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在宅看取りを選ぶ前に知っておきたいこと|家族の不安に答えるQ&A

「親を家で看取りたい」という思いがある一方で、「本当に自分たちにできるのだろうか」と不安を抱えているご家族は少なくありません。在宅看取りとは、住み慣れた自宅で最期まで過ごすことを選ぶことです。訪問看護師や在宅医が24時間体制でご家族を支える仕組みが整ってきた今、その選択は決して特別なことではありません。この記事では、在宅看取りの基本から費用・準備まで、ご家族がよく抱く不安にQ&A形式でお答えします。

目次

在宅看取りとは?病院での看取りとの違い

「在宅看取り」が選ばれるようになった背景

在宅看取りとは、ご本人が住み慣れた自宅で、家族に見守られながら最期を迎えることです。厚生労働省の人口動態調査によると、2023年の死亡者約160万人のうち、在宅死は約27万人にのぼり、2010年頃から在宅死の割合は増加傾向にあります(第一生命経済研究所、2025年)。

その一方で、「自宅で最期を迎えたい」と希望する方は約半数にのぼるとされているにもかかわらず、実際には約75%が病院でその時を迎えているというデータもあります(厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する検討会」資料より)。

希望と現実のギャップを埋めるために、在宅医療・在宅看護の体制整備が国を挙げて進められています。

在宅看取りと病院看取りの主な違い
○ 自宅在宅看取り
△ 病院病院看取り
場所
住み慣れた自宅・自室で過ごせる
病院の病室での療養となる
面会・
家族との時間
時間を問わず家族と一緒にいられる
面会時間・人数の制限がある場合が多い
過ごし方・
環境
食事・睡眠など自分らしい生活スタイルを維持しやすい
病院のルール・スケジュールに合わせた生活になる
医療・看護
サポート
訪問医・訪問看護師が定期訪問。24時間対応の体制も整備されてきている
医師・看護師が常駐しており、緊急時も即時対応できる
本人の
意思・希望
「自宅で最期を」という希望を実現できる
積極的な医療処置を希望する場合に適している

訪問看護のポイント:在宅看取りでは、訪問看護師が体調管理・症状緩和・家族への介護指導などを担い、医師と連携しながら安心できる環境を整えます。どちらが適しているかは、本人の状態・希望・家族の状況によって異なります。

在宅と病院、それぞれの特徴

病院での看取りは、医師・看護師が常駐し、急変時にもすぐ対応できる安心感があります。ただし、面会時間や環境に制限がある場合も多く、ご本人が「家に帰りたい」と望んでも、病院という場所で最期を迎えることになります。

在宅看取りは、ご自身のペースで、家族の声や生活の音に包まれながら過ごせます。好きな食べものを楽しんだり、ペットと一緒にいたり、病院では叶えられないことも、自宅ならではの選択として実現できます。

もちろん、在宅看取りは「家族だけで全部やる」ことではありません。訪問診療の医師・訪問看護師・ケアマネジャーなどがチームとなってご家族を支えるから、安心して選べる選択肢なのです。

在宅看取りを選ぶための最低限の条件

在宅看取りを実現するために必要なのは、大きく3つです。①ご本人とご家族が「自宅で過ごしたい」という意思を共有していること、②24時間対応できる訪問診療の医師を確保すること、③訪問看護ステーションと連携した支援体制を整えることです。これらが整えば、多くのケースで在宅での看取りは実現できます。

訪問看護師は看取りでどんな役割を果たすか

身体的ケア:苦痛をやわらげる専門的なサポート

訪問看護師は、医師の指示のもと、痛みや呼吸苦などの身体的な苦痛をやわらげるためのケアを提供します。酸素管理、点滴管理、口腔ケア、体位変換など、専門的な知識と技術を活かしたケアを自宅で受けられるのが、訪問看護の大きな強みです。

「最期まで苦しまないでほしい」というご家族の願いに、訪問看護師は真摯に向き合います。病院と違い、時間に縛られない柔軟さで、その方の生活習慣や好みを大切にしたケアを提供できます。

精神的ケア:ご家族の不安にも寄り添います

訪問看護師が支えるのは、ご利用者様だけではありません。毎日介護を続けるご家族の不安や疲れにも、しっかりと向き合います。「こんな状態は普通ですか?」「夜中に急変したらどうすれば?」という疑問に、訪問時だけでなく電話でも丁寧に対応します。

