訪問看護はアナログで、ITには疎くても大丈夫?病院勤務から転職を考えたとき、そんな疑問を持つ看護師の方は少なくありません。結論からお伝えすると、訪問看護の現場はすでにICT(情報通信技術)が標準装備になっています。タブレット・スマホで記録を入力し、医師やケアマネジャーとリアルタイムで情報共有する体制が整ったステーションが全国的に増えています。この記事では、2026年時点の記録業務の実情から、よく使われるツール、多職種連携の方法、そしてすえひろ訪問看護ステーションが実際に導入しているツールまで、現場目線でお伝えします。
目次
訪問看護の記録業務、今はどうなっている?
紙からデジタルへ、移行が加速中
訪問看護の記録業務は、以前は紙の「看護記録書Ⅱ」への手書きが中心でした。訪問のたびにバイタル・観察内容・実施ケアを書き込み、ステーションに戻って転記する、という流れが当たり前でした。
現在は、クラウド型の電子カルテをタブレットやスマートフォンで操作するスタイルが主流になっています。利用者様のお宅でその場入力ができるため、転記ミスが減り、記録の時間も大幅に短縮されています。
厚生労働省は2019年からICT導入支援事業を継続実施しており、2024年度の診療報酬改定では「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設されました。在宅医療DXは政策的に強力に推進されており、2026年度もICT活用の拡充が続いています。
DX推進の背景:厚生労働省は2019年よりICT導入支援事業を継続実施。2024年度の診療報酬改定では「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設され、在宅医療のデジタル化が政策的に推進されています。
直行直帰できる働き方が広がっている
電子カルテのクラウド化によって、スタッフが毎回ステーションに立ち寄る必要がなくなりつつあります。自宅から最初の利用者様宅へ直行し、最後の訪問が終わったら直帰する「直行直帰」スタイルが可能になっています。
スケジュールの確認も、シフトの調整も、スマートフォン1台で済みます。子育てや介護と仕事を両立したいスタッフにとって、この柔軟な働き方は大きなメリットです。
病院勤務と比べると、訪問看護のICT環境は「意外と整っている」と感じる方が多いです。
よく使われるICTツール・アプリ一覧(2026年版)
訪問看護専用の電子カルテ・業務管理システム
訪問看護の現場でよく導入されている主なシステムを整理します。
iBow(アイボウ) / 株式会社eWeLL 全国3,300ステーション以上で導入実績がある、訪問看護に特化したクラウド型電子カルテです(2024年12月時点)。iPadでの操作を前提に設計されており、看護記録・計画書・報告書をまとめて管理できます。AIを活用した計画書の自動作成機能もあり、計画書作成時間を約80%削減できると公表されています。
カイポケ訪問看護 / 株式会社エス・エム・エス 2025年1月時点で全国6,000以上の事業所が導入する訪問看護ソフトです。記録・スケジュール・請求がワンストップで管理でき、月額定額制のため規模を問わず導入しやすいことが特徴です。
このほかにも、ワイズマンの「訪問看護ステーション管理システムSP」やホームケアの「訪問看護アセスメント支援システム」など、各ステーションのニーズに合ったシステムが選択されています。
| 比較項目 | iBow 株式会社eWeLL |
カイポケ訪問看護 株式会社エス・エム・エス |
ワイズマンSP 株式会社ワイズマン |
|---|---|---|---|
| サービスの特徴 | 訪問看護に完全特化したクラウド型電子カルテ。iPadでの操作を前提に設計 | 記録・スケジュール・請求・経営支援をオールインワンで提供するクラウドサービス | 訪問看護ステーション向け総合管理システム。大規模事業所や医療法人での導入実績が豊富 |
| 導入実績 | 約2,900ステーション (2024年9月末時点) |
6,000事業所以上 (2025年1月時点) |
非公表 (医療法人・大規模法人に多い) |
| 主な機能 | 看護記録・計画書・報告書・レセプト・AIによる計画書自動作成 | 電子カルテ・レセプト・シフト管理・給与計算・経営分析など40以上の機能 | 看護記録・計画書・実績管理・レセプト・多機能な帳票出力 |
| 料金体系 | 基本料18,000円+訪問回数×100円/月 (規模に応じて変動) |
月額25,000円(税別)の定額制 (訪問件数・職員数が増えても料金一定) |
要問合せ (規模・導入形態により異なる) |
| 向いている事業所 | 訪問看護専業・タブレット運用を重視したいステーション | 小規模〜中規模・コスト重視・新規開業のステーション | 大規模・医療法人・複数事業所を一元管理したいステーション |
※ 各システムの料金・機能は2025年時点の公式情報をもとに作成しています。詳細や最新情報は各社公式サイトでご確認ください。このほかにもホームケア社の「訪問看護アセスメント支援システム」など、ステーションのニーズに合わせたシステムが選択されています。
スマホ・タブレット活用の実際
電動自転車での訪問が多い訪問看護では、軽量で持ち運びやすいタブレット(iPadやAndroid系)を活用するステーションが増えています。
利用者様のバイタルをその場で入力し、写真を添付して記録を残すことができます。皮膚の状態や傷口の変化などを写真で記録しておくことで、チームで状態の変化を共有しやすくなります。
音声入力機能や予測変換機能を使えば、記録の入力速度も上がります。タイピングが苦手な方でも、慣れれば手書きより早く記録を終わらせられるケースが多いです。
医師・ケアマネとの情報共有はどうやるの?
