夜中に体調が急変したとき、「どこに電話すればいいのか」と不安になったご経験はないでしょうか。訪問看護ステーションの24時間対応は、そんな夜間の不安を支えるための仕組みです。「本当に夜中でも連絡できるのか」「救急車を呼ぶべき状況とはどんな状態か」——この記事では、緊急時の連絡フローと対応の流れを具体的にお伝えします。
目次
在宅療養中の「急変」とはどんな状態を指すの?
在宅療養中の急変とは、いつもの状態から急に体調が悪化し、早急な医療的判断が必要になる状態のことです。病院と違い、医療機器のそばに専門職がいないからこそ、ご家族が「おかしい」と気づいた瞬間の行動が重要になります。
いつもと違う「変化」を見逃さないために
急変のサインは必ずしも劇的ではありません。呼吸が浅くなった、顔色が悪い、いつもより反応が鈍い——こうした「なんとなくいつもと違う」という感覚がとても大切です。
在宅ケアの現場では、意識・呼吸・循環の変化が緊急を要するサインとされています。具体的には、意識レベルの低下、呼吸困難や異常な呼吸音、顔や唇のチアノーゼ(青紫色への変色)、急激な血圧変化などが挙げられます。
「これくらいで連絡していいのかな」と思われても、どうぞ遠慮なくご連絡ください。私たちすえひろ訪問看護ステーションは、そのような「迷っているとき」のご相談にも真摯に向
急変を引き起こしやすい代表的な状態
訪問看護の現場で特に多く経験する急変のきっかけとして、誤嚥(ごえん)による呼吸困難、排泄時の血圧変動、意識消失、転倒・転落、発熱や痙攣(けいれん)などがあります。
誤嚥とは、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことです。高齢の方や嚥下機能が低下している方に多く見られます。こうした状態が夜間に起きた場合も、訪問看護ステーションへの連絡が支えになります。
訪問看護ステーションの24時間対応の仕組み
訪問看護ステーションの24時間対応とは、夜間・休日を含めた24時間365日、利用者様やご家族からの電話相談と、必要に応じた緊急訪問に対応できる体制のことです。これは制度として整備されており、大多数のステーションが届け出をしています。
「24時間対応」は本当に全員が受けられるの?
訪問看護に求められるニーズとして「24時間対応」への期待は非常に高く、国の調査でも最優先事項の一つとして挙げられています。2022年度時点で、訪問看護事業所の緊急時訪問看護加算算定割合は9割弱に達しており、多くのステーションが24時間体制を整えています(平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査、厚生労働省 中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会)。
ただし、24時間対応体制を利用するためには、事前に書面での説明と同意が必要です。サービス開始時に「緊急時訪問看護加算への同意」を取り交わしているかどうかを、担当のケアマネジャーやステーションに確認しておくと安心です。
オンコール体制とはどういう仕組みか
夜間や休日は、担当の看護師が「オンコール」と呼ばれる待機状態で電話を持ちます。ご連絡をいただいた際、まず電話で状況を確認し、必要と判断した場合は速やかに訪問します。実際に緊急訪問が必要になる方は利用者様全体の一部にとどまっており、多くのケースは電話での相談・アドバイスで対応できています。
夜間に連絡が取れないときはどうする?
