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停電・災害に備える医療的ケア児の在宅防災|人工呼吸器・吸引器の電源確保

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 人工呼吸器は外部バッテリーを2台以上備え、交互充電で3日分を目安にします。
  • 停電時は呼吸器を最優先し、吸引は手動・足踏み式で代替できます。
  • 東京電力への事前登録と、避難行動要支援者名簿への登録が命を守ります。
  • 足立区は荒川氾濫で広域浸水が想定され、早めの水平避難が重要です。

停電や台風で、お子さんの人工呼吸器が止まったらどうしよう。そんな不安を抱えるご家族は少なくありません。医療機器に頼るお子さんにとって、電源の確保はまさに命綱です。

訪問看護では、平時から外部バッテリーの管理や避難計画づくりをご一緒に進められます。停電時の連絡体制や主治医との調整も、専門職として支えさせていただきます。

すえひろ訪問看護ステーションは、足立区で医療的ケア児(いりょうてきけあじ:日常的に医療的なケアを必要とするお子さん)のご家庭に寄り添ってきました。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。

この記事では、人工呼吸器・吸引器・在宅酸素の電源確保を中心に、平時の備えから停電時の行動、足立区の制度までを具体的にお伝えします。7月の台風・大雨シーズンを前に、ご家庭の備えを一緒に点検していきましょう。

なぜ医療的ケア児の在宅防災で「電源確保」が最優先なのか

医療的ケア児の在宅防災では、電源確保が文字どおり生命に直結します。人工呼吸器・吸引器・在宅酸素・経管栄養ポンプなど、在宅で使う医療機器の多くは電気で動くためです。停電が長引けば呼吸や排痰が維持できず、命の危険に直結します。

在宅で使う医療機器には、人工呼吸器、加温加湿器、機械式排痰補助装置、酸素濃縮器、吸引器、経管栄養ポンプ、パルスオキシメーターなど多くの種類があり、いずれも駆動に電気を必要とします(出典:国立成育医療研究センター「医療機器が必要な子どものための災害対策マニュアル」)。

特に人工呼吸器は、停電が即座にお子さんの呼吸停止につながりかねません。だからこそ、停電時にどの機器を優先し、どう電源をつなぐかを平時に決めておくことが何より大切です。

電源確保は「機械の話」ではなく「お子さんの命を守る計画」です。ご家庭だけで抱え込まず、訪問看護や主治医と一緒に組み立てていきましょう。一緒に考えさせてください。

在宅で「電気」が必要な主な医療機器

人工呼吸器

呼吸を維持

要電源

吸引器

痰の吸引

要電源

酸素濃縮器

在宅酸素

要電源

経管栄養ポンプ

栄養注入

要電源

加温加湿器

呼吸の加湿

要電源

パルスオキシメーター

酸素濃度の測定

要電源

人工呼吸器の電源確保|外部バッテリーと自家発電の備え方

人工呼吸器の電源確保では、外部バッテリーを最低2台備え、交互に充電しながら使う方法が基本です。長期停電に備えるには、3日分以上の電源を確保する考え方が推奨されています。1台を呼吸器に使い、もう1台を発電機や車で充電して交互に運用します。

重度の障害がある方の場合、3日以上対応できる非常用外部電源の整備が必要と指摘されています(出典:日本障害者リハビリテーション協会 情報誌2013年3月号)。停電が数日続いた過去の災害を踏まえた目安です。

蓄電池(ポータブル電源)は、自動車やソーラーパネルから充電できるものを選ぶと安心です。使う医療機器が連続して動かせる容量かどうかを、購入前に主治医や機器業者に確認しましょう。

自家発電装置を使う場合、インバーター(直流を交流に変える装置)はバッテリーや蓄電池に接続するのが望ましく、人工呼吸器に直接つなぐのは非常時の対応にとどめます。誤った接続は機器の故障につながるため、事前の確認が欠かせません。

外部バッテリーの使い方や充電のタイミングは、訪問看護でご一緒に練習できます。いざという時に慌てないよう、平時から手順を体に覚えさせておきましょう。

外部バッテリー2台の交互運用

1

バッテリーAを人工呼吸器に接続して使用

2

その間にバッテリーBを発電機・車・病院で充電

3

Aが減ったら充電済みのBに入れ替える

4

外したAを充電し、交互に繰り返して3日分を確保

吸引器・在宅酸素が止まったときの代替手段

吸引器や在宅酸素が停電で止まっても、代替手段を備えておけば落ち着いて対応できます。吸引器は手動式や足踏み式に切り替え、在宅酸素は予備の酸素ボンベに切り替えるのが基本です。電気がなくても痰の吸引と酸素供給を続けられる準備が命を守ります。

吸引については、手動式や足踏み式の吸引器を平時から用意し、使い慣れておくことが推奨されています(出典:日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 在宅酸素療法の災害対策に関する報告)。電池式の携帯吸引器も選択肢になります。

