「訪問看護師として働いてみたいけれど、自分にできるだろうか」「どんな資格や経験が必要なのか」と不安を感じていませんか。
病棟勤務で培った看護技術を活かしながら、利用者様一人ひとりとじっくり向き合える訪問看護。その魅力に惹かれながらも、一人で訪問する責任の重さや必要なスキルについて迷いを抱える方は少なくありません。
実は訪問看護師になるために特別な資格は必要なく、看護師免許があれば挑戦できます。従来は3年以上の臨床経験が望ましいとされてきましたが、近年では教育体制の充実により、未経験からでもスタートできる環境が整いつつあるのです。「訪問看護師の仕事内容と働き方|現場経験者が語る転職の魅力」でも詳しく紹介していますが、実際の現場では様々な働き方の選択肢があります。
あなたの看護師人生の新たな一歩を、安心して踏み出せるようサポートいたします。
訪問看護師に求められる資格と経験
訪問看護師として働くために必要な基本的な資格と、実際にどの程度の経験が求められるのかを解説します。在宅医療の需要が高まる中、訪問看護師を目指す方が増えています。皆さんが思っているよりもハードルは高くありません。
最近では新卒や未経験者を積極的に採用する事業所も増えており、教育体制が整った環境で安心してスタートできる職場が広がっています。「訪問看護師への転職メリット・デメリット完全ガイド」では、こうした働きやすい環境の詳細をご紹介しています。資格要件から実務経験、そして移動手段として必要になる運転免許まで、現実的な情報をお届けします。
看護師免許があれば始められる
訪問看護師になるための第一歩として、看護師または准看護師の免許があれば基本的に挑戦できます。特別な追加資格や認定を取得する必要はなく、国家資格である看護師免許が最も重要な要件です。
病院での看護と同様に、訪問看護でも基礎的な看護の知識と技術を活かせます。バイタルサイン測定、服薬管理、排泄ケア、点滴管理といった病院で日常的に行われている看護技術が、訪問看護の現場でもそのまま活用されるのです。これまでの臨床経験で培った技術を、利用者様一人ひとりに合わせた形で提供できる点が訪問看護の魅力といえるでしょう。
ただし、准看護師の資格で訪問看護師として働く場合は留意点があります。正看護師と比べて診療報酬の算定が低く設定されているため、事業所によっては准看護師の採用を行っていない場合も。また、「訪問看護のオンコール対応を詳しく紹介|不安を安心に変える働き方」で解説しているオンコール対応ができない、訪問看護計画書や報告書の作成に制限があるなど、業務範囲に違いがある点も理解しておく必要があります。

3年以上の臨床経験が望ましい背景
これまで訪問看護師には3年程度の病院での経験が必要とされてきました。この背景には、訪問看護特有の働き方が大きく関係しています。
基本的に看護師が一人で利用者様のお宅を訪問して看護ケアを行う訪問看護。病院のようにすぐに応援を頼んだり、医師に直接確認したりできません。利用者様の状態変化を的確に観察し、必要な判断を自分で下す力が求められるのです。
訪問看護の利用者様は小児から高齢者まで幅広く、疾患も多岐にわたります。診療科の区別なく様々な状態の方に対応する必要があるため、ある程度の臨床経験があると落ち着いて状況判断ができ、安心して働けるという考え方が一般的でした。特に急変時の対応や、限られた環境の中での工夫した看護ケアを提供する場面では、病院での経験が活きてきます。
とはいえ、訪問看護ステーションによって求められる経験年数は異なります。3年から5年程度の臨床経験を応募条件としている事業所もあれば、経験年数を問わない事業所も増えてきているのが現状です。
未経験者の採用が増えている理由
最近では教育体制やサポート体制が整った訪問看護ステーションが増えており、新卒や経験の浅い看護師でも受け入れる事業所が多くなっています。
まず、2025年問題への対応です。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が急増する中、訪問看護師の確保が急務となっています。厚生労働省の報告によると、訪問看護利用者は年々増加を続けており、特に介護保険での利用者は2011年の約23万人から2021年には約59万人と、10年間で約3倍に増加しました。こうした需要の高まりに応えるため、若手看護師の確保と育成が推進されているのです。
日本訪問看護財団や厚生労働省も、若手看護師の確保や育成を積極的に推進しています。「訪問看護アクションプラン2025」では、新卒看護師が訪問看護師を目指すことができる教育モデルの確立が掲げられています。
