「最近、お父さんの足がパンパンで靴が履けなくなってきた」——そのお悩み、実は訪問看護師が自宅に来てケアできることをご存知でしょうか。高齢者の足のむくみ(浮腫)は放置すると心不全や腎不全などの重大な病気のサインである場合もあります。病院に連れて行くのが難しい状況でも、看護師が自宅を訪問して観察・アセスメント・ケアを行う「訪問看護」という選択肢があります。この記事では、むくみの危険なサインの見分け方から、訪問看護師が在宅でできることまで、ご家族が今すぐ役立てられる情報をお届けします。

目次
高齢者の足のむくみ、放置するとどうなる?
足のむくみ(浮腫:ふしゅ)とは、皮膚の下に水分が過剰にたまった状態のことです。足を指で押してもすぐに戻らない、靴がきつく感じる、夕方になると足が重いといった症状が典型的です。
内閣府「令和7年版高齢社会白書(2025年)」によると、2024年10月時点で65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は29.3%に達しており、超高齢社会が進む日本では足のむくみを訴えるご高齢の方が増加し続けています。メディカルノートが報告しているように、高齢者に多い「慢性下肢浮腫(まんせいかしふしゅ)」は、日中の不活動や長時間の同じ姿勢によって生じるもので、加齢に伴い筋力が低下すると血液を心臓へ戻すポンプ機能が衰えることが主な原因とされています。
むくみが「危険なサイン」になる場合
足のむくみがすべて危険というわけではありませんが、以下の状態は見逃してはいけません。
緊急性が高いサインの例
メディカルノートの専門家解説によると、心不全や腎不全、深部静脈血栓症などはいずれも命に関わる病気であり、足のむくみはそのサインであることがあります。
放置すると起こる悪化のリスク
「ただのむくみ」と軽視されがちですが、重症化すると足が重くなったり痛みが生じたりして、自力で歩くことが困難になります。運動機能が低下すると、寝たきりや転倒リスクの上昇につながりかねません。
むくみは痛みがないまま悪化していくため、ご本人も周囲の家族も気づきにくく、重症化して初めて受診するケースも少なくありません。
- 夕方になると足がむくむ
- 靴がきつく感じる
- 指で押しても戻りにくい
- 足の重だるさ
- 常時むくみが続く
- 足が重く歩くのがつらい
- 皮膚がつっぱる感覚
- 関節の動きが悪くなる
- 皮膚の変色・硬化
- 皮膚潰瘍・傷が治らない
- 自力歩行が困難
- 感染症(蜂窩織炎)を発症
病院に連れて行けない状況で家族ができること・できないこと
「病院に連れて行きたいけれど、外出が難しくて……」というご家族の声をよく伺います。外出困難な状況でも、ご家族としてできることはあります。ただ、できることとできないことを正直に把握しておくことが大切です。
ご家族が自宅でできること
毎日の観察と記録が、とても重要な意味を持ちます。以下の点を記録しておくと、看護師や医師への情報提供がスムーズになります。
※体重増加の目安は、日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン(2017年改訂版)に基づく一般的な基準です。持病のある方は必ずかかりつけ医の指示に従ってください。
ご家族だけでは判断が難しいこと
むくみの原因が「疲れや姿勢」によるものなのか、「心臓・腎臓・肝臓などの病気」によるものなのかは、家族だけでは判断できません。見た目や触り方では区別がつかないことも多く、自己判断でマッサージをしたり、水分摂取を極端に制限したりすることが、かえって状態を悪化させることもあります。
「何かできることをしたい」というお気持ちはとても大切です。ただ、医療的な判断と処置は、専門職に任せることが安全です。
訪問看護師が自宅で行うむくみのアセスメントとケア
訪問看護とは、医師の交付する指示書に基づき、看護師がご自宅を訪問して医療的なケアと生活支援を行うサービスです。訪問看護師が自宅を訪問することで、病院に行けない状況でも専門的な観察・判断・ケアを受けることができます。訪問看護師によるむくみの在宅ケアは、原因の特定と適切な対処が核心です。