在宅酸素では、停電で酸素濃縮器が止まったら、ただちに予備の酸素ボンベへ切り替えます。ボンベは常に十分な予備を確保し、切り替え操作を事前に練習しておくと安心です。

ブレーカーを落として部屋を暗くした状態で切り替えを試す「停電シミュレーション」も有効です。暗い中での操作や重いボンベの移動など、実際の課題に平時から気づけます。

代替機器の選び方や使い方は、訪問看護でお子さんの状態に合わせてご提案できます。専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。

停電時の機器別 代替手段 早見表

止まった機器切り替える代替手段
人工呼吸器外部バッテリー・蓄電池(2台で交互運用)
吸引器手動式・足踏み式・電池式吸引器
在宅酸素(酸素濃縮器)予備の酸素ボンベに切り替え

自動車・ポータブル電源からの給電という選択肢

自動車やポータブル電源は、停電時の有力な電源になります。多くの蓄電池は車のシガーソケットから充電でき、車そのものをバッテリーの充電場所として使えます。給電に対応した車種なら、車内のコンセントから直接医療機器へ電源を供給することも可能です。

長期停電に対応するには、外部バッテリーを発電機や車、病院などで充電しながら交互に使う運用が推奨されています(出典:国立成育医療研究センター「医療機器が必要な子どものための災害対策マニュアル」)。車は移動だけでなく「動く電源」にもなります。

ただし、車からの給電には注意点があります。エンジンをかけたまま充電する際は、屋外の換気のよい場所で行い、一酸化炭素中毒を防ぎましょう。ガソリンの残量も日頃から半分以上を保つ習慣が役立ちます。

足立区のように広域浸水が想定される地域では、車が使えなくなる前に早めに避難する判断も重要です。ご家庭の車や住環境に合わせた電源計画は、まずはご相談ください。

停電時の連絡体制|電力会社・主治医・訪問看護との事前調整

停電時の連絡体制は、平時の事前調整で決まります。東京電力への事前登録、主治医・訪問看護・機器業者の緊急連絡先の整理が要になります。誰に・どの順番で連絡するかを一覧にしておけば、停電の最中でも落ち着いて動けます。

東京電力は、在宅医療機器の使用者が住所・氏名・緊急連絡先を事前登録した場合、有事の際に直接電話連絡する体制を整えています(出典:電力時事通信社 報道)。生命維持に関わる機器を使うご家庭は、事前の登録をおすすめします。

連絡先の一覧には、主治医、訪問看護ステーション、人工呼吸器・酸素の機器業者、東京電力を必ず含めましょう。停電や故障時に各業者がどう対応するかも、平時に確認しておくと安心です。

医療機器に内蔵されたバッテリーは、通常1日程度もつ構造とされています(出典:電力時事通信社 報道)。ただし機種により異なるため、お使いの機器の持ち時間を主治医や業者に必ず確認してください。

連絡体制づくりは、訪問看護がハブ(中心)となってご一緒に整えられます。主治医や業者との橋渡しも、私たちが間に立たせていただきます。

避難行動要支援者名簿と福祉避難所の違い

項目避難行動要支援者名簿福祉避難所(第二次避難所)
目的安否確認・避難支援につなげる特別な配慮を要する方を受け入れる
対象身体障害者手帳1〜2級等の方高齢者・障がいのある方・乳幼児等
登録・利用事前に名簿へ登録(区へ確認)災害時に開設・受け入れ

避難行動要支援者名簿と福祉避難所|足立区の制度を知る

避難行動要支援者名簿と福祉避難所は、災害時に支援を受けるための大切な制度です。名簿に登録すると、区や消防・民生委員と情報が共有され、安否確認や避難支援につながります。医療的ケアが必要なお子さんは、これらの制度を平時に確認しておくことが重要です。

足立区の避難行動要支援者名簿は、身体障害者手帳1〜2級の方などが対象で、区内関係部署・警察署・消防署・民生児童委員に共有されます(出典:足立区公式サイト 避難行動要支援者名簿)。安否確認や避難支援に活用されます。

福祉避難所(第二次避難所)は、高齢者や障がいのある方など特別な配慮を要する方を受け入れる避難所です(出典:足立区公式サイト 福祉避難所のご案内)。一般の避難所で過ごすことが難しいお子さんの受け入れ先になります。

対象の条件や登録の手続きは、お子さんの状況によって異なります。「うちは対象になるのだろうか」と迷われたら、まずはご相談ください。足立区の窓口への確認も、訪問看護がご一緒に進めさせていただきます。

台風接近時のタイムライン

数日前
気象情報の収集・全バッテリーの充電・酸素ボンベの在庫確認
前日
避難先・避難ルートの最終確認・薬と栄養剤の準備・連絡先の再確認
当日
浸水で動けなくなる前に、早めの水平避難を実行

足立区の水害リスクと早めの避難判断

足立区は荒川流域に位置し、大規模水害のリスクが高い地域です。荒川が氾濫すると区内のほぼ全域が浸水すると想定されています。医療機器を使うお子さんのご家庭では、停電だけでなく「浸水で在宅を続けられなくなる」事態への備えも欠かせません。