「電話したのにつながらなかった」という経験が怖くて連絡をためらう方もいらっしゃいます。まず知っておいていただきたいのは、24時間対応体制のあるステーションは、複数の看護師が交代でオンコールを担当しており、1回で繋がらなくても、すぐに折り返しや対応が行われる体制になっているということです。
繰り返し電話してください
1回かけてつながらない場合でも、すぐに諦めず、2〜3回かけ直していただいて構いません。夜間は通常の電話番号から転送されている場合が多く、回線が込み合うこともあります。担当看護師が別の対応中である可能性もありますが、折り返しは必ず行われます。
あらかじめ緊急連絡先を確認しておきましょう
訪問看護を開始する際、ステーションからは緊急時の連絡先が記載された書類が渡されます。この書類には、担当看護師の氏名・連絡先・担当日・緊急時の注意事項・主治医の連絡先などが記載されており、法令上の記載要件として定められています。
この書類を、電話のそばや冷蔵庫など、すぐ目につく場所に貼っておくことをお勧めします。深夜にパニックになっているときでも、すぐ手が届く場所にあるだけで、冷静に行動できます。
それでも連絡が取れない場合
万が一、夜間に訪問看護ステーションへの連絡が取れない状況が続く場合は、救急安心センター(#7119)に電話する方法があります。医師・看護師・救急救命士が電話で相談に応じ、救急車を呼ぶべきかどうかの判断をサポートしてくれます。なお、#7119は全国すべての地域で利用できるわけではありません。お住まいの地域での対応状況は、総務省消防庁のウェブサイト(fdma.go.jp)で事前にご確認ください。未実施地域の場合は、各都道府県・市区町村の救急相談窓口をご利用ください。
救急車を呼ぶべき状況・訪問看護に連絡すべき状況の見分け方
どちらに連絡すべきか迷うことは、決して恥ずかしいことではありません。判断基準を事前に知っておくことで、いざというときに落ち着いて動けます。
すぐに救急車(119番)を呼ぶべき状況
次のような状態が見られた場合は、迷わず119番に電話してください。
- 意識がない、または呼びかけに全く反応しない
- 呼吸をしていない、または呼吸が非常に苦しそう(チアノーゼが出ている)
- 激しい胸の痛みが続いている
- 突然の激しい頭痛や、ろれつが回らない・手足が動かない(脳卒中が疑われる)
- 大量出血が止まらない
- けいれんが続いている、または初めてけいれんを起こした
「DNARの指示がない方(蘇生を希望されている方)で、わずかでも生命反応が確認できた場合は、救急要請を行い、到着を待つ間に蘇生に努める」というのが在宅医療の基本原則です(日本訪問看護財団 監修資料より)。
訪問看護ステーションに連絡すべき状況
救急搬送が必要なほどではないが、いつもと違う状態で判断に迷うときは、まず訪問看護ステーションにご連絡ください。
- 呼吸が少し苦しそうだが会話はできる
- 熱が出て、ぐったりしているが意識はある
- 傷口の出血や皮膚の変化が気になる
- 服薬できていない、または飲み間違えた可能性がある
- 転倒したが、骨折かどうかわからない
- 「なんとなくおかしい」という直感がある
緊急訪問の連絡内容のうち、身体症状に関するものが多数を占めています。「こんなことで」と遠慮することなく、迷ったらまずお電話ください。私たちは、ご連絡いただいた状況から必要性を判断し、最善の対応をご一緒に考えます。
看取り期の方への特別な取り決め
終末期・看取りを前提とした療養をされている方の場合、事前に主治医・ケアマネジャー・訪問看護師・ご家族で「緊急時の対応方針」を話し合い、文書として確認しておくことが重要です。これをACP(アドバンス・ケア・プランニング)といいます。
ACPとは、将来の意思決定能力が低下したときに備え、本人・ご家族・医療者が今後の治療やケアについて事前に話し合うプロセスです(厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」2018年改訂版)。看取り期の方は、救急搬送よりも「自宅で最期まで」という意向を大切にするケースも多くあります。
すえひろの緊急対応体制と連絡フロー
すえひろ訪問看護ステーションでは、利用者様とご家族が「夜中でも安心できる」と感じていただけるよう、具体的な体制を整えています。「命を預かる職業」としての責任と誇りを持って、緊急時にも真摯に向き合います。
すえひろの緊急連絡フロー(4ステップ)
STEP 1:ご家族から緊急電話をいただく
24時間対応の番号にお電話ください。オンコール担当の看護師が対応します。
STEP 2:電話で状況確認
意識・呼吸・体温・症状の変化など、現在の状況をお伺いします。落ち着いて話せる範囲でお答えいただければ大丈夫です。
STEP 3:対応方針の判断
電話でのアドバイスで対応できる場合はその場で指導します。緊急訪問が必要と判断した場合は、速やかに出動します。
STEP 4:主治医への報告・連携
