「加算は6月から算定しているけれど、WEB掲載の経過措置って何をすればいいの?」——そんな声を、管理者や事務担当者の方からよく聞きます。2026年6月に新設された「訪問看護医療情報連携加算(いりょうじょうほうれんけいかさん)」には、ウェブサイトへの情報掲載を2026年9月30日まで猶予する「経過措置」が設けられています。
経過措置の期限はあと数か月です。「知らなかった」では済まない、算定継続に直結する要件です。すえひろ訪問看護ステーションでは、現場の実務に精通した立場から、この記事で「今すぐ動くべきこと」を手順ごとに整理しました。加算の仕組みから掲載方法、期限を過ぎた場合のリスクまで、管理者が知るべき情報をお伝えします。
目次
「訪問看護医療情報連携加算」算定の条件:WEB掲載が必要な理由
訪問看護医療情報連携加算を算定するには、4つの施設基準をすべて満たす必要があります。この加算は月1回・1,000円を所定額に加算できる新設項目で、ICTを活用して診療情報を関係機関と連携し、計画的なケア管理を行う体制を評価するものです(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 訪問看護ステーション向け資料)。
4つの施設基準のうち、特に見落とされやすいのが「ウェブサイトへの掲載」です。具体的には、ICT医療情報連携体制を構築している訪問看護ステーションであることを、ステーション内の見やすい場所に掲示し、かつ原則としてウェブサイトにも掲載することが求められています。「院内掲示はしたけれどサイトへの掲載は後回し」という状態では、施設基準を満たしているとは言えません。
ウェブサイト掲載が要件に含まれる背景には、利用者様やご家族が事業所を選ぶ際にデジタルで情報を確認できる環境を整えるという国の方針があります。 加算の算定可否だけでなく、情報公開の姿勢そのものが問われていると理解してください。
★ 経過措置:2026年9月30日まで猶予
経過措置とは何か:9月30日までに何をすればいいか
経過措置とは、新しい制度への移行を円滑にするために設けられた「準備期間」です。訪問看護医療情報連携加算では、2026年9月30日までの間、ウェブサイトへの掲載がなくても施設基準を満たしているものとして取り扱われます(出典:厚生労働省 令和8年3月 診療報酬改定関連通知・事務連絡)。
つまり、6月から加算を算定し始めた事業所でも、今すぐウェブサイトに掲載しなければ加算が取り消されるわけではありません。ただし、10月1日以降は経過措置が終了します。その時点でウェブサイトへの掲載が完了していなければ、施設基準を満たさないとみなされ、加算の算定ができなくなります。
管理者が9月30日までにやるべきことは、大きく3つです。
まず「自ステーションのサイトへの掲載文を作成する」こと。次に「掲載するプラットフォームを確定させる」こと。そして「掲載後に掲載URLを記録・保管する」ことです。これらを計画的に進めることが、算定継続の最低条件です。制度上難しいと思われることでも、まずは管轄の地方厚生局に相談することをお勧めします。
掲載がなくても
施設基準を
満たしていると
みなされる
施設基準を満たさず
加算の算定不可
指導・返還リスクあり
WEBに掲載すべき情報の具体的な内容と書き方
掲載すべき内容は、「ICT医療情報連携体制を構築している訪問看護ステーションである旨」を示す情報です。厚生労働省は「掲示事項をウェブサイトに掲載」と定めており、院内に掲示している内容と同等の情報をサイトに掲載することが基本の方針とされています(出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 施設基準関連通知)。
掲載文のポイントは3つあります。加算名を明示すること、ICT連携体制を整備している旨を示すこと、そして関係機関と平時から連携していることを記すことです。例えば「当ステーションは、訪問看護医療情報連携加算の施設基準を満たし、ICTを活用した医療情報連携体制を構築しています」という一文が核心となります。
文章が長くなりすぎる必要はありません。利用者様やご家族にとって読みやすく、かつ要件を満たす情報が掲載されていれば十分です。「加算の算定を行っている」という事実そのものを開示することが、透明性の観点でも重要です。掲載文の具体的な文言については、管轄の地方厚生局へ確認することをお勧めします。
掲載場所の選択肢:自社サイト・介護サービス情報公表システムなど
ウェブサイトへの掲載場所は、主に2つの選択肢があります。
①自社(自ステーション)のウェブサイトが最も確実な選択肢です。自分たちで管理できるため、掲載・更新のタイミングを自由に決められます。すでに自社サイトをお持ちの場合は、「加算・体制」に関するページや「ご利用案内」ページに追記するのが自然です。
②介護サービス情報公表システム(厚生労働省運営、kaigokensaku.mhlw.go.jp)は、自社サイトを持たない事業所が活用できる公的なプラットフォームです。ただし、同システムへの掲載が訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト要件として認められるかどうかは、管轄の地方厚生局に確認することをお勧めします(※要確認)。他の診療報酬加算では公表システムへの掲載が代替手段として認められた例がありますが、本加算への適用については公式の明確な見解を確認してください。