荒川が氾濫した場合、足立区はほぼ全域が浸水し、最大浸水深5m以上、浸水継続時間が2週間を超える地域もあると想定されています(出典:足立区 洪水・内水・高潮ハザードマップ 令和4年4月改訂)。3階建ての家屋が浸水する地域もあります。

医療機器を使うご家庭では、浸水で電源も避難も困難になる前に動くことが命を守ります。台風の接近など、災害が予測できる場合は、早めの水平避難(浸水しない地域や施設へ移ること)を検討しましょう。

避難先では電源が確保できるかが鍵になります。親戚宅や入院など、お子さんに合った避難先を平時に主治医と相談しておくと安心です。

どこへ・どのタイミングで避難するかは、お子さんの状態と住まいによって変わります。一緒に最善の判断を考えさせてください。

平時に整える在宅防災チェックリスト

1外部バッテリー2台以上を確保
2予備の酸素ボンベを常備
3手動・足踏み式吸引器を用意
4緊急連絡先一覧を作成
5避難先を確保しておく
6消耗品(カニューレ・チューブ等)を備蓄
7薬・経管栄養剤の予備を準備
8災害時個別支援計画を1枚にまとめる

平時に整える在宅防災チェックリスト

平時の備えこそが、災害時のお子さんの命を守ります。外部バッテリーの確保、代替機器の準備、連絡先の整理、避難先の決定を、災害が起きる前に整えておくことが大切です。年に一度の見直しを習慣にすると、機器や連絡先の変化にも対応できます。

医療的ケア児の災害時個別支援計画では、外部バッテリー等の機器が使えるよう年1回見直し、関係者と家族が機器のチェックを行う体制が整えられています(出典:青森県 医療的ケア児災害時個別支援計画作成マニュアル 令和6年7月策定)。定期点検が備えの基本です。

備えとして整えたいのは、外部バッテリー2台以上、予備の酸素ボンベ、手動・足踏み式吸引器、緊急連絡先一覧、避難先の確保、消耗品(カニューレ・吸引チューブ等)の備蓄です。お薬や経管栄養剤の予備も忘れずに用意しましょう。

これらを「災害時個別支援計画」として一枚にまとめておくと、ご家族以外の支援者にも状況が伝わります。計画づくりは、訪問看護がご一緒に作成をお手伝いできます。

何から手をつければよいか分からないときも、ご安心ください。お子さんの状態に合わせて、一つずつ一緒に整えさせていただきます。

まとめ|備えを一緒に整えていきましょう

医療的ケア児の在宅防災では、電源確保が最優先です。人工呼吸器は外部バッテリーを2台以上備えて交互運用し、吸引器は手動・足踏み式、在宅酸素は予備ボンベで代替します。東京電力への事前登録、避難行動要支援者名簿への登録、そして足立区の水害リスクを踏まえた早めの避難判断が、お子さんの命を守ります。

すえひろ訪問看護ステーションは、足立区で医療的ケア児のご家庭に寄り添い、平時の備えから停電時の対応までご一緒に整えてきました。外部バッテリーの管理、連絡体制づくり、主治医や区の窓口との調整も、専門職として責任を持って支えさせていただきます。

「何から始めればよいか分からない」「制度が複雑で不安」と感じる方こそ、まずはご相談ください。制度上難しいと思われることでも、一緒に最善の道を考えさせていただきます。お子さんとご家族が安心して過ごせるよう、誠実に向き合わせていただきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 外部バッテリーは何台用意すればよいですか。

最低2台を備え、交互に充電しながら使う方法が基本です。重度の障害がある方の場合、3日以上対応できる電源の整備が必要と指摘されています。お使いの機器の消費電力に合わせ、主治医や機器業者に必要な容量を確認しましょう。

Q2. 停電したらまず何をすればよいですか。

人工呼吸器の電源確保を最優先し、外部バッテリーや蓄電池に切り替えます。続いて訪問看護・主治医へ連絡し、機器業者と東京電力にも状況を伝えます。吸引器は手動・足踏み式、在宅酸素は予備ボンベに切り替えて対応します。

Q3. 東京電力への事前登録はどうすればできますか。

東京電力は在宅医療機器の使用者を対象に、住所・氏名・緊急連絡先の事前登録を受け付けています。登録すると有事の際に直接連絡を受けられる体制があります。手続きの詳細は東京電力の窓口にご確認ください。訪問看護でもご案内できます。

Q4. 足立区で非常用電源の購入助成は受けられますか。

在宅で人工呼吸器を使う方への非常用電源の購入助成は、多くの自治体で実施されています。足立区での実施状況や条件は変わる可能性があるため、区の福祉担当窓口にご確認ください。訪問看護でも申請のご相談に応じます。

Q5. 台風が近づいたら、いつ避難すればよいですか。

足立区は荒川氾濫で広域浸水が想定される地域です。災害が予測できる場合は、浸水で電源も避難も困難になる前に、早めの水平避難を検討しましょう。避難先で電源を確保できるかも事前に主治医と相談しておくと安心です。

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