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夏は皮膚トラブルが悪化しやすい:あせも・床ずれ・蒸れによる皮膚炎を在宅でどう防ぐ?訪問看護師が解説

「去年の夏、おむつまわりが真っ赤になってしまって、本人も辛そうで…」。こうしたお声を、毎年夏の訪問の現場でご家族からよくお聞きします。高温多湿の日本の夏は、寝たきりや低活動状態で在宅療養されている方にとって、皮膚トラブルが一気に増える季節です。

訪問看護師は、あせも・蒸れによる皮膚炎・床ずれ(褥瘡)といった複数の皮膚トラブルを、毎回の訪問のたびに注意深く観察し、予防ケアを行っています。すえひろ訪問看護ステーションでも、夏の皮膚ケアは特に力を入れている分野のひとつです。

この記事では、訪問看護師が夏の訪問で実際に見ているチェックポイントと、ご家族が毎日できる具体的なケアの方法をご紹介します。「今年こそ、早めに対策しておきたい」というご家族のお気持ちに、少しでも寄り添える内容になれば幸いです。

なぜ夏は皮膚トラブルが増えるの?在宅療養中の方特有の理由

在宅で療養する高齢者の方は、夏になると皮膚トラブルのリスクが特に高まります。その理由は、一般的な「暑さ」だけではなく、在宅療養ならではの複合的な要因が重なるからです。

加齢によって汗腺の機能が低下すると、体温が上がっても汗をうまくかけなくなります。体熱を逃がせないまま皮膚が蒸れた状態が続くと、あせもや皮膚炎が起きやすくなります。また、長時間同じ姿勢で過ごすことで、背中・お尻・かかとなどの骨が出た部分に圧力が集中し、褥瘡(床ずれ)のリスクも高まります。

おむつを使用している方は、尿や便の刺激が皮膚に直接触れる時間が長くなる夏は、皮膚のバリア機能が一層低下しやすい状態です。在宅療養中の高齢者の方の多くが、こうした複数の要因が同時に重なった環境に置かれているとされています。

夏の皮膚トラブルは「暑さの問題」ではなく、「体の変化と環境の組み合わせ」として理解することが、早期予防のカギになります。

「あせも」と「床ずれ初期」の見分け方と対処の違い

あせもと褥瘡(床ずれ)の初期はどちらも皮膚が赤くなるため、見分けに迷うことがあります。しかし対処の方法が異なるため、正しく見分けることが大切です。

あせも(汗疹)の特徴

あせもは、汗の通り道が詰まって汗が皮膚の外に出られなくなり炎症が起きた状態です。首・脇の下・ひじの内側・おむつ周囲など、蒸れやすい部位に多く現れます。皮膚科学的には3種類に分類され、最もよく見られるのが「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」です。1〜2mm程度の赤い小さなブツブツが集まり、強いかゆみを伴います。かき壊すと細菌感染に発展する可能性があるため、早めのケアが必要です。

褥瘡(床ずれ)初期の特徴

褥瘡の初期は、圧迫を受けた部位(骨の出ている箇所)に赤みが現れます。仙骨部・坐骨部・踵(かかと)・後頭部などが代表的な発生部位です。「指押し法」で確認できます。赤みが出た部分を指で3秒間押したとき、押した部分が白く変わればまだ褥瘡ではありません。白くならない場合は、褥瘡の可能性があります。

また、体位変換をして圧迫を解除したあと30分後に赤みが消えた場合も、褥瘡の前段階ではありません。赤みが残り続ける場合は、早めに訪問看護師や主治医にご相談ください。

対処の違い

あせもには皮膚を清潔に保つ・蒸れを解消することが基本です。褥瘡初期には体位変換で圧迫を除去することが最優先になります。同じ「赤い皮膚」でもケアの方向性が異なるため、判断に迷う場合はすぐに訪問看護師にご連絡ください。

おむつ・テープ・包帯まわりの「蒸れ皮膚炎」を防ぐケアのコツ

おむつまわりの皮膚炎は、夏に悪化しやすいトラブルの代表的なもののひとつです。原因は「蒸れ」「尿・便による刺激」「摩擦」の三つが重なることで起きます。

おむつ交換のポイント

排泄後はできるだけ早めに交換することが基本です。清拭する際はゴシゴシと擦らず、押さえるように優しく拭きます。おしりの水分が残っているうちに新しいおむつを当てると蒸れが生じやすいため、よく乾かしてから交換するようにします。おむつはサイズの合った通気性のよいものを選ぶことも、皮膚への負担軽減につながります。

保湿・保護剤の活用

皮膚が乾いた状態でワセリンや撥水性の高いバリアクリームを薄く塗ると、尿・便の刺激から皮膚を守る保護膜の役割を果たします。皮膚が荒れてきたと感じた場合は、亜鉛華軟膏なども有効です。ただし、市販品をあれこれ試すよりも、訪問看護師や主治医に相談して適切なものを選ぶことをおすすめします。

テープ・包帯まわりの注意点

テープや包帯を使用しているときも、夏は皮膚トラブルが起きやすいです。粘着力の強いテープを直接皮膚に貼ると、剥がすときに皮膚が裂ける「スキン・テア(皮膚裂傷)」が起こることがあります。医療用テープを使う場合は、不織布を一巻きしてからその上にテープを固定したり、包帯やネット包帯で固定するなどの工夫が有効です。訪問看護師に固定方法を確認されることをおすすめします。