多職種連携ツール「MCS」が全国に広がる
在宅医療の多職種連携を支えるツールとして、MCS(メディカルケアステーション) が全国的に普及しています。エンブレース株式会社が提供する医療介護専用の非公開型SNSで、医師・訪問看護師・ケアマネジャー・薬剤師・ヘルパーなどが利用者様ごとのグループに参加し、タイムライン形式で情報を共有できます。
MCSの大きな特徴は、完全非公開型であることと、基本機能が無料で使えることです。写真や動画もグループ内で共有できるため、利用者様の皮膚の状態や動作の様子を関係者全員でリアルタイムに確認し合えます。
従来の電話やFAXでは、緊急性の高いケース以外は夜間や土日の情報がタイムリーに届かないことが多くありました。MCSを活用することで、こうした連絡のタイムラグを大幅に減らすことができています。
看護師
全員に共有
MCS(メディカルケアステーション)は、エンブレース株式会社が提供する医療介護専用の非公開SNSです。利用者様ごとにグループを作成し、写真・動画・テキストでのタイムライン情報共有が可能。電話やFAXに比べ、夜間・土日の連絡タイムラグを大幅に削減できます。
厚生労働省が定めた情報連携の標準化
厚生労働省は2025年2月、訪問看護ステーション・かかりつけ医・ケアマネジャーが電子的に情報連携するための「訪問看護計画等情報連携標準仕様」を策定しました。
この標準仕様に基づいて、訪問看護計画書・報告書・記録書といった書類を電子データとして医師やケアマネジャーと共有する仕組みの整備が全国的に進んでいます。在宅医療DXの政策的な後押しがあり、2026年度以降もこの連携の輪がさらに広がる見込みです。
訪問看護師は、医師とケアマネジャーをつなぐ中継点として重要な役割を担っています。ICTツールを活用することで、その連携の質と速度を大きく高めることができます。
ITが苦手でも大丈夫?実際の声
「使えるか不安」は最初だけ
「タブレットなんて使えるかな」と不安を抱えて入職した看護師の方も、多くの場合は数週間で慣れていきます。現在の訪問看護向けシステムは、パソコンやスマートフォンの専門知識がなくても操作できるように設計されています。
iBowを提供するeWeLL社は「現場で全員が確実に使える」システムを開発方針に掲げており、直感的に操作できるUIにこだわっています。実際に、IT操作に不慣れな60代・70代のスタッフが使いこなせているケースも各地で報告されています。
訪問看護師は医療の専門職です。ICTツールは「仕事をこなすための道具」です。手術室に入ったときに医療機器の使い方を覚えたように、訪問看護のICTツールも現場で自然に習得できます。
導入時のサポート体制が整っている
訪問看護専用システムには、導入後のサポート体制が充実しているものが多くあります。例えばiBowでは、訪問看護の制度・加算の相談にも対応できる専門スタッフがサポートを担っています。
また、多くのステーションでは、新入職者向けのICT研修や操作マニュアルを用意しています。入職前にタブレット操作の経験がなくても、丁寧にサポートを受けながら習得できる環境が整っています。
ベテランの病院看護師の方が「こんなに覚えることがあるの?」と感じるのは最初だけです。現場での操作は、実は病院の電子カルテよりもシンプルなことが多いです。

すえひろが導入しているツールと使い方
タブレット・社用携帯を全スタッフに貸与
すえひろ訪問看護ステーションでは、全スタッフにタブレット・社用携帯・電動自転車を貸与しています。入職後すぐに業務で使える状態でお渡しするので、ご自身でデバイスを用意する必要はありません。
訪問中はタブレットで記録を入力し、ステーション全体でリアルタイムに情報を共有する体制を整えています。直行直帰も積極的に取り入れており、スタッフが効率よく働けるよう工夫しています。
チームでの情報共有と連携を大切に
すえひろでは、医師やケアマネジャーとの情報共有においてもICTツールを活用しています。利用者様ごとに関係する多職種が情報を共有し、「その方が在宅で安心して暮らし続けるために何が必要か」をチーム全体でリアルタイムに考えられる体制を整えています。
