先日開催した「目からウロコシリーズ」第2弾のイベントレポートをお届けします。今回は「エンゼルケア」をテーマに、地域の訪問看護ステーションの仲間たちと一緒に学び、感動した時間を共有したいと思います。

イベントの概要
私たち訪問看護師が日々実践している「エンゼルケア」。患者さんの最期を美しく整える大切なケアですが、実は今、その考え方が大きく変わりつつあることをご存知でしょうか?
今回は、なんと1,000件以上のお看取りを経験されている山本美華さんをお招きし、新しいエンゼルケアの考え方について学びました。会場には足立区内の様々な訪問看護ステーションから約40名の看護師が集まり、熱心に耳を傾けていました。

目からウロコの新しい知識
これまで当たり前と思っていたエンゼルケアの方法が、実は大きく変わっていることに私自身、カルチャーショックを受けました!
以前は「体の中の老廃物を外に出すためのケア」や「漏れ出てこないように詰め物をする」といった処置が一般的でした。しかし今は、故人の体をありのままに尊重し、無理なケアはせず、詰め物もしないという考え方に変わっているのです。
参加された皆さんも「今までと全く違う発想で驚いた」「目からウロコが落ちた」という感想を口々に話されていました。
大切なのは家族との時間
新しいエンゼルケアの考え方では、複雑な処置にかける時間を短縮し、その分をご家族との関わりの時間に充てることを大切にしています。
「どのような人生を歩んできたのか」 「どんな思い出があるのか」 「何が辛かったのか、何が楽しかったのか」
そういった故人とご家族の物語に耳を傾け、共有する時間を作ることで、お別れの場がより温かいものになっていくのだと実感しました。
訪問看護師としての誇り
講師の山本さんのお話を聞きながら、私たち訪問看護師の仕事の尊さを改めて感じました。人生の最期に立ち会い、その貴重な時間に寄り添える経験は、決して当たり前ではありません。
「私たちも確かにそうやって多くの方々のお見送りをしてきたな」 「患者さんとそのご家族の人生に、少しだけ関わらせていただいているんだな」
そんな思いを参加者同士で共有する時間は、「訪問看護師っていいな」と、私たちの仕事の誇りを再確認する貴重な機会となりました。
知識の共有が私たちの力に
すえひろ訪問看護ステーションでは、この「目からウロコシリーズ」を大切にしています。各事業所には限られた人数の看護師しかいないため、知識や経験も限られてしまいます。でも、それぞれの分野のスペシャリストから学ぶことで、私たちのケアの質を高めることができるのです。
第1弾では「皮膚排泄ケア認定看護師」をお招きし、専門的な知識を学びました。参加者からは「すごく勉強になりました」「みんな同じように悩んでいるんですね」という声が聞かれ、事業所の垣根を越えた一体感も生まれています。
今後の展望
「目からウロコシリーズ」は約3ヶ月おきの開催を予定しています。次回は6月頃、がん患者さんの痛みコントロールをテーマに企画中です。
訪問看護の現場では、がん患者さんの痛みを和らげるケアに高度な知識が必要とされますが、専門家が少ないのが現状。そこで、スペシャリストをお招きして、私たちが日頃困っていることを相談し、知識を共有する場を作りたいと考えています。
また、看護師だけでなく、ケアマネージャーさんやヘルパーさんなど、多職種を対象にした勉強会も開催してきました。特に認知症ケアについては多くの方に参加いただき、好評をいただいています。
おわりに
訪問看護の仕事は、一人ひとりの人生に寄り添う尊い仕事です。でも同時に、日々の実践の中で多くの悩みや葛藤もあります。
「どうしたら一番いいケアができるのか」 「利用者さんにとって何が最善なのか」
そんな思いは、どの事業所でも同じはず。すえひろ訪問看護ステーションは、これからも地域の訪問看護師が集い、学び合える場を提供していきたいと思っています。
次回の「目からウロコシリーズ」もぜひご参加ください。そして、この温かい学びの輪が、足立区全体のケアの質の向上につながることを願っています。
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