「心配な時はいつでも連絡してください」という訪問看護師の一言が、ご家族にとってどれほど大きな支えになるか、現場で何度も実感してきました。24時間連絡できる体制があるからこそ、ご家族は孤独な闘いではなく、チームで看取りに臨めるのです。

多職種連携:「チーム」として支えるコーディネーター役

訪問看護師は、在宅医・ケアマネジャー・訪問ヘルパーなど多職種をつなぐコーディネーターの役割も担います。定期的なカンファレンスを通じて情報を共有し、ご本人やご家族の意向に沿ったケアの方向性をチームで確認しながら進めます。

すえひろ訪問看護ステーションでは、「利用者様お一人おひとりの幸せのために何ができるか」を本気で考え、医師やケアマネジャーと密に連携しながら、最期まで寄り添う支援を提供しています。

家族が感じる「不安なこと」ベスト5とその答え

Q1. 急変したとき、夜中でも対応してもらえますか?

A. はい、24時間対応できる体制のある訪問看護ステーションであれば、夜中の急変時も電話で相談でき、必要に応じて看護師が訪問します。事前に「夜中に呼吸が変わったら」「意識が薄れてきたら」など、連絡するタイミングの目安を看護師と一緒に確認しておくことが大切です。また、在宅看取りを希望する場合は、救急車ではなく訪問看護師や在宅医に連絡することを家族全員で共有しておきましょう。

Q2. 死亡確認はどうやってするのですか?

A. 在宅での看取り後、死亡確認は訪問診療の医師が自宅に来て行い、死亡診断書を交付します。「医師が到着するまでの間、どうすればいいかわからない」という不安をよく伺いますが、訪問看護師が事前に「息が止まったら、まずここに電話する」という流れを具体的にお伝えします。慌てて救急車を呼ぶと病院搬送になる場合があるため、緊急連絡先と対応の流れを紙に書いておくことをおすすめしています。

在宅看取り後の連絡フロー
1
息を引き取ったことを確認する
慌てず、そばで静かに寄り添ってください。救急車は呼ばないようにしましょう。
2
訪問看護師 または 在宅医に電話する
事前に渡された緊急連絡先に電話します。24時間対応の窓口が案内されています。紙にメモしておくと安心です。
3
医師が自宅に来て死亡確認を行う
訪問診療の医師が到着するまでの間は、訪問看護師が付き添うか、電話で対応します。到着まで静かに待ちましょう。
4
死亡診断書が交付される
医師が死亡診断書を作成・交付します。その後、葬儀社への連絡など、次のステップに進みます。

訪問看護師からのアドバイス:緊急連絡先と「まず電話する番号」を紙に書いて、見えやすい場所に貼っておくことをおすすめしています。事前に流れを知っておくだけで、そのときの安心感が大きく変わります。

Q3. 本人が苦しそうにしていたら、どうすればいいですか?

A. 終末期に「喉がゴロゴロと鳴る音(死前喘鳴)」が出ることがありますが、これは本人が苦痛を感じているわけではありません。ご家族が「苦しんでいる」と感じて不安になることが多いため、訪問看護師が事前に詳しく説明します。また、聴覚は最期まで残ることが多いため、声をかけ続けることが大切です。不安な時は、いつでも電話でご相談ください。

Q4. 家族だけで介護を続けられるか心配です

A. 一人で、あるいは家族だけで抱え込む必要はありません。訪問看護・訪問介護・福祉用具の貸与・ショートステイなど、組み合わせて使える在宅サービスはたくさんあります。「もう限界かもしれない」と感じたときも、それを正直に訪問看護師やケアマネジャーに伝えてください。体制を見直したり、一時的に入院・施設の利用を検討したりする選択肢も一緒に考えます。「制度上難しい」と思われることでも、まずはご相談ください。

Q5. 看取った後、自分が後悔してしまうのではと怖いです

A. 後悔のない看取りのために最も大切なのは、「本人の意思を確認しておくこと」です。エンディングノートやリビング・ウィル(終末期の意思を書いた書類)を活用して、本人がどんな最期を望んでいるかを早めに話し合っておきましょう。また、家族が精一杯寄り添った時間は、必ずご本人の支えになります。「もっとできたことがあったかもしれない」という気持ちが湧くのは自然なことですが、在宅で看取られた方の遺族の多くが「自宅でよかった」と感じているというデータもあります。看取り後のグリーフケアも、訪問看護師が寄り添います。