訪問看護師が行う夏の皮膚ケア:何をチェックして何をしているか

訪問看護師は毎回の訪問時に、全身の皮膚状態を系統的に観察しています。夏の訪問では、特に以下のポイントに注意しながら確認を行っています。

訪問時の皮膚アセスメント

まず全身の皮膚色・乾燥・浮腫の有無を確認します。次に、褥瘡好発部位(仙骨・坐骨・踵・後頭部)を中心に発赤・びらん・潰瘍の有無を確認します。続いて、おむつ内・腹部・腋窩(わきの下)・頸部(首のまわり)などの蒸れやすい部位のあせもや皮膚炎の有無を確認します。最後に、テープや包帯の当たっている部分の皮膚状態を確認します。

訪問時に行うケア内容

清拭や入浴介助のなかで皮膚を清潔に整えながら、保湿剤の塗布を行います。体位変換やポジショニングの指導・実施も訪問看護師の重要な役割です。皮膚トラブルが確認された場合は、処置の実施と主治医への報告・相談を行います。必要に応じて、使用中の医療材料(テープ・包帯の種類など)の見直しも提案します。

訪問と訪問の間にもご家族が適切に対応できるよう、具体的なケア方法をご説明することも大切にしています。「制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください」という姿勢で、ご家族と一緒に在宅での皮膚ケアを考えていきたいと思っています。

家族が毎日できる「皮膚の観察ポイント」5つ

在宅での皮膚ケアは、訪問看護師だけで完結するものではありません。毎日そばにいるご家族が気づいて早めに対応できることが、悪化を防ぐうえで非常に大切です。難しいことではなく、毎日のケアのなかで「5つのポイント」に注目していただくだけで十分です。

1. 赤みはないか

骨が出ている部位(お尻・踵・後頭部)や、蒸れやすい部位(おむつ周囲・首・わきの下)に赤みがないかを確認します。新しい赤みを発見したら、指押し法で確認するか、訪問看護師に写真を送ってご相談ください。

2. かゆそうな様子はないか

本人がかゆそうにしている、手が特定の部位に向かう、ベッドや衣類に擦りつけているような様子はないか観察します。かゆみは皮膚炎やあせもの初期サインです。

3. 皮膚が湿っていないか・乾きすぎていないか

触れたときに湿っている・ベタついていると感じる場合は蒸れのサインです。反対に、皮膚が白く粉をふいたようになっている場合は乾燥しすぎているサインです。

4. 皮膚の傷・めくれがないか

高齢の方の皮膚は非常に薄く、少しの摩擦でも傷がつくことがあります。テープを剥がしたあと・衣類の着脱時などに、表皮がめくれていないか確認します。

5. 排泄後の早めの交換ができているか

おむつ内が長時間濡れた状態になっていないか確認します。夏は特に蒸れやすく、排泄後の素早い交換が皮膚を守る最も基本的なケアです。

この5つのポイントで気になることがあれば、訪問看護師にご相談ください。「専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます」。

まとめ:夏の皮膚トラブルは「気づき」と「早めの相談」で防げます

夏の高温多湿の環境は、在宅療養中の方の皮膚に複数のダメージを同時に与えます。あせも・蒸れによる皮膚炎・褥瘡初期は、いずれも早期発見と適切なケアによって悪化を食い止めることができます。

すえひろ訪問看護ステーションでは、訪問のたびに皮膚の状態を丁寧に確認しながら、ご家族と一緒に在宅でのスキンケアを考えています。「少し赤いかも」「去年と皮膚の状態が違う気がする」という小さな気づきも、ぜひ遠慮なくお声がけください。一緒に考えさせてください。

まだ皮膚トラブルが起きていないこの時期からの予防が、本人の苦痛を減らし、ご家族の不安を和らげる一番の対策です。制度や費用のことも含め、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. あせもと褥瘡、どちらの疑いがあるとき先に訪問看護師に連絡すればいいですか?

A. どちらの疑いでも、まずご連絡ください。写真を送っていただければ、訪問前に初期判断をお伝えすることも可能です。特に褥瘡は早期対応が重要なため、「赤みが30分たっても消えない」「指で押しても白くならない」という場合は優先的にご連絡ください。

Q. 市販のあせも薬を使っても問題ないですか?

A. 軽度の水晶様汗疹(透明な小さな水疱)であれば清潔と涼しい環境を整えることで自然に軽快することが多いです。赤みやかゆみが強い場合や、おむつ周囲など排泄が絡む部位は、市販薬の使用前に訪問看護師や主治医に相談されることをおすすめします。

Q. 夏はエアコンをつけておいたほうが皮膚にはよいですか?

A. 適切な室温管理(目安は26〜28℃)は皮膚トラブルの予防に有効です。ただし、エアコンによる乾燥も皮膚バリアを低下させる原因になります。除湿運転と適度な保湿を組み合わせることが理想的です。

Q. 訪問看護師が来ない日に皮膚が悪化した場合、どうすればよいですか?

A. 変化に気づいたタイミングで訪問看護ステーションにご連絡ください。状況によって緊急訪問の対応を検討します。皮膚の状態を写真に撮っておいていただけると、電話での判断がスムーズになります。

Q. 保湿剤はどこで手に入れればよいですか?

A. 市販のローションや乳液でも基本的には使用できますが、在宅療養中の方は皮膚の状態に合わせた製品を使うことが大切です。訪問看護師や主治医に相談いただければ、状態に合った保湿剤を提案します。処方で対応できる場合もあります。

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