自社サイトを持っていない、あるいは更新作業が難しいという場合でも、制度上対応できる方法を一緒に考えることができます。まずは専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。
| 比較項目 | 自社(自ステーション) ウェブサイト |
介護サービス 情報公表システム |
|---|---|---|
| 管理のしやすさ | ◎自由にいつでも更新可能 | △都道府県への申請が必要な場合あり |
| コスト | サイト維持費が必要(既存サイトなら追加コストなし) | ◎無料 |
| 要件適用の確実性 | ◎最も確実(「自ら管理するウェブサイト」に該当) | 要確認管轄厚生局への確認が必要 |
| 自社サイトがない場合 | 新規作成が必要(WordPressなど低コストで構築可) | ◎サイトなしでも利用可 |
※介護サービス情報公表システムが要件を満たすかは管轄の地方厚生局にご確認ください
期限を過ぎると何が起きる?算定取り消しのリスクと対処法
2026年10月1日以降、ウェブサイトへの掲載が完了していない状態で訪問看護医療情報連携加算を算定し続けると、施設基準を満たさないとみなされます。各地方厚生局の通知では、施設基準を満たさない状態での算定は不正行為として取り扱われる可能性があるとされており、指導や監査の対象となり返還を求められるリスクがあります(出典:各地方厚生局「保険医療機関等において不正請求等が行われた場合の取扱いについて」)。
特に注意が必要なのは、「算定していた事実」は診療報酬請求データとして記録されているという点です。後から遡って問題が発覚した場合、加算分の返還だけでなく、指導・監査という形で事業所全体に影響が及ぶことがあります。早めに対処することが、事業所を守ることにつながります。
もし期限が迫っていることに今気づいた場合でも、あきらめる必要はありません。まずウェブサイトへの掲載を完了させることが最優先です。掲載が完了した時点から、以降の算定は適法となります。過去の算定について不安がある場合は、管轄の地方厚生局に相談することをお勧めします。
WEB掲載の手順まとめ(Todoリスト)
掲載内容(文章)を作成する→掲載先(自社サイト or 情報公表システム)を確定する→担当者を決め更新を依頼または実施する→掲載完了後にURLをスクリーンショットで記録・保管する→地方厚生局への届出書類に掲載URLを記載する(必要に応じて)。
まとめ:9月30日までに「掲載完了」を目指して
訪問看護医療情報連携加算のWEB掲載要件は、加算算定を続けるための必須条件です。2026年9月30日までの経過措置が終了する前に、掲載内容を作成し、ウェブサイトへの公開を完了させてください。
すえひろ訪問看護ステーションでは、制度の変化に対して現場の実情に即した形で丁寧に対応してきました。「WEBのことはよくわからない」「何を書けばいいかわからない」という管理者の方も、一緒に考えさせてください。制度上難しいと思われることでも、まずはご相談ください。
期限まであとわずかです。今日から準備を始めることが、利用者様への継続的なケアを守ることにもつながります。
よくある質問(FAQ)
Q. 自社サイトを持っていないステーションは、どうすれば要件を満たせますか?
A. 介護サービス情報公表システムへの掲載が代替手段として検討されますが、要件を満たすかどうかは管轄の地方厚生局に確認することをお勧めします。確認の際は「訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト掲載要件について」と明示して問い合わせると、回答を得やすいです。
Q. 経過措置期間中に加算を算定していなかった場合、10月から算定を始めてもよいですか?
A. 施設基準(ICT連携体制の整備・院内掲示・ウェブサイト掲載)を満たし、地方厚生局への届出を完了していれば算定可能です。10月1日以降に算定を開始する場合は、その前にウェブサイト掲載を完了させておく必要があります。
Q. 掲載する文章に正式なフォーマットはありますか?
A. 厚生労働省から標準様式は現時点では公示されていません(※要確認)。院内に掲示している内容と同等の情報をウェブサイトに掲載することが基本です。文言については管轄の地方厚生局に確認されることをお勧めします。
Q. ウェブサイト掲載後に変更や更新が必要な場合はありますか?
A. 掲載した内容に変更が生じた場合(例:連携体制の変更)は、速やかに更新する必要があります。定期的に内容を確認し、最新の状態を保つことが望まれます。
Q. 在宅患者連携指導加算をすでに算定している場合、訪問看護医療情報連携加算も算定できますか?
A. 在宅患者連携指導加算または在宅医療情報連携加算を算定している利用者様については、訪問看護医療情報連携加算との重複算定はできません。算定対象となる利用者様を事前に整理してください。
お問い合わせ・ご相談
すえひろ訪問看護ステーションでは、訪問看護の制度や加算に関するご相談をお受けしています。「どう対応すればいいかわからない」という管理者・担当者の方も、まずはお気軽にご連絡ください。専門職として責任を持って、誠実に向き合わせていただきます。

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