在宅看取りにかかる費用と保険の使い方

訪問看護の費用は医療保険・介護保険でカバーされます

在宅看取りにかかる訪問看護の費用は、医療保険または介護保険が適用されます。多くの場合、ご利用者様の自己負担は1割〜3割です。

終末期(ターミナル期)には、訪問看護に「ターミナルケア加算(介護保険)」または「ターミナルケア療養費(医療保険)」が算定されます。2024年度の介護報酬改定では、介護保険のターミナルケア加算が2,000単位から2,500単位に引き上げられ、医療保険との整合性が図られました(厚生労働省、2024年度介護報酬改定)。

訪問看護の保険適用:介護保険と医療保険の違い
介護保険 医療保険
主な対象者 要介護・要支援の認定を受けた方(65歳以上、または特定疾病の40~64歳) 末期がん・難病・精神疾患など、医師が訪問看護を必要と認めた方(要介護認定の有無を問わない)
自己負担割合 1割~3割(所得に応じて異なる) 1割~3割(所得・年齢に応じて異なる)
訪問回数の目安 支給限度額の範囲内(他の介護サービスと合算) 原則週3回まで(病状によっては制限なし)
ターミナルケア加算 2,500単位/死亡月
2024年度改定で2,000単位から引上げ
ターミナルケア療養費
療養費1:25,000円
療養費2:10,000円
状況により算定区分が異なる
介護保険
医療保険

要介護認定を受けている方でも、末期がん・難病等の場合は医療保険が優先されます。どちらの保険が適用されるかは、主治医や訪問看護ステーションにご確認ください。

介護保険と医療保険、どちらが使えるの?

原則として、要介護・要支援の認定を受けている方は介護保険が優先されます。ただし、末期がんや特定の難病などの場合は、要介護認定があっても医療保険が適用されるケースがあります。どちらが適用されるかは、ご利用者様の状態や主治医の指示によって異なります。詳細はケアマネジャーや訪問看護ステーションにご確認ください。

費用の目安と抑えるポイント

要介護3の方が介護保険で訪問看護を週2〜3回利用した場合、自己負担は月1,000〜5,000円程度が目安です(所得・利用頻度により異なります)。終末期には訪問回数が増えることもありますが、在宅医療の整備が進んだことで「病院より費用がかかる」ということは多くありません。生活保護や高額介護サービス費制度などが使える場合もあるため、費用面の不安はケアマネジャーや訪問看護ステーションに遠慮なくご相談ください。

後悔しないために今から準備できること

まず「意思の確認」から始めましょう

在宅看取りに向けた最初のステップは、ご本人の意思を確認することです。「どこで最期を過ごしたいか」「延命治療を希望するか」「葬儀についての希望はあるか」——これらを元気なうちに話し合っておくことが、後悔のない看取りにつながります。書面(エンディングノートやリビング・ウィル)に残しておくと、いざという時に家族が迷わずに済みます。

「死について話すのは縁起が悪い」と感じる方もいらっしゃいます。でも、この会話こそが、ご本人が本当に望む最期を実現するための一番の準備です。

在宅医と訪問看護ステーションを早めに探す

在宅看取りを希望する場合、24時間対応できる在宅医(往診医)の確保が必須です。かかりつけ医に相談するか、地域包括支援センターに問い合わせることで紹介を受けられます。訪問看護ステーションも早めに連携を始めることで、ご利用者様の状態をよく把握した上でターミナル期を迎えられます。

すえひろ訪問看護ステーションでは、退院直後からのご相談にも対応しています。「今の状態で在宅に戻れるか不安」という方も、まずはお気軽にご連絡ください。

環境を整える:自宅の準備チェックリスト

在宅看取りを安心して行うために、自宅環境の整備も大切です。介護ベッド・エアマットの導入、トイレや浴室の手すり設置、訪問看護師が処置しやすい動線の確保などが主なポイントです。福祉用具の貸与は介護保険を使えるものが多くあります。また、痰吸引器や酸素濃縮器などの医療機器が必要な場合は、訪問看護師や在宅医と相談しながら準備を進めます。