実際の現場でも、先輩看護師と一緒に訪問する同行訪問から始め、段階的にスキルを習得できる環境が整ってきています。最初は先輩の技術を見て学び、次第に自分でできることを増やしていく。わからないことがあれば、訪問後に先輩と振り返りの時間を持ち、丁寧にフィードバックを受けられます。「『患者さんに手を触れて、心に寄り添う看護を』齋藤さんが病棟から訪問看護に転職した理由」や「『一人ひとりとじっくり向き合える喜び』急性期病院から転職した森口さんが語る訪問看護の魅力」では、実際に転職された看護師の体験談をご紹介しています。こうした教育プログラムの充実により、未経験者でも安心して訪問看護の世界に飛び込めるようになっているのです。
看護学校でも在宅看護の実習が導入されており、学生のうちから訪問看護に触れる機会が増えています。こうした流れを受けて、新卒から訪問看護の道を選ぶ看護師も増加傾向にあります。

移動手段により運転免許が必要な場合も
訪問看護ステーションによっては、利用者様のご自宅まで車やバイクで移動することがあり、その場合は運転免許が必要になります。特に郊外や公共交通機関が限られている地域では、車での訪問が一般的です。
運転免許が必須かどうかは、事業所の所在地や訪問エリアによって大きく異なります。都市部では自転車や電動自転車、徒歩で訪問できる範囲に利用者様がいる場合も多く、必ずしも運転免許が必要とは限りません。一方、広いエリアをカバーする事業所や地方の訪問看護ステーションでは、車での移動が前提となることがほとんどです。
応募前に、事業所の訪問エリアや移動手段について確認しておくと良いでしょう。求人情報に「要普通自動車免許」と明記されている場合もあれば、「自転車での訪問可」と記載されている場合もあります。面接の際に、実際の移動手段や訪問範囲について具体的に質問することをおすすめします。
運転に不安がある方や、運転免許を持っていない方でも、訪問看護師として働く道は開かれています。自分に合った働き方ができる事業所を探してみてはいかがでしょうか。
訪問看護師に必要なスキルと姿勢
訪問看護師として働くうえで、特別な資格や高度な技術が必要なのではと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、病院や施設で培ってきた基本的な看護の力があれば、十分に活躍できる職場です。
利用者様やそのご家族と信頼関係を築きながら、チームで支えていく訪問看護の魅力をぜひ知っていただければと思います。
基本的な看護技術と観察する力
訪問看護の現場では、血圧測定や注射、傷の手当てといった日常的な看護技術が中心です。病院の病棟で行ってきたバイタルチェックや処置と大きく変わるものではありません。
むしろ大切なのは、利用者様の体調の変化に気づく観察力です。定期的に同じ方のお宅に伺うからこそ、いつもと違う表情や声のトーン、歩き方の変化などを敏感に察知できるようになります。
こうした観察を通じて、体調の異変を早期に発見し、医師への報告や適切な対応につなげていきます。特別に難しいことではなく、看護師として培ってきた経験が十分に役立つ場面です。
利用者様と信頼関係を築く姿勢
訪問看護では、利用者様やご家族と良い関係を作ることがとても大切です。病院と異なり、相手の生活の場にお邪魔するからこそ、相手の気持ちに寄り添う姿勢が求められます。
同じ方のお宅に定期的に伺うことで、少しずつ心を開いていただけるようになります。最初は緊張されていた利用者様が、回数を重ねるごとに笑顔で迎えてくださったり、悩みを打ち明けてくださったりする瞬間は、訪問看護ならではのやりがいと言えるでしょう。
焦らずじっくりと信頼を築いていく姿勢を持つことで、利用者様にとって安心できる存在になれます。丁寧なコミュニケーションを心がけ、相手のペースを尊重しながら関わっていくことが何より重要です。
限られた時間で優先順位をつける力
一回の訪問時間は30分から90分程度と決まっているため、その日に行うべきケアを考えて動く力が必要になります。利用者様の状態を見ながら、何を優先するかを判断していく場面も少なくありません。
たとえば、予定していた処置があっても、その日の体調が優れない場合には、まず体調の確認を優先することもあります。または、ご家族から急な相談を受けた際には、その不安に耳を傾ける時間を確保することが大切になります。
バイタルサインの測定
前回訪問時との比較
優先すべき処置の特定
家族の不安度も考慮
必須ケアから実施
次回への引き継ぎ準備
こうした優先順位の判断は、経験を積むことで自然とできるようになります。利用者様一人ひとりに合わせた柔軟な対応ができることが、訪問看護師の強みです。
医師やケアマネジャーと連携する力
訪問看護師は一人で利用者様のお宅に伺いますが、実際には多くの専門職と連携しながら仕事を進めています。医師が交付する訪問看護指示書に基づいて医療的なケアを行い、ケアマネジャーとは生活全般の支援について情報を共有します。
利用者様の状態に変化があった際には、速やかに医師に報告し指示を仰ぎます。また、リハビリスタッフや薬剤師、介護スタッフなどとも連絡を取り合い、それぞれの専門性を活かしながらチームで利用者様を支えていきます。
