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医療的ケア児の就学・通学を支えるには|学校での医療的ケアと訪問看護の関わり

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 医療的ケア児支援法により学校は看護師配置などの環境整備が責務となりました
  • 2024年時点で全国の学校に1万1千人以上の医療的ケア児が在籍しています
  • 保護者の付き添い負担軽減には学校看護師や訪問看護の活用が鍵になります
  • 就学の成功には教育委員会・学校・主治医・訪問看護の連携が欠かせません

「この子は地域の学校に通えるのだろうか」「毎日付き添わなければならないのか」。医療的ケア(いりょうてきケア)が必要なお子様の就学を前に、こうした不安を抱えるご家族は少なくありません。

たんの吸引や経管栄養といったケアが日常的に必要なお子様でも、適切な体制が整えば地域の学校に通うことは十分に可能です。その実現を支える仕組みのひとつが訪問看護です。

すえひろ訪問看護ステーションは、お子様の支援を専門に担うチームを置き、足立区教育委員会とも連携しながら就学・通学の支援に取り組んでまいりました。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。

この記事では、医療的ケア児が学校に通うための制度の仕組み、保護者の付き添い負担を減らす方法、そして訪問看護が果たす役割を、公的データをもとに分かりやすくお伝えします。

医療的ケア児の就学を支える法律と制度

医療的ケア児の就学は、2021年の法律施行を機に大きく前進しました。学校の設置者には、看護師の配置など必要な措置を講じる責務が定められています。お子様が保護者の付き添いなしで学校生活を送れる環境づくりが、国全体で進められているのです。

その中心が「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」です。2021年6月に公布され、同年9月に施行されました(出典:こども家庭庁 医療的ケア児支援関連資料)。この法律は、医療的ケア児の健やかな成長と、ご家族の離職防止を目的としています。

法律では、学校の設置者は在籍する医療的ケア児が「保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるよう」、看護師等の配置その他の必要な措置を講じるものとされています(出典:こども家庭庁・文部科学省 学校における医療的ケア児への支援等について)。

つまり、学校に通うことは特別な恩恵ではなく、お子様の当然の権利として位置づけられました。地域の小中学校で医療的ケア児を受け入れる動きは、近年着実に広がっています。

医療的ケア児支援法から学校の環境整備までの流れ

12021年6月 法律公布

医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が公布されました。

22021年9月 施行

医療的ケア児の支援が国・自治体・学校の責務として位置づけられました。

3学校設置者の責務

保護者の付添いなしでケアを受けられるよう看護師等の配置に努めます。

4就学環境の整備

地域の学校で医療的ケア児を受け入れる体制づくりが進んでいます。

学校にはどれくらいの医療的ケア児が通っているか

学校に通う医療的ケア児は、年々増加しています。2024年時点で全国の学校に在籍する医療的ケア児は1万1千人を超え、地域の普通学校に通うお子様も着実に増えています。決して珍しいことではなく、多くの先輩家庭が学校生活を実現してきました。

文部科学省の調査によると、2024年5月1日時点で学校に在籍する医療的ケア児は合計1万1,259人でした。内訳は特別支援学校が8,700人、幼稚園・小中高校など(いわゆる普通学校)が2,559人です(出典:文部科学省 令和6年度 学校における医療的ケアに関する実態調査)。

普通学校に通うお子様は前年より360人増えており、地域の学校で学ぶ選択が広がっていることがうかがえます。

学校で日常的に行われる医療的ケアには、たんの吸引、経管栄養(けいかんえいよう/口や鼻、胃に通した管から栄養を摂る方法)、導尿(どうにょう)、気管切開部の管理などがあります(出典:文部科学省 学校における医療的ケアについて)。お子様の状態に応じて、必要なケアを学校生活の中で受けられます。

学校に在籍する医療的ケア児数(2024年5月時点)

特別支援学校

8,700人

幼稚園・小中高校など(普通学校)