訪問時に行うアセスメント(観察・評価)
訪問看護師はご自宅で以下の内容を確認します。
身体的な観察
生活状況の確認
こうした情報を総合的に判断し、主治医への報告・連絡・相談を行いながら、適切なケアプランを立案します。
訪問看護師が在宅で行えるケア
医師の指示のもと、以下のようなケアが提供できます。
直接的なケア
生活指導とご家族支援
「何かあったときに相談できる専門家がいる」という安心感は、ご利用者様とご家族の双方にとって大きな支えになります。
- 看護師がご自宅を訪問します
- 医師の指示書に基づいてケアを行います
- バイタルサイン測定(体温・血圧・脈拍・血中酸素)
- 足の色・皮膚の状態・温度・むくみの左右差
- 圧痕(指で押したへこみ)の程度と回復時間
- 全身のむくみの有無(顔・腹部など)
- 食事内容(塩分摂取量)
- 水分摂取量と排尿の状況
- 日中の活動量と姿勢のくせ
- 服用している薬(副作用確認)
- アセスメント結果を総合的に判断し報告
- 適切なケアプランを主治医と連携して立案
- 足の状態の定期的な観察・記録・報告
- 弾性包帯・着圧ストッキングによる圧迫療法のサポート
- 皮膚の清潔保持(むくんだ皮膚は傷つきやすいため注意)
- 体位の工夫(足を心臓より高く保つポジショニング)
- 塩分制限・水分管理のわかりやすい説明
- ご家族への日常観察ポイントの指導
- 安全なセルフケア(足の運動・マッサージ)の指導
- 状態悪化時の受診タイミングのお伝え
※ 訪問看護は医師の交付する指示書に基づいて行われます。すべてのケアは主治医との連携のもとで提供されます。
むくみの「どこまでが様子見でいいか」の目安
「この程度なら様子を見ていい?」「今すぐ受診すべき?」——この判断に迷われるご家族はとても多いです。以下の目安を参考にしてください。
様子を見てもよい可能性が高いむくみのサイン
医療専門職への相談が必要なむくみのサイン
重要なポイント: むくみが「様子見でいいかどうか」の判断は、素人目ではとても難しいものです。少しでも不安を感じたときは、迷わず訪問看護師や医師に相談することをおすすめします。「こんなことで相談していいのかな」とためらう必要はありません。
以下は、すえひろ訪問看護ステーションにご相談いただいた際の観点をまとめたチェックリストです。一つでも当てはまるものがあれば、まずご相談ください。
ご相談の目安チェックリスト
- 夕方に出て、翌朝には改善している
- 両足に均等に出ている
- 息切れ・全身のだるさなど他の症状がない
- 塩分過多・長時間同じ姿勢など生活習慣に心当たりがある
- むくみが数日間続いている、または悪化している
- 急に片足だけが腫れてきた
- 押してへこんだ跡がなかなか戻らない
- 息苦しさや急激な体重増加(2~3日で2kg以上)を伴っている
- 皮膚が赤く熱を持っている、または傷ができている
- 「何か様子がおかしい」とご家族が感じる
判断が難しいと感じたときは、迷わず訪問看護師や医師にご相談ください。「こんなことで…」とためらう必要はありません。
まず電話1本で相談できる窓口とは
「訪問看護ってどうやって頼むの?」「うちの親は使えるの?」と疑問に思われる方も多くいらっしゃいます。訪問看護は、医師の指示書があれば介護保険または医療保険で利用でき、思っているよりもずっと幅広い方が対象です。
訪問看護を利用するまでの大まかな流れ
- まず、かかりつけ医またはケアマネジャーに「訪問看護を利用したい」と伝える
- 医師が「訪問看護指示書」を発行する
- 訪問看護ステーションと契約し、訪問スケジュールを決める
- 看護師が自宅に来て、ケアが始まる
「かかりつけ医がいない」「ケアマネジャーがついていない」という場合でも、まずは訪問看護ステーションに直接お問い合わせいただくことで、手続きの流れをご説明できます。
訪問看護で受けられるケアの対象は幅広い