私たちは常に「利用者様が本当に望まれている生活を実現するために、今何ができるか」を考えています。ICTはそのための強力な手段の一つです。記録や連絡の効率化によって生まれた時間を、利用者様に向き合う時間にあてることができます。
全社員Zoom会議でつながる組織文化
すえひろでは定期的に全社員Zoom会議を実施しています。複数のステーションにまたがるスタッフが、画面越しに情報共有・学びを深める場を持っています。ICTを業務ツールとしてだけでなく、組織の連携を深めるためにも活用しているステーションです。
「IT苦手で大丈夫かな」と感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。私たちは専門職として常に学び続け、スタッフ一人ひとりが自信を持ってケアに向き合える環境をつくることを大切にしています。
まとめ
訪問看護のICT活用は、2026年時点で「整っている現場」が大多数となっています。電子カルテ・タブレット・多職種連携ツールの普及により、記録業務の効率化と情報共有の迅速化が同時に実現されています。厚生労働省による在宅医療DXの政策的後押しもあり、今後もこの流れは加速する見込みです。
「ITが苦手だから訪問看護は無理かも」と思っていた方も、現場のシステムは実用的でシンプルなものがほとんどです。入職後のサポート体制も整っており、経験を積む中で自然と使いこなせるようになっていきます。
すえひろ訪問看護ステーションでは、タブレット・社用携帯を全スタッフに貸与し、ICTを活用した効率的な働き方を実践しています。「訪問看護に興味はあるけれど、ICTについて不安がある」という方も、まずはお気軽にご相談ください。利用者様の幸せを本気で考え、諦めずに挑戦し続ける仲間と一緒に働きませんか。
【お問い合わせ先】 すえひろ訪問看護ステーション 受付時間:平日 8:30〜17:30
よくある質問
Q. 訪問看護ではどんな端末で記録を入力するのですか?
A. 多くのステーションでは、クラウド型電子カルテと連携したiPadやAndroidタブレットが使われています。利用者様のお宅でその場入力できるため、手書きの転記作業がなくなり、記録にかかる時間が大幅に短縮されます。スマートフォンから操作できるシステムも増えています。
Q. パソコンが苦手でも訪問看護のICTツールは使えますか?
A. はい、使えます。訪問看護向けシステムは「パソコンの専門知識がなくても使える」ことを重視して設計されているものが多く、60代・70代のスタッフが使いこなしている事例も多数報告されています。入職後の研修やサポート体制も整っているので、安心して慣れていくことができます。
Q. 医師やケアマネジャーとの情報共有はどうやって行いますか?
A. 現在は、MCS(メディカルケアステーション)のような医療介護専用の多職種連携ツールが広く使われています。利用者様ごとにグループを作り、医師・看護師・ケアマネ・薬剤師などが写真や文章でリアルタイムに情報を共有できます。電話やFAXに比べて連絡のタイムラグが大幅に減ります。
Q. 訪問看護のICT化は今後どうなりますか?
A. 厚生労働省が在宅医療DXを政策の重点テーマとして推進しており、2024年度には「訪問看護医療DX情報活用加算」も新設されました。2026年度以降も電子連携の標準化や補助金支援が続く見込みで、ICT活用はさらに進むと考えられています。訪問看護師にとって、ICTスキルはキャリアの強みになっていきます。
Q. すえひろ訪問看護ステーションではどんなICT環境が整っていますか?
A. 全スタッフにタブレット・社用携帯・電動自転車を貸与しており、入職後すぐにICTを使った業務が始められます。直行直帰に対応したスケジュール管理や、全社員Zoom会議による組織内連携も実践しています。ICTが苦手な方も、現場でサポートを受けながら自然と慣れていただける環境です。
【参考資料】
厚生労働省・関連資料
訪問看護ICTツール公式サイト

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