2,559人

合計

11,259人

出典:文部科学省 令和6年度 学校における医療的ケアに関する実態調査

学校での医療的ケアは誰がどう担うのか

学校での医療的ケアは、原則として医師の指示のもとで看護師が行います。一部のケアは、研修を受けた教職員が担う仕組みもあります。お子様の安全を守るため、複数の専門職が役割を分担して支える体制が整えられています。

学校に配置される看護師は、主治医の指示書に基づいてたんの吸引や経管栄養などのケアを実施します。2024年5月時点で、医療的ケアを担う看護職員等は特別支援学校で7,818人、幼稚園・小中高校で2,745人配置されており、前年より増加しています(出典:文部科学省 令和6年度 学校における医療的ケアに関する実態調査)。

加えて、2012年の制度改正により、研修を修了し都道府県知事の認定を受けた教職員は「認定特定行為業務従事者」として、たんの吸引など5つの特定行為を一定の条件下で行えるようになりました(出典:文部科学省 学校における医療的ケアについて)。

このように、看護師を中心に教職員も連携しながら、お子様一人ひとりに合わせたケア体制をつくります。学校だけで完結せず、医療機関や訪問看護との協力も重要になります。

学校での医療的ケアを担う専門職の役割

学校看護師

主治医の指示書に基づき、たんの吸引や経管栄養などのケアを実施します。

認定特定行為業務従事者(教職員)

研修を修了し、たんの吸引など5つの特定行為を一定条件下で担います。

主治医

指示書を作成し、お子様の医療的ケアの内容に責任を持ちます。

訪問看護師

在宅ケアと情報提供、関係者との連携でお子様の生活を切れ目なく支えます。

保護者の付き添い負担をどう減らせるか

保護者の付き添いは、必要な体制が整えば減らすことができます。国は「付き添いは真に必要な場合に限る」よう求めており、看護職員の配置促進が進められています。お仕事や下のお子様の世話との両立に悩むご家族にとって、大きな支えとなります。

文部科学省の調査では、保護者が学校生活に付き添っている医療的ケア児は普通学校で324人(12.7%)、特別支援学校で263人(3.8%)でした(出典:文部科学省 令和6年度 学校における医療的ケアに関する実態調査)。付き添いが必要な理由として最も多かったのは「看護職員等が配置されていない」というもので、回答全体の約4割を占めました。

逆に言えば、看護師の配置が進むほど付き添いの負担は軽くなります。国は「保護者に付添いの協力を得ることは真に必要と考えられる場合に限るよう努めるべき」との方針を示しています(出典:文部科学省 学校における医療的ケアの充実について)。

付き添いの負担に悩まれている場合は、学校や教育委員会に体制の見直しを相談できます。一人で抱え込まず、まずはご相談いただければ、一緒に考えさせてください。

保護者が学校生活に付き添う医療的ケア児の割合

普通学校

12.7%(324人)

特別支援学校

3.8%(263人)

出典:文部科学省 令和6年度 学校における医療的ケアに関する実態調査

就学に向けた相談と多職種連携の進め方

スムーズな就学には、早めの相談と多職種の連携が欠かせません。教育委員会・学校・主治医・訪問看護が情報を共有し、お子様に合った体制を就学前から準備します。早期に動き出すほど、安心して入学を迎えられます。

多くの自治体では、就学の前年(年中の時期)から就学相談を始めることが推奨されています。教育委員会が保健所や福祉部門と連携し、お子様の状況を早期に把握して、看護師の手配や学校での準備を整えていきます(出典:世田谷区教育委員会 学校等における医療的ケア実施ガイドライン)。

就学にあたっては、指示書に責任を持つ主治医との連携が不可欠です。教育委員会・学校・主治医・保護者がそれぞれの役割を果たし、力を合わせることが求められます(出典:文部科学省 学校における医療的ケアについて)。

訪問看護ステーションは、訪問看護情報提供書を通じて学校に情報を提供し、必要に応じてカンファレンス(関係者の打ち合わせ)や同行訪問を行います。お子様の成長や病状に応じて、支援方針や役割を関係者で確認していきます。

すえひろ訪問看護ステーションは、お子様の支援を専門に担うチームを置き、足立区教育委員会とも連携しながら就学・通学を支えてまいりました。制度上難しいと思われることでも、専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。