「訪問看護は、重度の病気の人が使うものでしょ?」と思われている方も少なくありません。しかし実際には、足のむくみの観察・管理・ご家族への指導といった「医療的なサポートが少し必要」な状態の方も、訪問看護の対象となります。
一般社団法人全国訪問看護事業協会の2024年度調査によると、2024年4月時点で全国の訪問看護ステーション稼働数は17,329カ所に上り、地域の身近な医療インフラとして機能しています。
「うちの親は使えるのかな」と感じたら、まず一本電話でご相談ください。私たちすえひろ訪問看護ステーションは、制度上難しいと思われるご相談でも、一緒に可能性を探っていきます。利用者様お一人おひとりにとって、何ができるかを本気で考えることが、私たちの姿勢です。
まとめ
高齢者の足のむくみは、生活習慣によるものから心不全・腎不全などの重大疾患のサインまで、原因はさまざまです。「ただのむくみ」と放置せず、異変に気づいたら早めに専門職に相談することが、状態の悪化を防ぐ最大の予防策です。
病院に連れて行けない状況でも、訪問看護師が自宅に来て、むくみの観察・アセスメント・ケア・ご家族への指導を行うことができます。重症化する前に、電話一本でまずご相談ください。
私たちすえひろ訪問看護ステーションは、利用者様が安心して自宅で療養できるよう、専門職として誠実に向き合います。「こんなことで相談してもいいのか」と迷われることでも、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
よくある質問
Q. 訪問看護師は、足のむくみだけで来てもらえるのですか?
A. はい、医師の指示書があれば、足のむくみの観察・ケア・ご家族への指導を目的とした訪問看護を利用できます。重度の病気でないと使えないというわけではなく、「医療的なサポートが少し必要な状態」の方が幅広く対象になります。まずはかかりつけ医かケアマネジャー、または訪問看護ステーションに直接ご相談ください。
Q. むくみがひどいけれど病院に連れて行けない場合、どうすればいいですか?
A. 訪問看護師が自宅に来て、むくみの状態を確認・記録し、主治医への報告・連絡・相談を行います。受診が必要かどうかの判断を一緒に考えるサポートも、訪問看護師の大切な役割のひとつです。まず訪問看護ステーションに電話でお問い合わせいただくと、具体的な流れをご説明できます。
Q. 親のむくみが「様子見でいいか受診すべきか」迷っています。どう判断すればいいですか?
A. 息苦しさを伴う場合、急に片足だけがはれた場合、2〜3日以内に2kg以上の体重増加がある場合、1週間以上むくみが続く場合は、早めに専門職に相談することをおすすめします。「何かおかしい」という感覚は大切にしてください。判断に迷ったときこそ、訪問看護師にご連絡ください。一緒に判断を考えるお手伝いができます。
Q. 訪問看護は保険が使えますか?費用はどのくらいかかりますか?
A. 医師の指示書があれば、介護保険または医療保険の適用を受けられます。自己負担額はご利用者様の保険の種類や負担割合によって異なります。詳細はかかりつけ医・ケアマネジャー、またはすえひろ訪問看護ステーションへお気軽にお問い合わせください。
Q. 訪問看護のほかに、在宅でむくみに対してできることはありますか?
A. ご家族ができることとして、毎日の観察・記録(むくみの程度・体重変化・他の症状の有無)があります。ただし、自己判断でのマッサージや水分・塩分の極端な制限は、状態を悪化させることがあるため注意が必要です。適切な生活指導は訪問看護師がご自宅でお伝えしますので、まずはご相談ください。
【参考資料・相談窓口】
医療・介護に関する公的情報
すえひろ訪問看護ステーションへのご相談
- TEL: 03-5888-6375
- 受付時間: 平日8:30〜17:30
- 「こんなことで相談していいのかな」という内容でも、どうぞお気軽にご連絡ください。一緒に可能性を探っていきます。

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