緊急訪問を行った際は、状況を主治医にご報告し、今後の対応を連携して検討します。必要に応じて救急搬送のサポートも行います。
事前の「備え」が安心をつくる
緊急時に慌てないためには、平常時からの備えが大切です。すえひろでは、定期訪問の際に以下のことをご家族と一緒に確認しています。
- 緊急連絡先の書類が手の届く場所にあるか
- 主治医の連絡先を把握しているか
- 看取り期の方は緊急時の対応方針が文書化されているか
- 救急搬送の際に必要な書類(お薬手帳・保険証など)の保管場所
「制度上難しい」と思われることでも、まずご相談ください。利用者様お一人おひとりの状況に合わせて、諦めずに一緒に考えていきます。
まとめ
訪問看護ステーションの24時間対応は、夜中の急変や不安な状況に寄り添うための仕組みです。緊急時には、意識・呼吸・循環の状態から判断し、生命の危機が疑われる場合は迷わず119番へ、それ以外の体調変化や迷いがある場合はまず訪問看護ステーションへご連絡ください。事前に緊急連絡先の確認と、看取り期の場合は対応方針の文書化をしておくことで、実際の緊急時により落ち着いて行動できます。
すえひろ訪問看護ステーションは、「命を預かる職業」としての責任を持ち、専門職として向上心を持ち続けながら、利用者様とご家族の安心を守るために全力で取り組んでいます。「こんなことで相談していいのかな」と思われることも、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
【お問い合わせ先】 すえひろ訪問看護ステーション 受付時間:平日 9:00〜17:00(緊急時は24時間対応)
よくある質問
Q. 夜中に急に呼吸が苦しそうになりました。まず訪問看護に電話すべきですか、119番に電話すべきですか?
A. 呼吸ができていない・唇や顔が青紫になっている・意識がないという場合は、すぐに119番へ連絡してください。呼吸はしているが苦しそう、会話はできるという場合は、まず訪問看護ステーションにお電話いただくことで、看護師が状況を判断し、必要な対応をご案内します。迷った場合も訪問看護へのご連絡で構いません。
Q. 訪問看護の24時間対応は、全員が利用できますか?
A. 24時間対応(緊急時訪問看護加算)を利用するには、サービス開始時に書面で同意を交わしていることが必要です。すでに訪問看護を利用中の方は、担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションにご確認ください。まだサービスをご利用でない方は、まずかかりつけ医またはケアマネジャーにご相談いただくか、当ステーションへ直接お問い合わせください。
Q. 夜中に電話してもつながらなかった場合、どうすればよいですか?
A. 夜間のオンコール担当が別の対応中である場合、一時的につながりにくいことがあります。2〜3回かけ直していただくか、しばらく待ってから再度ご連絡ください。どうしてもつながらない場合は、救急安心センター(#7119)にご相談いただくことで、電話で医師・看護師・救急救命士に状況を判断してもらえます(※#7119は一部未実施地域あり)。
Q. 訪問看護の緊急訪問は、何時でも来てもらえますか?
A. 24時間対応体制を整えているステーションであれば、深夜・早朝を含めた時間帯でも訪問が可能です。ただし、電話での状況確認の結果、緊急訪問が必要と判断された場合に実施するものです。全てのご連絡が必ず訪問に繋がるわけではなく、電話での対応・アドバイスで解決できるケースも多くあります。
Q. 看取りを希望している場合、急変時に救急車を呼ばないといけないですか?
A. 看取り期の方については、事前に主治医・訪問看護師・ケアマネジャー・ご家族で話し合い、緊急時の対応方針(ACP)を文書で確認しておくことが大切です。ご本人の意思や療養方針によって、救急搬送を行わず在宅で看取る場合もあります。ご不安な点はいつでもすえひろ訪問看護ステーションにご相談ください。
参考資料・相談窓口
公的情報・ガイドライン
- 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省、2018年改訂版)
- 訪問看護のサービスについて(厚生労働省)
- 平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(厚生労働省 中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会)
緊急相談窓口
- 救急安心センター(#7119):急な病気やけがで救急車を呼ぶか迷ったときに、医師・看護師・救急救命士が電話で相談対応(※一部未実施地域あり。対応状況は総務省消防庁サイトで確認)
- 救急車:119番(生命の危機が疑われる場合は迷わず)

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