就学相談から入学までの準備の流れ

1就学相談の開始(年中の時期)

教育委員会へ早めに相談し、お子様の状況を共有します。

2主治医の指示書を取得

必要な医療的ケアの内容を主治医が指示書にまとめます。

3教育委員会・学校との調整

看護師の手配や校内の受け入れ準備を進めます。

4訪問看護を含む体制づくり

情報提供やカンファレンスで関係者が役割を確認します。

5入学・通学の開始

整えた体制のもとで、安心して学校生活をスタートします。

訪問看護が学校生活でできること

訪問看護は、学校生活を支える心強い味方になります。学校でのケアの実施に加え、ご自宅での療養支援、関係者への情報提供、緊急時の備えなどを通じて、お子様の学びと暮らしを切れ目なく支えます。

一部の自治体では、訪問看護師が学校を訪問して医療的ケアを行う事業も始まっています。休み時間などを活用してケアを行い、お子様自身がケアを身につけられるよう技術指導を行う取り組みもあります(出典:郡山市 学校等医療的ケア児訪問看護支援事業)。年に数回、本人・保護者・学校・看護師で支援方針を確認する打ち合わせも行われます。

すえひろ訪問看護ステーションでは、お子様の支援を専門とするチームが、在宅での療養から学校との連携まで一貫して関わります。学校看護師や教職員への情報共有、主治医との橋渡し、ご家族の不安へのサポートなど、できることは多岐にわたります。

「うちの子は学校に通えないかもしれない」と諦めてしまう前に、まずはお話を聞かせてください。お子様の可能性を信じ、一緒に道を探させていただきます。

まとめ

医療的ケア児の就学は、2021年の医療的ケア児支援法により大きく前進しました。学校には看護師配置などの環境整備が責務となり、2024年時点で全国の学校に1万1千人を超えるお子様が通っています。保護者の付き添い負担も、看護職員の配置や訪問看護の活用によって減らせます。就学を成功させる鍵は、教育委員会・学校・主治医・訪問看護の早期からの連携です。

すえひろ訪問看護ステーションは、お子様の支援を専門に担うチームを置き、足立区教育委員会と連携しながら就学・通学を支えてまいりました。専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。

就学に不安を感じていらっしゃる方も、どうか一人で悩まないでください。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。お子様の可能性を信じ、一緒に考えさせていただきます。

よくある質問

Q. 医療的ケアが必要でも地域の普通学校に通えますか。

はい、通えるお子様は多くいらっしゃいます。2024年時点で普通学校に2,559人の医療的ケア児が在籍しています(出典:文部科学省 令和6年度実態調査)。お子様の状態や学校の体制によりますので、まずは教育委員会や訪問看護にご相談ください。

Q. 学校生活に毎日付き添わなければなりませんか。

必ずしもそうではありません。看護師の配置が進めば付き添いは軽減できます。国も「付き添いは真に必要な場合に限る」方針を示しています(出典:文部科学省)。付き添いの負担にお悩みの場合は、学校や教育委員会に体制の見直しを相談できます。

Q. 学校ではどんな医療的ケアを受けられますか。

たんの吸引、経管栄養、導尿、気管切開部の管理などが学校で行われています(出典:文部科学省 学校における医療的ケアについて)。看護師が主治医の指示書に基づいて実施し、研修を受けた教職員が担えるケアもあります。

Q. 就学の相談はいつ始めればよいですか。

就学の前年(年中の時期)から始めることが推奨されています。早めに教育委員会へ相談すると、看護師の手配や学校での準備を余裕をもって進められます。訪問看護を利用中の場合は、看護師にも相談しながら準備できます。

Q. 訪問看護は学校生活にどう関わってくれますか。

訪問看護は、在宅でのケアに加え、学校への情報提供やカンファレンス、必要に応じた同行訪問などで関わります。一部の自治体では学校を訪問してケアを行う事業もあります。すえひろではお子様の支援を専門とするチームが一貫して支えます。

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