訪問看護は決して一人で抱え込む仕事ではありません。地域の医療・介護のネットワークの中で、チームの一員として働けることは大きな安心感につながります。適切なタイミングで相談や報告ができるコミュニケーション能力が、利用者様により良いケアを提供するための鍵となるのです。
実際に働き始めるまでの進め方
訪問看護師として働くことを決めたら、次は具体的な準備を進めていきましょう。事業所選びのコツや見学時のチェックポイント、面接での心構え、そして入職後の教育体制まで、一つひとつ順を追って確認していくことで、安心してスタートを切れます。
サービスで
希望条件に合う
事業所を探す
気や教育体制を
実際に確認
する
希望条件を
伝えお互いの
理解を深める
準備や
勤務開始日の
調整を行う
研修
始まり
段階的に
独り立ちを目指す
訪問看護ステーションを探す方法
訪問看護ステーションを探す際には、求人サイトや看護師専門の転職サービスを活用する方法が一般的です。知人からの紹介や、気になるステーションのホームページから直接問い合わせる方法もあります。
複数の事業所を比較検討することで、自分に合った職場を見つけやすくなります。勤務時間や訪問エリア、オンコール体制など、働き方の条件を事前に整理しておくと良いでしょう。
地域の看護協会や医療機関が主催する就職説明会に参加すれば、複数のステーションの情報を一度に集めることもできます。
まずは求人サイトで幅広く情報収集し、気になる施設があれば転職エージェントのサポートを受けながら詳細を確認するのがおすすめです。
見学で確認しておきたいこと
実際にステーションを見学する際には、スタッフの雰囲気や働きやすさを肌で感じることが大切です。職場の雰囲気が自分に合うかどうかは、長く働くうえで重要なポイントになります。
教育体制についても具体的に質問してみましょう。同行訪問の期間や相談体制、研修の頻度などを確認することで、未経験でも安心して成長できる環境かどうかが分かります。
訪問エリアの範囲やオンコール対応の実態、利用者様の状態なども、働き始めてから「想像と違った」とならないために確認しておきたい事項です。
面接で聞かれることと準備
面接では、なぜ訪問看護に興味を持ったのか、どのような看護を提供したいのかといった質問がよく聞かれます。自分の看護観や今後のキャリアについて、事前に考えを整理しておくことが大切です。
病棟での経験や得意分野、訪問看護で活かしたいスキルなども具体的に話せるように準備しておきましょう。また、オンコール対応や夜間・休日の勤務について、自分の希望や条件を明確に伝えることも重要です。
逆に自分から質問することで、仕事への意欲や関心の高さを示せます。教育体制や研修制度について積極的に尋ねてみましょう。

入職後の教育体制とサポート
入職後は、まず先輩看護師との同行訪問から始まります。同行期間は事業所によって異なりますが、段階的に経験を積みながら、少しずつ独り立ちを目指していきます。
訪問看護では一人で利用者様のお宅を訪れることになりますが、多くの事業所では困ったときに電話で相談できる体制を整えています。また、カンファレンスや事例検討会を実施している事業所では、スタッフ全体で学び合う機会が設けられています。
未経験からのスタートでも、段階的に経験を積みながら成長できる環境が用意されているため、安心して訪問看護師としてのキャリアを築いていけます。
まとめ
最後まで記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。訪問看護師への第一歩を踏み出そうとしているあなたの背中を、少しでも押すことができたなら幸いです。ここで改めて、訪問看護師になるために押さえておきたい重要なポイントを3つご紹介します。
- 訪問看護師になるために特別な資格は不要で、看護師免許があれば挑戦でき、近年では教育体制の充実により未経験者の採用も増えている
- 基本的な看護技術と観察力、利用者様との信頼関係を築く姿勢、そして医師やケアマネジャーと連携する力が求められる
- 事業所選びでは見学時に教育体制や職場の雰囲気を確認し、入職後は同行訪問から段階的に独り立ちを目指せる環境が整っている
訪問看護は、利用者様一人ひとりとじっくり向き合い、その方の生活に寄り添った看護を実践できる、とてもやりがいのある仕事です。病棟で培ってきた看護の力を活かしながら、新たなフィールドで自分らしい看護を追求していくことができます。確かに一人で訪問することへの不安や責任の重さはありますが、教育体制やチーム体制が整った環境であれば、未経験からでも安心して成長していけます。まずは気になる訪問看護ステーションを見学してみることから始めてみてはいかがでしょうか。あなたの看護師人生の新たな一歩を、心から応援しています。
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