の変化をとらえます。一人ひとりの暮らしに合った予防計画を、ご家族と一緒に組み立てます。

訪問看護師は、皮膚の状態を継続的に評価します。発赤・熱感・悪臭・疼痛といった感染の徴候を観察し、悪化が疑われる場合は速やかに主治医へ報告して処置の指示を仰ぎます(出典:訪問看護・褥瘡看護計画資料)。早期の対応が重症化の予防につながります。

予防指導も大切な役割です。ご家族やヘルパーに、皮膚の観察方法や発赤の見分け方、無理のない体位変換のコツをお伝えします(出典:在宅褥瘡ケア関連資料)。在宅では介護されるご家族の負担にも配慮しながら計画を立てます。

主治医・ケアマネジャー・管理栄養士・薬剤師など多職種との連携も訪問看護の強みです。マットレスの選定や栄養面の調整も、チームで支えます。すえひろ訪問看護ステーションは、専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。

訪問看護による床ずれケアの流れ

1

皮膚の評価

発赤・好発部位を専門職の目で観察する

2

予防計画の立案

暮らしに合った体位変換・除圧を計画する

3

ご家族への指導

観察方法やケアのコツをわかりやすく伝える

4

処置・主治医報告

感染徴候を確認し、悪化時は速やかに報告する

5

多職種連携

主治医・ケアマネ・管理栄養士とチームで支える

まとめ

床ずれ(褥瘡)は、除圧と体位変換、栄養と水分、そして夏の汗・蒸れ対策という基本を押さえることで、ご家庭でも予防できます。骨が出た部位の「消えない赤み」を早く見つけ、湿った皮膚を清潔に保つことが大切です。低栄養を防ぐ食事も、丈夫な皮膚を支えます。

すえひろ訪問看護ステーションは、床ずれの評価から予防指導、処置、多職種連携まで、ご家庭に合わせて支援します。「諦めない」「可能性を信じる」姿勢で、ご本人とご家族に寄り添います。

床ずれや在宅ケアの不安は、どうか一人で抱え込まないでください。床ずれや在宅ケアの不安は、まずはご相談ください。専門職として責任を持って、一緒に考えさせていただきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 床ずれの一番早いサインは何ですか。

A. 骨が出た部位の「指で押しても消えない赤み」です。仙骨部や踵によく現れます。赤みが白く消えなければ床ずれを疑い、訪問看護師や主治医にご相談ください。

Q. 体位変換は必ず2時間おきにしないといけませんか。

A. 2時間を超えない範囲が目安ですが、絶対のルールではありません。日本褥瘡学会は個別の計画を推奨しており、高機能マットレスを使えば間隔を延ばせる場合もあります(出典:日本褥瘡学会)。

Q. 夏に床ずれができやすくなるのはなぜですか。

A. 汗による蒸れで皮膚がふやけ(浸軟)、摩擦やずれが起こりやすくなるためです(出典:健康長寿ネット)。汗を押さえ拭きし、通気性のよい寝具を選ぶことが予防になります。

Q. エアマットレスは介護保険で借りられますか。

A. 高機能のエアマットレスは介護保険でレンタルできる場合が多くあります(出典:介護保険福祉用具貸与)。ケアマネジャーや訪問看護師にご確認ください。

Q. 赤みができてしまったらどうすればよいですか。

A. その部位への圧迫を避け、自己判断でマッサージはせず、訪問看護師や主治医に早めにご相談ください。早期の対応が重症化の予防につながります。

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