在宅看取り前に準備したいこと
家族みんなで確認しておきましょう
本人の意思確認
どこで、誰と、どのように最期を迎えたいか。元気なうちに本人の希望を聞いておきましょう。
在宅医(訪問診療医)の確保
自宅での死亡確認・死亡診断書の交付には在宅医が必要です。早めにかかりつけ医や地域包括支援センターに相談を。
訪問看護ステーションとの連携
24時間対応可能なステーションを選び、緊急連絡先と「息が止まったらまずここへ電話」という流れを事前に確認しましょう。
自宅環境の整備
介護ベッド・エアマット・手すりの設置、処置しやすい動線の確保。福祉用具の貸与は介護保険が使えるものが多くあります。
緊急連絡先の家族間での共有
在宅医・訪問看護師・ケアマネジャーの連絡先を一覧にして、自宅の見えやすい場所に貼っておきましょう。
グリーフケアの知識を持っておく
看取りのあと、家族が深い悲嘆を経験するのは自然なことです。地域の遺族支援・相談窓口を事前に調べておくと安心です。

※ 準備は一度に全部そろえる必要はありません。訪問看護師やケアマネジャーと相談しながら、一つずつ確認を進めていきましょう。

家族全員で情報を共有することが大切

在宅看取りは、一人のご家族だけが担うものではありません。主介護者が疲弊しないよう、兄弟・姉妹など離れて暮らす家族とも、ご本人の意向や役割分担をあらかじめ共有しておきましょう。「夜中に異変があったら誰が電話するか」「葬儀はどうするか」といった実務的な確認も、事前にしておくと安心です。

まとめ

在宅看取りは、「家族が全部やらなければならない」ものではありません。訪問看護師・在宅医・ケアマネジャーが連携したチームが、ご利用者様とご家族を最期まで支える体制が整っています。2023年の統計では在宅死は約27万人に達しており、在宅での看取りは着実に広がっています。

「本当にできるのだろうか」という不安は、準備と情報でずいぶん和らぎます。この記事でお伝えしたように、①ご本人の意思の確認、②在宅医と訪問看護ステーションの早期連携、③家族全員での情報共有——この3つから始めてみてください。

すえひろ訪問看護ステーションは、「その方が本当に望む最期」を実現するために、制度の枠にとらわれず、できる限りのことを一緒に考え、諦めずに向き合います。「こんな相談、してもいいのかな」と思われることでも、まずはお気軽にご連絡ください。専門職としての責任と誕りを持って、誠実に寄り添わせていただきます。

よくある質問

Q. 在宅看取りとは何ですか?

A. 在宅看取りとは、病院ではなく住み慣れた自宅で最期を迎えることです。訪問診療の医師と訪問看護師が連携し、ご本人の意思を尊重しながら苦痛をやわらげるケアを提供します。延命治療を行わず、その人らしい最期を支える在宅ならではの選択です。

Q. 在宅看取りで訪問看護師はどんな役割を果たしますか?

A. 訪問看護師は、痛みや呼吸苦などを和らげる身体的ケア、ご家族の不安に寄り添う精神的サポート、医師やケアマネジャーとの多職種連携の3つの役割を担います。24時間対応できる体制のもと、夜中の急変時も電話相談・緊急訪問に対応します。

Q. 在宅看取りにかかる費用はどのくらいですか?

A. 訪問看護は医療保険または介護保険が適用され、多くの場合の自己負担は1割〜3割です。要介護3で週2〜3回の訪問看護を利用した場合、自己負担は月1,000〜5,000円程度が目安です。終末期にはターミナルケア加算(介護保険:2,500単位/月)やターミナルケア療養費(医療保険)が算定される場合があります。

Q. 在宅で亡くなった後、死亡確認はどうなりますか?

A. 訪問診療の医師が自宅に来て死亡確認を行い、死亡診断書を交付します。救急車を呼ぶと病院に搬送されるケースがあるため、在宅看取りを希望する場合は「息が止まったらまず訪問看護師または在宅医に電話する」という流れを家族全員で確認しておくことが大切です。

Q. 在宅看取りを後悔しないために、今から何ができますか?

A. 最も大切なのは、ご本人の意思を確認しておくことです。エンディングノートなどに「どこで最期を過ごしたいか」「延命治療の希望」を書いておきましょう。また、24時間対応の在宅医と訪問看護ステーションを早めに探し、家族で役割分担を共有しておくことで、いざというときも落ち着いて対応できます。

【参考資料・相談窓口】

在宅医療に関する情報

地域の相談窓口

すえひろ訪問看護ステーション(退院後すぐのご相談も承っています)

  • TEL:03-5888-6375
  • 受付時間:平日9:00〜17:00(24時間緊急対応あり)

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